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第12話 食べてもらう
しおりを挟む「「えぇ??」」
出来たサンドイッチは、たっくさんあるから……おかあさんたちにも食べてほしいと持ってきたの。
運んでくれたのは、おじいちゃんだけど。
美濃さんは、やっぱり来れないんだって。あの蔵から出れないみたい。
「桜乃が初めて作った、渾身のロールパンサンドだ」
「おじいちゃんと一緒に作ったの!!」
美濃さんのことは内緒って言われたから……そう言うと、おとうさんにおかあさんはさらにびっくりしてくれたわ!
「あらあら、さっちゃんがご飯作ってくれたの?」
おばあちゃんもお店のレジから来てくれたので、うんと言ったわ。
「おじいちゃんとつくったの!」
「そうなの? おいしそうねぇ?」
「ばあちゃん、パンの方も桜乃が作った」
「あらまあ!」
やっぱり、子どもがパンをつくるのって……すごいんだ!! うれしいわ!!
「ちょうど店じまいだろ? ついでに食べてやってくれや」
「食べて食べて!!」
「……そうだな」
「ええ」
「あら、かわいいサンドイッチねぇ?」
お店はもうおしまいだし、お客さんもいない。
食べてもらうなら、今だもの。
おかあさんは宙太をベビーカーに乗せて、おとうさんとおばあちゃんと……サンドイッチを手に持ってくれた。
あたしは……少しだけ大丈夫か気になったけど。みんな、すぐに食べてくれて……『おいしい!』と言ってくれたわ!!
「……マジか?」
「これ……桜乃が?」
「上手に出来たわねぇ? さっちゃん」
「うん!!」
ほめてもらえた。
まだ、パンを一種類つくってみただけだけど……大成功!!
もっと……いろんな人に食べてもらいたいなあ?
学校持っていったら……つぶれちゃいそうだし。
前に、メロンパン持っていって……ぺったんこになったもの。
「けど、親父? どんなけ作ったんだ?」
「ああ。……ざっと五十」
「作り過ぎだろ!?」
「さっちゃん、ご近所さんに配ったら?」
「! いいの!?」
「わたしたちだけじゃ、おなかいっぱいだもの」
「んじゃ。桜乃行くぞ?」
「はーい」
いちおー、美濃さんにも聞かなきゃだもんね?
美濃さんは、サンドイッチを……指ぱっちんで消しちゃったけど。捨ててはいないと思うもの?
『ほほほ。おすそ分けか?』
蔵にもどったら、美濃さんはのんびりとお茶を飲んでいたわ。
なんだか、すっごく安心出来ちゃう。
「別にいいだろ?」
『かまわぬ。ポイントも増えるからのお?』
「そうなの?」
『うむうむ。見せてやろう』
美濃さんが指ぱっちんすると……あのステータスって板が見えて、数字のたっくさんあるとこが『➕10』って光ったわ!
「……増えた?」
「俺にも見えるように出来んか?」
『特別じゃ』
おじいちゃんにも見えるように……美濃さんがしてくれたらしいけど。
ステータスを見ると、おじいちゃんがお口あんぐりになっちゃった。
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