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第三章
《贈り物 10》
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「いっぱい買ったね。」
「ああ。」
セイラの両手、カルムの両手には沢山の荷物が乗っていた。
「ふふふ、調味料だけだと思ったんだけどね。」
「でも、新鮮な野菜が買えてよかっただろう?」
「それに、美味しそうなお肉もね。」
満足そうに笑いあう二人は双子の待つ鍛冶屋の前まで来ていた。
「お邪魔します。」
「します。」
「ああ、帰ったのか。」
「ん?女将さんと双子は?」
「ああ、それなら奥にいる。」
「入ってもいいか?」
「ああ。」
「んじゃ、お邪魔します。」
「えっ、カルム。」
遠慮もなく上がろうとするカルムにセイラは目を見開く。
「構わん、構わん、お前さんも上がれ。」
「えっと、お邪魔します。」
どんどんと先に行くカルムの背中を見ながらセイラは迷っていたが、親父さんの言葉に背中を押されてカルムを追いかけた。
「カルム、待って。」
「ああ、悪い、歩くの速かったか?」
「そうじゃないけど。」
「ん?」
「もう、カルムって遠慮しないよね。」
「しているぞ。」
「してませーん。」
「してる。」
「してない。」
じゃれ合うように二人は先に進むと、声が聞こえ始める。
ああでもない、こうでもない。
そんな会話にセイラたちは双子が一生懸命考えているのが伝わりふわりとセイラは笑う。
「セイラはすんなり決めてたけど、前々から考えていたのか?」
「うん、二人何か上げたいと思っていたけど、思っていたようなものがなかったから、少し諦めていたの。」
「そうか。」
「だから、カルムには感謝しているだよ。」
「セイラ…。」
ニッコリと微笑むセイラにカルムは思わず足を止めた瞬間、カツン、カツンと金属が木に刺さるような音がした。
「「……。」」
「ちっ…。」
いつの間にか奥の扉が開いており、そこから金色の髪の間から見れる青い瞳がさっきの色を帯びていた。
「外しましたか…。」
「……。」
「ミラ。」
カルムは一歩でも自分が踏み出していればナイフにしては華奢なそれが自分の脚を貫いていたのかと思ってぞっとし。
セイラはいきなり攻撃してきたミラに頭を抱える。
「お前、俺を殺す気か?」
「あら、どこをどう見ましたら殺せると思います?」
「それに毒を塗っていたら確実だと思うが?」
「…………。」
「ちょっと待て、その沈黙は何だ、マジで、毒塗っているのかよ。」
「さあ?」
「さあ?って、何だ!マジで何を塗っているんだよ。」
「さあ。」
くすくすと笑っているミラにカルムは睨めつけながら、それを拾い上げ、じっと見つめる。
「塗られているな…何か。」
「ちょっと、見せてくれる?」
大人しくしていたセイラはひょいっとカルムからナイフを取り上げる。
「おい、セイラっ!」
「セイラ様、危ないので触らないで下さいっ!」
行き成りの暴挙にカルムとミラは慌てふためくが、セイラは肩を竦めるばかりで終わらせる。
「……色はなさそうね…、臭いも、無臭……ううん、違う、これは……。」
セイラは自分の記憶を掘り起こし、そして、見つけた一つの回答に彼女はミラを睨む。
「ミラ、これは流石にないのじゃない?」
「……。」
「麻痺毒、しかも、あと少し多かったら呼吸困難などの症状を引き起こすわよ。」
セイラの言葉にカルムはギョッとするが、もう一本のナイフを落とすような事はなかった。
「……。」
「ミラ。」
居心地悪そうにそっぽを向くミラにセイラはため息を零す。
「確かに私たちならばこの毒は効かないけれども、冗談でもこんなことをしてはいけないわ。」
「申し訳ございません。」
すんなりミラは謝って見せるが、カルムを見る目だけは何処か怒りを滲ませていた。
カルムはセイラに怒られるのは自業自得だろう、と言うように睨み返す。
「………ミラ。」
態度を改めないミラにセイラは諦めたように彼女の名を呼ぶ。
「何でしょうか?」
「……もういいわ。」
ニッコリと笑うミラにセイラはこれ以上何を言っても無駄だと悟り、首を弱弱しく振った。
「おい、お前、これどうしたんだ?」
「どうしたとは?」
「お前、こんな暗器持っていなかっただろう。」
「女将様から頂きました。」
「……。」
カルムは女将さんの意図が分かり黙り込み、セイラは武器を見て、こんな高価なものをいただくだなんてと絶句する。
「わたしはレラと違い、攻撃性は低いのでこちらを持ち歩くべきだとおっしゃられまして。」
「でも…。」
「それに子供でも扱えるか試してほしいとのことでして。」
「……。」
セイラは女将さんと直接話をしないといけないと思い、頭を軽く押さえた。
「セイラ、どうした?」
「セイラ様?」
「いいえ、何でもないわ。」
