僕がサポーターになった理由

弥生 桜香

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第一章

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「……。」
「……。」

 師範と僕は睨みあっていた。

「来ぬか。」
「……。」

 師範には一切の油断も隙もなかった。
 攻めに行っても確実に攻撃を流されてやられる。

「来ぬのなら、こちらから行くぞ。」

 そう言うと師範は一気に僕との距離を詰める。
 巨体に似合わないスピードに僕は舌打ちを打つ。
 真っすぐな攻撃が僕を襲う。
 師範の攻撃でなければ受け流し、反撃に出るのだが、この人の攻撃は受け流す事が出来ない。
 何度も何度もその攻撃を受け流す事に失敗している、今回は上手くいくなんてそんな過信はない。
 僕は身を逸らしてかわすが、師範はそれを呼んでいたのかノーマークだった反対の拳が僕のわき腹を抉る。

「ぐっ…。」
「甘いわ。」

 何とか態勢を整えようとするがそれよりも早く師範はもう攻撃を仕掛けてくる。


「く…。」

 一つ一つの攻撃は重く、僕は避ける事に専念するが、三回に一回は攻撃を食らう。
 致命的な攻撃ではないがそれでも、致命傷にはなりえない。

 いや、違う。

 師範が手加減をしてくれているから僕は避けられるんだ。

 僕は弱い。

「余計な事は考えるな。」

 その言葉と共に蹴りがもろに僕の腹にめり込む。

「ぐあっ!」

 吹っ飛ばされて、背中から壁に叩きつけられる。

「かはっ…。」

 内臓が飛び出るんじゃないかと思うくらいの衝撃だった。

「もう終わりか?」
「まだ、まだだっ!」

 口元を拭い僕は構える。

「そうでないとな。」

 師範も構えを取る。

「武器も可能にするか?」
「いや、いらない。」
「ふん、そんなボロボロでやれるのか?」
「やれる。」
「なら、証明してみろ。」
「絶対に一撃入れてやる。」

 床を蹴り師範に突進するがすぐに右に飛ぶ。
 そして、先ほど僕がいた場所に師範の攻撃が入る。

「ちっ。」

 すぐに師範は攻撃を僕に繰り出すが、僕はまた床を蹴り、師範の背後に回り込み攻撃を仕掛けるが、止められる。

「捨て身か。」
「……。」
「そんなんで勝てると思うか?」
「言っただろう。」

 師範はその体格通り重い攻撃重視の戦い方だ。
 一方、僕は攻撃が軽い。
 だけど、スピードならば彼に勝てる。
 だいぶ体力は消費してしまっているがそれでもあと少しくらいはもつだろう。

「僕は勝つんじゃなくて、一撃を入れるんだよ。」

 床を蹴る。

 蹴る。

 蹴る。

 師範は僕のスピードに追い付けないのか攻撃を仕掛けてこない。

 まだだ。

 まだ速さも何もかも足らない。

「はあっ!」

 蹴りを一発師範に入れるが、残念な事に止めらる。

「言っているだろう、お前の攻撃は軽い。」
「くっ。」
「それに切り札はあまり見せびらかすな。」
「しまっ!」

 師範の容赦ない攻撃が僕を襲う。
 そして、未熟な僕は勝てる事無く。
 意識を失った。
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