ポイ活で、異世界ファームを育成しよう!

櫛田こころ

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第129話 希望は見出せた

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 流石だとしか言いようがなかった。


(……優秀過ぎやろ、熊谷)


 彼女として大事にしているのは別として、会社の社員でもない人材がここまで使える存在だとは思わないでいた。常時アップデートが必要なくらいに、『ポイ活』をうまく活用して並行世界である『異世界ファーム』の次元を大きく整えるだけだったが。

 そのおかげで、あちらの『藍葉リーナ』が互いのリンクを解放し合うことが出来た。氷河期のような極寒が落ち着いたわけではないが、冬眠のように眠らされていた無関係者たちが『起きる』ことが出来たのだ。

 クロードが宅配業者以外に、ビルの守衛室へ連絡を取ったが『どうかしましたか?』と馴染みの守衛の声が内線で届いてきたのだから。


「室町さん。如月ですけど、ちょぉ荷物が色々届くかもしれません」
『は? こんな時間……あれ、もう夕方? どうなってんだ??』
「仮眠取ってたんじゃないです? 俺もさっき起きたとこですし」
『……交代の奴が起きて来ないのにな? ま、いいか。りょーかい。着いたら内線でまた』
「おおきに」


 実は一日近くは眠っていたなどと知れば、混乱を招くので適当に話を合わせたのだが。

 外がどうなっているか、彼らが今知ってもあとで謝罪するくらいは覚悟している。ひとまず、セキュリティーについてはこれでロックが解除されるので、宅配弁当とかは受け取れるだろう。炊き出し側への打診については、営業先へのメール返信がまだだったのでひとまず保留だ。

 それよりも、通話の向こう側で『仕事』をきちんとこなす少女の手際の良さには惚れ惚れしそうだった。同期で上司の恋人でなければ、例のパートナーシップを申し込んでいたところだが……ふたりの絆とやらを壊してまでは望まないので苦笑いしか出来ない。


(陰険につけ狙う女どもが知ったら……嫉妬丸出しやろーに。けんど、部下としても
 優秀過ぎる人材が『恩人』だと知れたら……そんな暇はない)


 むしろ、マッチング出来なかった自分たちが悪いとだけで終わるだろう。急死の覚悟もして、自ら行動を起こした藍葉を卑下したりしたら……『起きた』ときの成樹らの対応に慄く方が多いに決まっている。そんな思いをしてまで、奪う気があったら勲章ものだが大抵は望まないだろう。


『ん~……疲れているから、味濃いの嬉しいかも。鯖味噌美味しい』


 少し休憩と言うことで、自分と左藤が監修をした冷凍弁当に舌鼓を打つのも羨ましく思えたが。このあとにそれがこちらにも届くという楽しみを持ちつつ、次のアップデートへの手順をクロードなりに講じてみた。美晴のように、絶対音感の創作意欲ほどはうまくいかずとも……それなりにキャリアを積んできたクロードらしさでキーボード操作をこなしてみる。

 デスクトップの中で見える『異世界ファーム』のコロニーは表面にある大陸はまだ一部しか復活してないが、地底火山域くらいのところは『核』らしきものがきれいに活動しているのがよく見れた。

 おそらくだが、あの中に『ナツ神』と『ハル神』がこちら側の境目としてのリンクを保っているのだろう。そこに、『リーナ』への指示がきちんと成されているからこそ、地球側の『回復』が少しずつ始まったのだ。


(さて、次は……奈月の方やけど)


 どこぞの病院でコロニーを作成するとしか、クロードにも言い残していないので……具体的に『どこの病院』なのかがさっぱりだ。大学教官をしている父親の関連なら、附属病院しか思いつかないが……無駄足でもいいからと、元旦だろうが関係なく連絡を取ってみることにした。
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