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第54話 繭殿ふたつめ①
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次のお仕事へ向かう『繭殿』も、前回と同じように転移方陣を使っての移動でしたが。
シャディーレ様のところと同じく、こちらもなかなかに穢れがいっぱいでしたの。
「……前より、凄まじいな」
「……早く、清めて差し上げなくては!」
「落ち着くんだ、レティ。ここで焦っては君が無茶をするだけだ」
「……そうですわね」
穢れを染料に移し替えることが出来るのは、基本的にわたくししかおりませんもの。しかしながら、繭糸にとろりどころか……どろっと粘っこく絡みつく穢れは見ていて気持ちのいいものではありませんわ。
ですが、ここで無茶をしてスキルを使い過ぎてはいけませんもの。わたくしの場合、軽くて空腹程度。やり過ぎだと意識を失いかねないと陛下の見解でおっしゃっていただいてます。ご子息であるリデル様もそこをよくおわかりですから、このように労わりの言葉をくださるのです。
「布……は、今回これを」
紡ぎのセレスト国から用意された『虹染め』に使われる特別な織物。この織物を紡ぐ仕事も、ライオス様がセレストで学ばれている技巧のひとつのようです。今回はその中でも出来のいいひとつをリデル様が選んで用意されたそうですわ。
それを繭殿の手前に広げ、わたくしは端の方に立ち……言祝ぎを紡ぐのです。
この繭殿にはシャディーレ様と対となる聖獣様が眠っていらっしゃるのですから。早く、起こして差し上げたいと思うばかりです。
手を組み、祈るようにして言祝ぎを始めましたわ。
『我が吐息。水のささらに。巡りて巡りて、新たな水を呼べ』
繭殿を囲うように佇む水場を利用し、飛沫から少しずつ繭より穢れを布に移動させる。感覚が慣れてきたら、無理なくひと息に。
それが瞬きよりも少し早い具合に出来たからでしょうか? シャディーレ様のところと同じように金の毛束が穢れの下より現れ……穢れは布の方にと移り、美しく染め上がりましたの。
「さすがは、レティ。成功のようだ」
「ですが。聖獣様は」
「ああ。シャディーレ殿のように、すぐ……あ」
リデル様が静かにと、口に指を当てる姿にときめきかけましたが。たしかに、静かにしていると『もしゃもしゃ』と音が聞こえてきましたの。どこかと目だけで探してみましたが。繭の中央のところに穴が開きましたわ!! あれが聖獣様ですのね!!
『ぴるるるる』
まずはくちばしのようなもの。
『ぴるるるる』
次は、瞳。黒いですが宝石のように輝いて美しく見えましたわ。
『ぴるるるる』
くちばしが毛束を食べ進めていくごとに、どんどん顔や体が見えてきましたが……どうやら、鳥の化身とも言える美しい姿でしたわ!! 体は真っ青でとても艶やかな羽に包まれていましたの!!
『……わたし、を起こしたの。君たち?』
まだ静かにしていましたが、こちらに気づかれたのか……鳴き声ではなく、念話でお声がけいただきましたが。とても愛らしい女の子のような声ですわ!! 可能であれば抱き着きにいきたいですが、シャディーレ様と同じような方とは限りませんでしたので我慢ですの。
「はい。私はイリス=アーストの皇太子」
「……その婚約者、である者です」
『……へぇ?』
きちんと挨拶したつもりですが……なにか、品定めでもされているかのような空気になりましたわ??
シャディーレ様のところと同じく、こちらもなかなかに穢れがいっぱいでしたの。
「……前より、凄まじいな」
「……早く、清めて差し上げなくては!」
「落ち着くんだ、レティ。ここで焦っては君が無茶をするだけだ」
「……そうですわね」
穢れを染料に移し替えることが出来るのは、基本的にわたくししかおりませんもの。しかしながら、繭糸にとろりどころか……どろっと粘っこく絡みつく穢れは見ていて気持ちのいいものではありませんわ。
ですが、ここで無茶をしてスキルを使い過ぎてはいけませんもの。わたくしの場合、軽くて空腹程度。やり過ぎだと意識を失いかねないと陛下の見解でおっしゃっていただいてます。ご子息であるリデル様もそこをよくおわかりですから、このように労わりの言葉をくださるのです。
「布……は、今回これを」
紡ぎのセレスト国から用意された『虹染め』に使われる特別な織物。この織物を紡ぐ仕事も、ライオス様がセレストで学ばれている技巧のひとつのようです。今回はその中でも出来のいいひとつをリデル様が選んで用意されたそうですわ。
それを繭殿の手前に広げ、わたくしは端の方に立ち……言祝ぎを紡ぐのです。
この繭殿にはシャディーレ様と対となる聖獣様が眠っていらっしゃるのですから。早く、起こして差し上げたいと思うばかりです。
手を組み、祈るようにして言祝ぎを始めましたわ。
『我が吐息。水のささらに。巡りて巡りて、新たな水を呼べ』
繭殿を囲うように佇む水場を利用し、飛沫から少しずつ繭より穢れを布に移動させる。感覚が慣れてきたら、無理なくひと息に。
それが瞬きよりも少し早い具合に出来たからでしょうか? シャディーレ様のところと同じように金の毛束が穢れの下より現れ……穢れは布の方にと移り、美しく染め上がりましたの。
「さすがは、レティ。成功のようだ」
「ですが。聖獣様は」
「ああ。シャディーレ殿のように、すぐ……あ」
リデル様が静かにと、口に指を当てる姿にときめきかけましたが。たしかに、静かにしていると『もしゃもしゃ』と音が聞こえてきましたの。どこかと目だけで探してみましたが。繭の中央のところに穴が開きましたわ!! あれが聖獣様ですのね!!
『ぴるるるる』
まずはくちばしのようなもの。
『ぴるるるる』
次は、瞳。黒いですが宝石のように輝いて美しく見えましたわ。
『ぴるるるる』
くちばしが毛束を食べ進めていくごとに、どんどん顔や体が見えてきましたが……どうやら、鳥の化身とも言える美しい姿でしたわ!! 体は真っ青でとても艶やかな羽に包まれていましたの!!
『……わたし、を起こしたの。君たち?』
まだ静かにしていましたが、こちらに気づかれたのか……鳴き声ではなく、念話でお声がけいただきましたが。とても愛らしい女の子のような声ですわ!! 可能であれば抱き着きにいきたいですが、シャディーレ様と同じような方とは限りませんでしたので我慢ですの。
「はい。私はイリス=アーストの皇太子」
「……その婚約者、である者です」
『……へぇ?』
きちんと挨拶したつもりですが……なにか、品定めでもされているかのような空気になりましたわ??
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