セイラは小さくため息を零し、そして、このまま立ち止まっている場合じゃなかったので、暗器を布で包み、ミラたちが待つ部屋に向かった。
「ああ。」
セイラの両手、カルムの両手には沢山の荷物が乗っていた。
「ふふふ、調味料だけだと思ったんだけどね。」
「でも、新鮮な野菜が買えてよかっただろう?」
「それに、美味しそうなお肉もね。」
満足そうに笑いあう二人は双子の待つ鍛冶屋の前まで来ていた。
「お邪魔します。」
「します。」
「ああ、帰ったのか。」
「ん?女将さんと双子は?」
「ああ、それなら奥にいる。」
「入ってもいいか?」
「ああ。」
「んじゃ、お邪魔します。」
「えっ、カルム。」
遠慮もなく上がろうとするカルムにセイラは目を見開く。
「構わん、構わん、お前さんも上がれ。」
「えっと、お邪魔します。」
どんどんと先に行くカルムの背中を見ながらセイラは迷っていたが、親父さんの言葉に背中を押されてカルムを追いかけた。
「カルム、待って。」
「ああ、悪い、歩くの速かったか?」
「そうじゃないけど。」
「ん?」
「もう、カルムって遠慮しないよね。」
「しているぞ。」
「してませーん。」
「してる。」
「してない。」
じゃれ合うように二人は先に進むと、声が聞こえ始める。
ああでもない、こうでもない。
そんな会話にセイラたちは双子が一生懸命考えているのが伝わりふわりとセイラは笑う。
「セイラはすんなり決めてたけど、前々から考えていたのか?」
「うん、二人何か上げたいと思っていたけど、思っていたようなものがなかったから、少し諦めていたの。」
「そうか。」
「だから、カルムには感謝しているだよ。」
「セイラ…。」
ニッコリと微笑むセイラにカルムは思わず足を止めた瞬間、カツン、カツンと金属が木に刺さるような音がした。
「「……。」」
「ちっ…。」
いつの間にか奥の扉が開いており、そこから金色の髪の間から見れる青い瞳がさっきの色を帯びていた。
「外しましたか…。」
「……。」
「ミラ。」
カルムは一歩でも自分が踏み出していればナイフにしては華奢なそれが自分の脚を貫いていたのかと思ってぞっとし。
セイラはいきなり攻撃してきたミラに頭を抱える。
「お前、俺を殺す気か?」
「あら、どこをどう見ましたら殺せると思います?」
「それに毒を塗っていたら確実だと思うが?」
「…………。」
「ちょっと待て、その沈黙は何だ、マジで、毒塗っているのかよ。」
「さあ?」
「さあ?って、何だ!マジで何を塗っているんだよ。」
「さあ。」
くすくすと笑っているミラにカルムは睨めつけながら、それを拾い上げ、じっと見つめる。
「塗られているな…何か。」
「ちょっと、見せてくれる?」
大人しくしていたセイラはひょいっとカルムからナイフを取り上げる。
「おい、セイラっ!」
「セイラ様、危ないので触らないで下さいっ!」
行き成りの暴挙にカルムとミラは慌てふためくが、セイラは肩を竦めるばかりで終わらせる。
「……色はなさそうね…、臭いも、無臭……ううん、違う、これは……。」
セイラは自分の記憶を掘り起こし、そして、見つけた一つの回答に彼女はミラを睨む。
「ミラ、これは流石にないのじゃない?」
「……。」
「麻痺毒、しかも、あと少し多かったら呼吸困難などの症状を引き起こすわよ。」
セイラの言葉にカルムはギョッとするが、もう一本のナイフを落とすような事はなかった。
「……。」
「ミラ。」
居心地悪そうにそっぽを向くミラにセイラはため息を零す。
「確かに私たちならばこの毒は効かないけれども、冗談でもこんなことをしてはいけないわ。」
「申し訳ございません。」
すんなりミラは謝って見せるが、カルムを見る目だけは何処か怒りを滲ませていた。
カルムはセイラに怒られるのは自業自得だろう、と言うように睨み返す。
「………ミラ。」
態度を改めないミラにセイラは諦めたように彼女の名を呼ぶ。
「何でしょうか?」
「……もういいわ。」
ニッコリと笑うミラにセイラはこれ以上何を言っても無駄だと悟り、首を弱弱しく振った。
「おい、お前、これどうしたんだ?」
「どうしたとは?」
「お前、こんな暗器持っていなかっただろう。」
「女将様から頂きました。」
「……。」
カルムは女将さんの意図が分かり黙り込み、セイラは武器を見て、こんな高価なものをいただくだなんてと絶句する。
「わたしはレラと違い、攻撃性は低いのでこちらを持ち歩くべきだとおっしゃられまして。」
「でも…。」
「それに子供でも扱えるか試してほしいとのことでして。」
「……。」
セイラは女将さんと直接話をしないといけないと思い、頭を軽く押さえた。
「セイラ、どうした?」
「セイラ様?」
「いいえ、何でもないわ。」
セイラは小さくため息を零し、そして、このまま立ち止まっている場合じゃなかったので、暗器を布で包み、ミラたちが待つ部屋に向かった。
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