僕がサポーターになった理由

弥生 桜香

文字の大きさ
31 / 128
第一章

29

しおりを挟む
 とうとうやってきてしまった。

 最終対決。

 正直、勝っても負けても何もはない……はずだ。

 でも、女性たちの目が正直恐い。

「……。」

 僕は小さく溜息を吐き、相手を見る。
 確か、彼の属性は「火」と「風」のダブル。
 珍しいけど、ひょうちゃんほどじゃない。

「そろそろいいか?」
「はい。」
「ああ。」

 どしりと構えている相手に僕は深呼吸をして切り替える。

 今から対峙するのは敵。

 敵。

 スッと頭が冴え、僕は合図を待つ。

「両者、構え。」

 来た…。

 僕は手に持っている鉄扇を構え、相手を見据える。
 目の前にいるのは現役の警察官。
 鍛え抜かれた体はがっしりしており、しかも、能力が強いのか時々、炎が噴き出す。

「……。」
「……。」

 互いに睨み合い、そして、次の合図を待つ。

「………始めっ!」

 合図とともに男は僕に向かって火炎をぶつけてくる。
 僕はそれを鉄扇に力を流し、いなす。

「ほお。」

 火炎を薙ぎ払う。

「舞うが如く払うか。」
「……。」

 次々に襲い来る火炎に僕は舞うようにして払いのける。
 舞は意外に役に立つ、動きに無駄はなく、しなやかに動くので普段鍛えない筋肉を動かす。
 僕はどうも筋肉がつきにくいタイプなのでこうした動きの方が適している。

「……仕方ないな。」

 その一言で男の攻撃は肉体戦に切り替わる。
 一気に目の前にやってきて、殴り掛かる。
 僕はそれをひらりと躱す。

「はっ!」
「……。」

 避けたはずなのに、風圧によって体が痺れる。

「……。」

 僕は鉄扇ではあの攻撃は無効に出来ないと悟り、それを懐に仕舞う。

「ほお、武器を仕舞うか、降参するのか?」
「まさか。」

 僕は好戦的に微笑む。

「この道場は体術を主体としております。」
「……。」
「僕の本来の得物は鉄扇ではありません。」
「……。」
「この拳と脚です。」

 着物が邪魔だったが、いつ何時このような事態になるか分からない。
 コンディションだって悪い時だってある。
 そんな時泣き言を言う自分は彼の隣に立つ資格なんてない。

「ほお…。」

 感心したような声に僕はようやく相手が同じ土俵に立ってくれたのだと悟る。

「いざ尋常に。」
「勝負といこうか。」

 口角を上げ、僕たちは笑った。
しおりを挟む
感想 7

あなたにおすすめの小説

アイドルくん、俺の前では生活能力ゼロの甘えん坊でした。~俺の住み込みバイト先は後輩の高校生アイドルくんでした。

天音ねる(旧:えんとっぷ)
BL
家計を助けるため、住み込み家政婦バイトを始めた高校生・桜井智也。豪邸の家主は、寝癖頭によれよれTシャツの青年…と思いきや、その正体は学校の後輩でキラキラ王子様アイドル・橘圭吾だった!? 学校では完璧、家では生活能力ゼロ。そんな圭吾のギャップに振り回されながらも、世話を焼く日々にやりがいを感じる智也。 ステージの上では完璧な王子様なのに、家ではカップ麺すら作れない究極のポンコツ男子。 智也の作る温かい手料理に胃袋を掴まれた圭吾は、次第に心を許し、子犬のように懐いてくる。 「先輩、お腹すいた」「どこにも行かないで」 無防備な素顔と時折見せる寂しげな表情に、智也の心は絆されていく。 住む世界が違うはずの二人。秘密の契約から始まる、甘くて美味しい青春ラブストーリー!

陰キャ系腐男子はキラキラ王子様とイケメン幼馴染に溺愛されています!

