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第93話 これが、ミラ?

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(ミラ……ミラなんか?)


 神から、名を得て……身体に馴染ませていく様子を見ていただけだったが。

 簡易体の時も、『形』がない精獣化とも違う……変化があった。

 金と銀。

 二つの色が……混じり、重なり合い。

 新たな姿へと……ミラが変わっていったんや!!

 光が消えた後に出来たんは……神々しいと言わんばかりの、様々な衣に……大小の鏡が浮いていた。

 なんつー、綺麗な姿や。


【良きかな。愛し子……鏡羅ミラよ】


 神が再び、ミラの頭を撫でてくださると……ミラは、綺麗に微笑んだんや。


「……ありがたきお言葉」


 声が、雰囲気が。

 ただただ、相手を畏れていたり……遠慮していたミラと全然違う!!

 もっと自信に満ち溢れた……何かを得たっちゅー感じや。

 なんて……可愛らしいねん!!


【苦難はないとは言い切れん。しかし……お主には此奴らもいるのだ。ひとりではない】

「……はい」


 神はひとつ頷くと、風に溶け込むように御姿を消して行かれたら……ミラはその様子をずっと見ていた。

 俺らも、なんかすぐには動けんかった。

 とは思ったが。


「ミラ~~!!」


 リョクは違ったわ!?

 完全に神の気配が消えてから、遠慮なくミラに抱きつきに行ったわ!!

 ミラは金と銀の瞳を丸くしたが……嫌がってはいなかった。


「……緑斗リョクト様」

「んもぉ! 心配したけど、すっごくすっごく綺麗だよ!! 【字】とかも綺麗だし」

「……ありがたいことです」

「うん!」


 なんちゅーか。

 リョクの方が、ちょぉ子供のように見えるわ。

 ミラは以前から、大人しい部分はあったけど……なんか、今は『大人っぽい』。可愛いけど、綺麗って感じやし。

 益々、俺が惚れてしまうやないか!?


「ほんに……変わったのお?」

「ねー?」

「……うん。変わった」


 リョクに出遅れた俺らは眺めているだけだったが……ミラが、ちょぉ嫌がっている様子を見つけた俺は、すぐに距離を詰めて……リョクをミラから引き剥がした!!


「なにすんの、馬鹿トラ!?」

「ミラが嫌がっとんねん!!」

「えー?」


 ただ正確には。

 リョクのぼいんの部分でミラが軽く窒息しかけただけやけどな?

 ミラのも……ちょい見たけど、負けとらん!!
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