スキル『洗濯』の能無し悪役令嬢は、冷酷王太子殿下と虹染めに夢中〜無自覚溺愛に振り回されつつも、隣国は楽園です!〜

櫛田こころ

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第55話 対が起きた(クロノソティス視点)

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 レイシアが、どうやら『陽の対』を起こしてくれたようだ。

 僕の中に宿っていた、『穢れ』の中でも熱く感じていたそれが薄まっていくよう。

 あの子の言祝ぎは、浄化以上に周りへ安らぎを与えてくれている。

 もとは、あの国で集めに集めまくった……僕の血族として、長い夢を見ていた『魂』でしかなかったのに。

 リデルたちと巡り合うこのタイミングで、随分と育ってくれたようだ。

 それに、リデル自身もレイシアをとても愛おしく思うくらいに気に入っているらしい。

 何処何所にいても、あの子たちの『イリスの血』が呼び合う存在だったとしたら、随分と時間がかかってしまったようだ。

 僕はさらに封印を施したジャディス国の上空に浮かび、そろそろ狭間に戻らなくては陽の対がそこに来ているかもしれない。

 術を展開し、身体を流し込むように潜っていけば……そこに、シャディーレが甘えるかのように飛びついてきた。


『クロノ様~!!』
「やあ、シャディーレ。うまくいったんだね?」
『お役目ひとつ完了ですぅ~。対の向こうも今』
「それは僕にも感知できるね。そうか。……一万年くらいで誤差は済んだんだね?」
『……長かった、です』
「仕方がない。フィーたちの世界でも、ようやく次世代が生まれ落ちたくらいだなんだ」


 長男と末弟。

 それぞれの礎になる子神となる存在が、やっと生まれて……その子の対もできたとフィーから自慢されていたけど。

 つまりそれは、『僕』と『じい様』の次世代交代が始まることが決まったんだ。

 何故、父と母がいないか。

 神なのに間がいないのか。彼らは深く深く眠っているのだ。

 僕ら次世代交代を促すだけの、生みの親になるべく眠っているだけの存在として。

 狭間に僕が滞在している理由もそれだ。動くのは、『子』らの仕事。『親』は世界の要として核を捧げたに過ぎない。あの冥府の繋がりが、『金』の世界に出来てしまったのだから。


『僕、もっともっと、ここの穢れよごれ食べた方がいいですー?』
「いや、今は僕を癒して? 結構封印の重ね掛けに疲れたからさ~?」
『はーい』


 僕の本当の髪色は『金』。それを貸し与えたのが、『黑』の世界で今は立派な母親と養育者になっているカティアの髪色。今は魂にもなじんでいるから、返してもらう必要はない。こっちで、その二代目とも言えるレイシアのおかげで、少しだけ髪色が薄くなったからね? 次にあの子に会うときはどこまで戻っているか楽しみだけど……まあ、一瞬で戻るのもつまらない。

 僕の対になる女神の生まれた兆しがまだだから、そこはゆっくりのんびり待っていよう。とりあえず、シャディーレの背につかまって顔をすりすりしたけど、もこもこで気持ちがいい。いつ以来だろう、この子がここまで綺麗になったの?

 今、レイシアたちが対峙している対のほうは……これを知ったら、泣くかな??

 水鏡で覗きたいところだけど、久しぶりに本格的にお仕事したから眠い眠い。シャディーレにも眠気が移ったのか、ふたりで狭間の中で揺られながら眠ってしまったんだよね?
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