はやしかわともえ
BL
閲覧ありがとうございます。 まったり書いていきます。 2024.05.14 閲覧ありがとうございます。 午後4時に更新します。 よろしくお願いします。 栞、お気に入り嬉しいです。 いつもありがとうございます。 2024.05.29 閲覧ありがとうございます。 m(_ _)m 明日のおまけで完結します。 反応ありがとうございます。 とても嬉しいです。 明後日より新作が始まります。 良かったら覗いてみてください。 (^O^)

笑って下さい、シンデレラ

椿
BL
付き合った人と決まって12日で別れるという噂がある高嶺の花系ツンデレ攻め×昔から攻めの事が大好きでやっと付き合えたものの、それ故に空回って攻めの地雷を踏みぬきまくり結果的にクズな行動をする受け。 面倒くさい攻めと面倒くさい受けが噛み合わずに面倒くさいことになってる話。 ツンデレは振り回されるべき。

幼馴染み

BL
高校生の真琴は、隣に住む幼馴染の龍之介が好き。かっこよくて品行方正な人気者の龍之介が、かわいいと噂の井野さんから告白されたと聞いて……。 高校生同士の瑞々しくて甘酸っぱい恋模様。

ある日、木から落ちたらしい。どういう状況だったのだろうか。

水鳴諒
BL
 目を覚ますとズキリと頭部が痛んだ俺は、自分が記憶喪失だと気づいた。そして風紀委員長に面倒を見てもらうことになった。(風紀委員長攻めです)

【完結】後悔は再会の果てへ

関鷹親
BL
日々仕事で疲労困憊の松沢月人は、通勤中に倒れてしまう。 その時に助けてくれたのは、自らが縁を切ったはずの青柳晃成だった。 数年ぶりの再会に戸惑いながらも、変わらず接してくれる晃成に強く惹かれてしまう。 小さい頃から育ててきた独占欲は、縁を切ったくらいではなくなりはしない。 そうして再び始まった交流の中で、二人は一つの答えに辿り着く。 末っ子気質の甘ん坊大型犬×しっかり者の男前

【完結】ハーレムラブコメの主人公が最後に選んだのは友人キャラのオレだった。

或波夏
BL
ハーレムラブコメが大好きな男子高校生、有真 瑛。 自分は、主人公の背中を押す友人キャラになって、特等席で恋模様を見たい! そんな瑛には、様々なラブコメテンプレ展開に巻き込まれている酒神 昴という友人がいる。 瑛は昴に《友人》として、自分を取り巻く恋愛事情について相談を持ちかけられる。 圧倒的主人公感を持つ昴からの提案に、『友人キャラになれるチャンス』を見出した瑛は、二つ返事で承諾するが、昴には別の思惑があって…… ̶ラ̶ブ̶コ̶メ̶の̶主̶人̶公̶×̶友̶人̶キ̶ャ̶ラ̶ 【一途な不器用オタク×ラブコメ大好き陽キャ】が織り成す勘違いすれ違いラブ 番外編、牛歩更新です🙇‍♀️ ※物語の特性上、女性キャラクターが数人出てきますが、主CPに挟まることはありません。 少しですが百合要素があります。 ☆第1回 青春BLカップ30位、応援ありがとうございました! 第13回BL大賞にエントリーさせていただいています!もし良ければ投票していただけると大変嬉しいです!

記憶喪失のふりをしたら後輩が恋人を名乗り出た

キトー
BL
【BLです】 「俺と秋さんは恋人同士です!」「そうなの!?」  無気力でめんどくさがり屋な大学生、露田秋は交通事故に遭い一時的に記憶喪失になったがすぐに記憶を取り戻す。  そんな最中、大学の後輩である天杉夏から見舞いに来ると連絡があり、秋はほんの悪戯心で夏に記憶喪失のふりを続けたら、突然夏が手を握り「俺と秋さんは恋人同士です」と言ってきた。  もちろんそんな事実は無く、何の冗談だと啞然としている間にあれよあれよと話が進められてしまう。  記憶喪失が嘘だと明かすタイミングを逃してしまった秋は、流れ流され夏と同棲まで始めてしまうが案外夏との恋人生活は居心地が良い。  一方では、夏も秋を騙している罪悪感を抱えて悩むものの、一度手に入れた大切な人を手放す気はなくてあの手この手で秋を甘やかす。  あまり深く考えずにまぁ良いかと騙され続ける受けと、騙している事に罪悪感を持ちながらも必死に受けを繋ぎ止めようとする攻めのコメディ寄りの話です。 【主人公にだけ甘い後輩✕無気力な流され大学生】  反応いただけるととても喜びます!誤字報告もありがたいです。  ノベルアップ+、小説家になろうにも掲載中。

処理中です...