ポイ活で、異世界ファームを育成しよう!

櫛田こころ

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第124話 クロスし過ぎて、どこがどこだか

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 『加東奈月』はいわゆる『迷子』になっていた。

 本人が意図的に起こしたわけではない。

 世界との境目が混乱状態となり、同調していたそれぞれの『加東奈月』と混ざり込んでしまい……どれがどの『加東奈月』なのかわからなくなったのだ。

 だから、『地球側』とその隣接の境目へ焦点をあててみても……なかなかどうして、ふたつの『奈月』が混ざってしまったのだ。


「……どこ、ここ?」
『俺に聞く? わっかんねーよ』


 自問自答に近いが、同一のようでいて別人の存在のお陰で会話は成立出来ていた。

 ただし、逆から見れば、二重人格のそれか精神病で言う『幻聴』との会話に見られるかもしれない。しかし、コールドスリープのポッドに入れられている今、奈月らの会話は誰にも届いていなかった。

 ほかを集められ、『眠って』いるからだ。ここからさらに、他所のポイントに運ばれていくことは事前に計画していたので順調であることはわかっている。

 でも、『どこに』いるのかまではわからないのだ。『本人』が『本人』の中にいるのかどうかについては。

 ひと昔の言い方で言う『憑依』の仕方が、大きなショックに近い刺激のせいでシャッフルされてしまったのだ。自宅で倒れた地球側の奈月はそれで父親に発見され、救急車で大型の病院へ入院することにはなったが、感情の乱れか脳神経の負担が大きかったかで……持病と合わせて最悪な入院の仕方をすることになった。

 点滴複数と拘束器具。それらを合わせての精神科病棟と同じ扱いでの入院。

 だがこれも、『クロニクル=バースト』を立ち上げる際に想定していた『予知』だった。世界線との境で、他所の自分との『シャッフル』されれば……外見的には異常とみなされて治療に専念させられるだろうと。

 父親にも、もしかしたら……と、告げてはいたが、こんな短期間でその現象が起きるとは思わず混乱したかもしれない。亡き母のドナーを受け、何事もなく生活しているように見せて、実は大掛かりな計画をしていたのを……彼には言えなかった。

 禁忌の禁忌、死者の蘇生以上にの禁断の事象を起こすのに、クリエイター集団の皮を被って、今日まで欺いていたのだから。
 

「あ~……、誰か適任者見つけてくれたのかな?」
『ぎりぎり起きてる連中のとことかか? シゲとかマサなら、寝る前に用意くらい出来ただろ?』
「俺が現実側では死んだとしても……ね?」
『させねぇだろ? パラレルワールドの再生を目論んでるんだから』
「協力者。結構集めたしね? マッチングアプリのそれとみせかけて」
『親父んとこの大学の後輩らも全員それだかんな? 健常者、障がい者とか関係ない』
『「パートナーシップ制度……だ」』
「さっちゃんはどこにいるんだろ?」
『さっき、一瞬だけお互いのには会えたが……』
「ポッドに入っていたら、もうしばらく無理だもんね……」
『俺とお前も引き離されたら……、互いの捜索くらいしか出来んだろ。また会うまでには外の様子とかしか見れんな?』
「けど、俺。めっちゃ拘束されているから全部真っ暗だよ?」
『あ。そっか……こっちが出るか』
「向こう側はまだセーフなんでしょ? 頼んだ」
『ああ』


 境目での『会話』がいったん終了すると、奈月の意識は少し起き上がることが出来た。空調効いていないのか冷気が酷く部屋の中に留まり、ベッドの防寒対策も意味ない状態になっていた。ナースコール対応もされていないので、看護師も誰も来る気配がない。

 そもそも、今が何月何日で何時なのかも、部屋に認識できるものどころか真っ暗い状態なためになにもわからなかった。


「……え~? ちょっと、お腹も空いてきたんだけど??」


 ひとまず、精神的に落ち着いた言動と肉体面での補填活動が無事に再開出来たのにはほっと出来たのだった。


(『クロニクル=バースト』のシナリオに残してきた、ちらばったストーリーのひとつじゃん。この状況)


 それがまさか、自分自身で体験するとは奈月自身も予知していても予想外過ぎだと自覚はした。
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