ポイ活で、異世界ファームを育成しよう!

櫛田こころ

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第125話 待機中

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 成樹はNPCの『タチカワ』の中で、しばらく動けないでいた。

 『スカベンジャー・ハンター』の中の運営NPCとして在籍は出来ている状態ではあるものの、現実側では『起きれない』状況に変わりない。実質的な部下であり、恋人の藍葉とコンタクトを取ろうにも彼女が成樹の自宅兼仕事場に到着したのか保証はないのだ。

 同じく『起きて』いるクロード=如月からも連絡がないのなら、なんとかフォローは出来ているのだと思うしかない。

 とりあえず、意識が『寝て』いる成樹としてはこのVRMMOの中で、運営を維持しながら『クロニクル=バースト』を保持しなくては。


『……どこじゃ、奈月?』


 『タチカワ』のモーションは、キャラクターとしての活動くらいしか動くことが出来ないでいる。こちらではついさっき、イベントが発生したために警察部隊としては上の指示抜きに好き勝手な判断で動けないのだ。

 『イバラキ』の内部を担当している、『加東奈月』を一時的に捕獲しておいたのだが。β版どころか、彼の親友である『仁王雅博』のシナリオにあった『本編』どおりのそれとして動いてしまっているのだ。

 ユーザーが自分の意思でゲームを楽しむように。

 開発と運営側が適度に組み込ませた『イベント発生』。それを、どうやら成樹のサイドで簡易的なものでも起きてしまったのだ。単純な話、どこかのNPCかモニターたちのユーザーが導いたかで、牢屋からの脱獄をしてやられた。

 『加東奈月』の意識レベルが、精神病棟の重症入院のそれになっている報告が来た時に藍葉の方も同じように起きた。同調しているのかわからないが、適合者として藍葉は『起きて』いる側で待機してくれているのは助かった。

 でなければ、成樹も本来の仕事としてこのゲームの中での運営を続けられなかったからだ。彼氏としては、恋人に悲しい以上の感情を植え付けてしまったが。

 その分、謝罪は画面越しでもたっぷりしたし、許してもらえた。その次は、成樹が『起きる』番だ。運営側としてはこれ以上機能向上は難しいし、藍葉のところに行って助けてやりたいし……なにより、いっしょに居たかった。


(本来なら、クロードがおる会社に行くべきじゃろーが。藍葉はたったひとりじゃ)


 世界被害とも言える極寒な環境の中、ひとりで成樹の家に向かって待機しているというのなら……成樹もコールドスリープのポッドから起きて外に出たい。

 だが、関係者によって運び込まれたために勝手に出れないし、VRMMOからの覚醒も出来ないようにさせられている。万事休すと言いたいが、外は外の仕事を信用するしかないのか。

 非常に歯がゆい思いをしているが、こちらのゲーム内で運営維持をする方を優先しなくてはならないか。リンクを外せば、『死』に至るNPC担当が居てもおかしくない。その中に成樹が該当していてもおかしくないのだ。


(出れん。動けん。……藍葉と年越しデートとか色々したかったのも、現状叶わん。面倒じゃが、意識が持つ間はゲーム内で待機かの?)


 目の前ではゲーム内での部下らが右往左往しているのが見えるが、ここで一括でもしたら次のイベントが始まってしまう。せめて、藍葉が到着してからでもいいのでチャットの会話が再開してほしいところだ。感覚的に、三時間以上は経っているが……無事に到着したかも連絡がないので心配でたまらない。

 美晴の方の起動についても知りたいが、同じタイミングで運ばれたはずなのに……こちらに滞在していないのか、さっきからチャットを何度か送信しても応答がないのだ。

 まさか、別の業務に勤しんでいるのか。それともぐっすり寝てしまったのか。後者だったら、起きたときに速攻で殴り飛ばしたくなるが、今はその時じゃないと大人しく待機している『タチカワ』を演じるしかなかった。


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