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14-4.美味しいデザート(マールドゥ視点)
しおりを挟む★・☆・★(マールドゥ視点)
「ふぉおおおおおお!!」
「これは、美しい……!」
副ギルマスと私の前に出された『チョコレートパフェ』は。
高級茶店顔負けなくらい、綺麗なグラスに盛り付けられた芸術品となっていた。
クリーム、チョコレート、焼き菓子、フルーツにアイス。
どれもが、以前食べさせてもらったパフェとは違う、普通の食事だ!
「セリカちゃん、これ普通のパフェみたいだけど。もうクロームに食べさせたの!?」
「はい」
「俺様が半分まで痩せたから、褒美として作ってもらっただけだ! と言うかセリカ、俺様はこれだけか?」
「我慢して。あと30キロ痩せなきゃ」
「くぅ……」
そう。
クロームの分だけは、私達の半分以下のグラスに小さく綺麗に盛り付けられているだけで。クロームが言うには、昨日食べさせてもらったそうだから今日はこれだけなんだってさ。
なるほど、なんかいい気味!
けど、自堕落生活を願望してたクロームが、家事を嫌々どころか積極的に手伝うだなんて思わなかったわ~。
これは……何かありそうね?
「とりあえず、いっただきまーす!」
「いただかせていただきます」
副ギルマスと一緒に手を合わせてから、スプーンを片手にクリームへとIN!
(……うっわ。クリームも滑らかで美味しそう!)
どれもこれもが手作りだって言うけど、あのシャインって魔導具で錬成したのも加わっているのかしら?
気にはなるが、アイスが溶けないうちに食べた方がいい。まずはすくったチョコレートソースがかかった生クリームを口に運んだ。
「お、いし!?」
「ええ。とても口溶けが良くて美味しいですね!」
「……ありがとうございます」
以前食べたのには、ビターチョコを使ってたらしいが。これは馴染みの深いミルクチョコレートを使用している。
以前、チョコの発注があった時はセリカちゃんがおやつとかに食べるのかしら? と思ってたらけど、こう言う使い方があったのね、とこれで納得出来た。
口溶けの良い滑らかな生クリームに、ほんのわずかに苦味を利かせたミルクチョコレートのソースが口いっぱいに広がると、なんとも言えない幸福感に包まれる。
それに、庭とかで収穫したらしい木苺に加えて、保存の魔法で期限を引き延ばした色とりどりの果物が、可愛くカットされて載せられている。
瑞々しい果物も頬張ってから、次にメインのもう一つであるアイスクリームにスプーンを入れれば。
少し柔らかくて、これまた口溶けが良さそうな逸品!
前の豆乳って言う豆の乳で作ったらしいアイスも美味しかったけど、これは期待大だわ!
迷わず口に入れたら、ひんやりとした風が突き抜けていくようだった!
「これが、アイスですか? 茶店で食べるのよりもずっと滑らかで冷たくて美味しいですね!」
「……生活魔法を、いくつか行使しました」
「ほう。察するに、冷却や温熱ですか?」
「……はい」
「美味しすぎるよ、セリカちゃん!」
ほんと、エーテル培養液の不完全さがあったからって、こんなにも美味しい料理を作れるホムンクルスを生み出したクロームは確かに天才的だわ!
上の層を堪能してから、グラス内部にある白と茶色の綺麗な層もすくえば、チョコと生クリームの美味しいクリームの層だった。
「くぅ……なくなる!」
クロームは制限されているから、ちみっとしか食べれない。まあ、まだまだおデブさんだし、食べる制限と運動が伴うまで爆食いは禁止よね~?
「……ふぅ、ご馳走様でした」
「美味なる逸品、感謝極まりないです」
「……そうですか」
んもぉ、セリカちゃんはクールビューティ過ぎるわ!
幼馴染みである私やチェストよりも、クロームへの扱いが分かってるって感じだし。
それにそれに……なんか、クロームといい雰囲気に見えるのよね? ここに来ない間になんか進展があったのかしら?
