ポイ活で、異世界ファームを育成しよう!

櫛田こころ

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第118話 パートナーシップについて?

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 夏奈は並行世界でも、『表裏』の中にとどまっているのに未だに慣れずにいた。

 ズレて、ズレて……その『境目』から見つけ出して、意識体を引き抜いたのは『小鳥遊美晴』だったが。

 目を閉じた暗闇の向こう側から、いきなり引っ張り出すとかの荒業をしてきて……夏奈をキャッチしたかと思えば、楽しそうにハグをしてくるばかり。体温は感じないが、ほとんどはじめての経験にびっくりして離れようにも離れられなかった。


『え? あの……だ、れ?』
 

 とりあえず、無難な質問しか出来ないでいると、『そっか』と言う声と同時に今度は両手で頬を包み込んで顔を覗き込まれた。

 いい笑顔でいるので、イケメンの見慣れない笑顔は心臓に悪かった。


「俺は、小鳥遊美晴ってもんや。いきなりで悪いねんけど、俺のパートナーになってくれん? 三富夏奈ちゃん」
『ぱ、パートナー? え? なんの??』
「簡単にいや、恋人以上?」
『いやいやいや!? あなたとあたし、初対面!!?』


 何をいきなり関係性をすっ飛ばしたことを言いやがるんだ、と思っていると彼の頭を誰かが殴ったのか、ゴンっと音が聞こえてきたのと美晴の頭が揺れた。


『端折り過ぎだろ。惚れたのはともかくとしといて』
『……は?』


 服装や髪形はまったく違うが、顔と声はそっくり美晴と同じだった。双子にしては似すぎているし、同一人物にしては性格が少し違う感じ。

 だが、雰囲気だけは夏奈の知るあの『ドッペルゲンガー』に近い女神とそっくりだった。


『ああ、俺か? そいつとは別の時間軸の『美晴』。ハル神って言った方がわかりやすいか?』
『……ナツ、神の?』
『そうそう。そっちとコンタクト取れたようでなによりだ。……美晴、詳しい説明ちゃんとしてやれよ? 俺はそろそろ、あいつを本気で迎えに行く』
「へーい。こっちも肉体込みちゃうし……頑張るわ」
『おう。じゃーな、おふたりさん』


 別れの言葉を口にしたと同時に暗闇の中に溶けていく。瞬間移動かなにか、ここでの仕組みをよくわかっていない夏奈にはなにがなんだか。

 しかし、美晴という男性が夏奈にとってなにか有益な情報を寄越してくれる上で、『パートナー』が必要なのだろうか。その程度しか、考えてもすぐに浮かんでこない。


「あ~……。夏奈、ちゃん」
『……言い難いようなら、呼び捨てでいいです』
「んじゃ、夏奈。お前さんもタメ口でええよ?」
『うん?』
「簡単に言うと。俺らは仮死状態で生かされているんや。それを復興支援していくのに、協力体制で頑張らなあかん。それだと、長期間いっしょにいることもあるから……万が一の事態も考慮されて、さっき言ったパートナーになっとく必要がある。最後の最後、お互いの『種』を残す必要が出てきた場合の保険な?」
『……難しいけど。恋人とか、夫婦の必要性が子孫を残す意味があるためってこと?』
「せや。そこは、パートナーシップとして、俺の妹とダチも組み合されたりしとる。あいつらはまだそれを知らんと恋人のまんまではいるけど」
『……そうなの?』


 単純なナンパとかではなく、それなりの覚悟を持ったうえでの関係性。

 嫌悪感とかを抱えることはあるだろうに、夏奈は美晴を見ても『嫌』とか『うざい』とかはあまり思い浮かぶことがなかった。おそらく、先にハル神の姿を見たせいもあるからだろう。あの神は少し近寄りがたい雰囲気を持っていたのに、同じ顔でも性格や口調でこんなにも親しみを持てるのだから。

 なので、そのあと藍葉がこちらとのリンクを作動させ、ふたりで端末の画面に顔出ししたときには……『ひとり』じゃない寂しさが吹っ飛んだことで、美晴の明るさはもう受け入れていた。


(あたしがどういう生き方してきたとか、無関係に……美晴のことも、あたし何も知らないもん)


 生活の困窮以上に、地球側の危機とか色々切羽詰まっていることに変わりないが。これからの生活のために、出来る『何か』を境目からスタートしようというのには賛成出来た。異世界ファームは藍葉に任せ、ふたりでズレとズレの境目を修理していく『ネットサーフィン』のシステムで潜っていく。

 次に、いつほかのサーバーとリンク出来るかはわからないが、死なないためにも美晴と手を取って進んでいくのだった。
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