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第46話 あふれんばかりの魔力

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『あまねく光! 光、光よ。我が身に宿る光を使え。彼の地とこの地を繋ぐ、綱となれ!! ……とこしえに結ぶ、盟約を紡ごう。我が望みを、今ここに召喚せん!!』


 魔力を解放して、召喚を行う。

 顕れた魔法陣からは、強い光が放たれるのに……私に分け与えられた魔力はまだまだたっぷり残っている感じがした。

 そして……出て来たガラクタかゴミなのだが。


「「うひょー!?」」

「ほぉ?」

「す、ごい……」


 皆様が驚かれるのも無理がないくらい、その『ゴミ』はとてつもなく大きく……見応えのあるものだった。


【赤の世界での遺跡。建造物の崩れたものです。こちらもガラクタ、ゴミ扱いとなっているものとなります】


 ステータスにはそのように表示されたもので……やはり、召喚出来たものはゴミだった。

 しかし……何かの建造物と言うことで、私にも屋根か柱の砕けたものだと言うのはわかったが。


「ミラ、ミラ!!」

「こ……これ、食ってもええん!?」

「あ、はい」


 緑斗リョクト様と珀瑛ハクエイ様が我慢出来ないとばかりに、尻尾や蔦をぶんぶんと振られるので私は大丈夫だと頷いた。

 すると、御二方もだが……凰華オウカ様や翠雨スイウ様まで。


『『『『いただきまーす!!』』』』


 初めて皆様とお会いした時の……あの簡易体と言う可愛らしい御姿に変わられ、勢いよくゴミにかじりついたのだった。


『うんまぁ!?』

『おいひい~!!』

『実に美味』

『う……ん』


 相変わらず、召し上がられる時の音は凄いが……皆様、とても美味しそうに召し上がっていらっしゃる。

 慣れたわけではないが……お役に立てるのは、やはり嬉しかった。

 あの王族のように……叩かれたり、罵倒されるわけでもない。ただただ、喜んでくださっているのだ。

 私は、皆様が食べ終えるまで待つしか出来ないが……珀瑛様が置きっぱなしにしていた、お昼ご飯の残りを食べていいか少し悩んだ。

 珀瑛様はおそらく良いとおっしゃってくださるだろうが、勝手に触っていいのかはわからない。


『ミラ~!! 待っとる間、それ食っといてええで!!』


 大きなテレパシーが頭に響いたので、振り返れば珀瑛様は少しだけこちらを向いて頷かれていた。口にはたっぷりゴミを入れているのか、話せないのだろう。


「ありがとうございます!」


 なので、その言葉を大きく告げると、珀瑛様は強く頷いてからまたゴミを食べすすめていった。他の皆様もバクバク召し上がられているが……そこまでかからず、食べ終わるかもしれない。

 私はとりあえず、紅茶をいただきながら……どんどん消えていくゴミを眺めていることにした。


(……お役に、立てている)


 人間には何の役に立てずとも、精霊……しかも、大精霊の方々には……糧となる召喚魔法を使えるのだ。

 何故、それしか出来ない元聖女になったのかはわからないが……このように、穏やかな生活が出来るとは夢にも思わなかった。

 ご飯もたくさんいただけて、苦手なお風呂も好きになれて……満ち足りた生活をさせていただいている。珀瑛様のお陰で、それが出来るようになったのだ。

 感謝の言葉では足りない。

 もっともっと、お役に立ちたいと思っていると……紅茶を一杯飲み終える頃に、皆様はゴミを食べ終えていた。


『『『『ごちそうさま~~!!』』』』


 あっという間、とはこう言うことを言うのだろう。あれだけ大きなゴミが、あの小さなお体のどこに消えてしまったのか。皆様はお腹をさすって、満足されていた。


『いや~~、今回のも美味かったわ~!!』


 まだ簡易体のまま、こちらに来られた珀瑛様はそうおっしゃってくださった。

 そのもふもふした御姿に……私は、コップを置いて。

 つい、手を差し出して……抱きしめてしまった。
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