スキル『洗濯』の能無し悪役令嬢は、冷酷王太子殿下と虹染めに夢中〜無自覚溺愛に振り回されつつも、隣国は楽園です!〜

櫛田こころ

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第8話 ちゃんとした……

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 馬車に揺られ、連れてきていただいた場所は……神殿でしたの。

 リデル様の説明ですと、アースト側の王城らしいですが。どう見ても神殿そのものでしたわ!!


「……腹部の刺激は、いきなり普通の食事にしないでおくか。ライオス、お前もまだセレストに戻るつもりはないだろう?」
「はい、兄上!」
「なら、奥の方で野営もどきをするか」
「いいですね! 流石に正装からは着替えてください」
「……別にこれでもいいだろう」
「いけません」


 とんとんと、ご兄弟で段取りを進められ……わたくしは女神のように愛らしいふわふわ髪のメイドに肩を掴まれ、動けませんでした。


「姫様も、お着替え致しましょう」
「はい?」


 この正装は破いて捨てても問題ないと思うのですが。一応正装ということで、あれよあれよと動きやすいワンピースに着替えさせられました。それでも、生地は上等なものとわかるくらいに手触り抜群ですわ!!


「レティ、来たか」
「レイシア姉上! こちらです!!」


 ボロではないですけれど、汚れても良い暗色のベストにズボン。そして目の前には焚き火……と、本当に神殿内で焚き火をしてもいいのでしょうか!?


「焚き火……良いのですか?」
「構わない。俺たちは旅をしながら虹を作る一族だ。大抵のことは自分たちで出来るようにしている」
「兄上の料理は簡単ですが、絶品なんです」
「レティ、空腹じゃないか?」
「……空いています」


 普段から満腹になるほどの食事は、自分で作るとき以外クッキー一枚程度ですもの。だからこそ、肉づきが悪くて貧相な体つきをしていますわ。


「先ほどはマシュマロのみで驚いていたからな。……なら、定番の」
「クッキーとチョコの準備完了です!」
「……レティ、この枝の先を見てごらん」
「? 白い……モニュモニュ?」


 繭のように見えますが、虫ではないようです。ツンツン触ると、むにゅっとした独特の感触がしました。さっき、口に入れていただいた甘いのはこれでしょうか?


「これを……焚き火から少し離しながら回して」


 ほんのり、茶色の焦げ目が付いたら……ライオス様はご用意していたクッキーで上下を挟み? にゅーっと、枝から離れた残りはそのままに、ライオス様からそれを渡されました。


「こちら、野営のおやつに多い『スモアクッキー』です。甘くて香ばしくて美味しいですよ!!」
「クッキー……だけでなく?」
「是非! ひと口!!」
「……では」


 大きく口を開けないと大変でしたが。気にする必要は無いとかぶりついてみると……ちょっと熱いですが、シュワってした後に甘くてトロトロしたものと、一回しか食べていないチョコとの組み合わせが!!?

 クッキーでまとまっていて、素晴らしい味わいになっていましたの!!  ぼろぼろとクッキーは落ちますが、もっと食べたいと口が動いてしまいます!!


「レティ、気に入ったか?」
「……はい。このように甘いもの、初めてですわ」
「まだまだ」
「え?」
「次はこちらです!!」


 ライオス様が仕上げ担当なのか、次は白パンのサンドイッチでした。具材は……炙った燻製肉!!?
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