ちょいとお姉さんがひと肌脱いで、セリカちゃんに突撃インタビューでもしようかしら?
まだすぐに帰るわけじゃないから、いいよね~と、後片付けをクロームじゃなく私が買って出ることにした。
「ね、ね、セリカちゃん!」
「……なんでしょう?」
相変わらず、無表情で笑顔がニコリともしない綺麗なハイエルフ型だけど。ちょーっと、踏み込めば絶対何か聞き出せそうだわ。
「……セリカちゃんは、クロームのことどう思ってるの?」
「っ!」
お、早速反応ありました!
怪我はしなかったけど、グラスをシンクの中で粉々にする一歩手前だったわ。
けど、クロームのことを聞いて動揺する彼女から、初めて無表情でない表情が浮かんでいたのだった。
「んー?」
「ま……マールドゥさん」
「はいな?」
「き、気付いて……いるんですか?」
「私は今ちょいと気になって聞いただけだよー?」
「……不覚」
と言うことは~、少なからずセリカちゃんはあのクロームに好意を抱いているわけねー?
クローム自身は極度の鈍チンだから、アピールしない限り気づきはしないだろうけど……さっきのように、自分から進んで手伝うと言う感じから、絶対セリカちゃんのこと意識してるわね?
「えー、けどぉ。今のクロームだよ? 昔のクロームはそりゃ幼馴染みから見ても超美形だったけどさ?」
「……けど、マスターはマスターです。私は、これまでより今のマスターに想いを寄せています」
「おお!」
こんな可愛くて綺麗で健気な美少女に想われているだなんて羨ましいぞ、クロームめ!
けど、セリカちゃんとクロームを見てるとなんだかこっちも応援したくなる気持ちになるのは不思議よね~?
セリカちゃんが生まれてまだ半年だけど、ただの従僕関係が逆転してるとことかおかしかったせいかな?
「……けど。マールドゥさん、このことはまだマスターには内密に」
「なんで?」
「せめて、マスターのケジメがついてから……の方がいいと思いまして」
「なるほー」
たしかに、不正のエーテル生成液を極秘に売りつけられて、命まで狙われてたんだから。今は色恋沙汰に構っている余裕はない。
であれば、解決して、クロームの体も元に戻ってからの方が薔薇色人生を送れると言うもの。
なら、私はセリカちゃんの相談相手に相応しいのでは?
「セリカちゃん、クロームのことについてなら私になんでも聞いて?」
「……いいんですか?」
「あ、心配しないで? クロームのことは前の姿でも綺麗な幼馴染みにしか思ってなかったから。セリカちゃんの前で言うのもなんだけど、あいつ性格悪かったし」
「…………今、は。優しいです」
「およー?」
「昨日も、食事を作ってくれました」
「んんー?」
これはもしやあいつも?
くりんとダイニングの方に振り返っても、クロームは副ギルマスと何か話題に盛り上がっているが、内容はよく聴こえてこなかった。
「マスターも、何か変わろうとしてるのかもしれません。なら、私は手伝いをするまで」
「健気だねー?」
よしよしと艶やかな髪を撫でてあげたのだった。
とりあえず、収穫は色々出たし、副ギルマスとゆっくり荷馬車で帰る途中。副ギルマスが片眼鏡を上げて私に振り返ってきた。
「マールドゥ。あそこは甘酸っぱい恋の巣でしかありませんね!」
「恋の巣……ってことは!?」
「気付いていましたか? セリカ嬢もですが、クローム=アルケイディスも互いに想いを寄せ合っています!」
「えええええええええ!!?」
やっぱりそうだったのか!
これはチェストにも教えたいとこだけど、あいつポロッと口にすることが多いから。最近また湧いてきたクロームの取り巻き連中達の前でも言いそうね?
なので、私と副ギルマスは街に入る直前まで、いかにあの二人を影ながら応援するかなどと、色々語り合ったのだった。
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