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第十九章 眞島の場合⑩

第1話 結構悩む

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 眞島まとうれいは非常に悩んでいた。

 恋人とのことで……だが、破局とかそう言う問題ではない。

 恋人の小森こもり裕司ゆうじのことを……怜はとても大好きだ。あまり口にすることは恥ずかしいが、それ以上に愛してもいる。

 気持ちの面ではともかく、怜が悩んでいるのはイベントについて。日本では、バレンタインと対になる『ホワイトデー』のことだ。


「むむぅ~~……」


 ひと月くらい前、のバレンタインだったが。

 大学の友人である伊東いとう皐月さつきとの合同提案と言うことで……それぞれの恋人を連れて、そこそこお高めなホテルのスイーツバイキングに行ったのだが。

 払えなくないと言うのに、逆に裕司からは出費すると金を渡されてしまった。それは皐月の恋人である富樫とがし智也ともやも同じだった。

 きちんと、皐月と相談した上で組んだプランだったが……やはり、男性側には気を遣わせてしまったようだ。肝心のバイキングの方も、美味しくないわけではないが普通の女子とよりも……舌が肥えてしまった怜にはいまいちだった。

 だからではないが、裕司の津餃子を食べたいと皐月らが提案したことで……甘いどころかしょっぱい系のバレンタインデーを過ごした。皐月が提案したひとつにあった、裕司と智也との接点を取り持つことは出来たため……また新たなきっかけを与えることも出来た。

 裕司には、『怜やん様様だよ』と言ってもらえた。

 いいことになったが、少し望んでいたバレンタインと違う結果だった。

 だから……怜は、これはもうホワイトデーにもきちんとプレゼントを渡さなくてはと思ったのだが。


「うぅ~ん……」


 バイトも大学もほとんどない、春休みののどかな一日。

 今日は裕司がバイトなので、怜は自宅でひとりだった。裕司の部屋に行って、掃除やらなんやらしても構わないのだが……ホワイトデーについては自分の家で計画をしたかった。

 サプライズでなくてもいいのだが、出来れば喜ぶものにしたい。お金をあまりかけず、かつ喜ぶもの。それがすぐにわかれば……ここまで悩むことはない。

 具体的に、裕司にチョコレート菓子を渡してはいないから……クッキーなどのホワイトデー菓子をあげるのも不自然。

 あと、チョコレートとは違って、あれらには変な意味がもうけられている。それもバレンタインと同じように、日本独自のものであるらしいから。


「私をもらって? いやいやいや、こもやんはそう言うの……い、いやかなあ??」


 裕司とは本当の意味で恋人の垣根を越えた。以降、不定期ではあるが……そのような行為をお互いの部屋でもするようになった。

 今更な部分もあるが、行為に発展させるような……お約束な展開を裕司は望むだろうか。喜んでくれないわけではないが、なにか違うような気がした。

 なので、バレンタインで関わってくれた皐月に通話してみたら。


『あ~~……ホワイトデーねぇ?』


 皐月も皐月で、気にしていたのか……彼女自身も智也へ考えていたようだった。
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