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国王のまかない④
第2話『ニンニク香る塩焼きそば』①
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やはり、イツキの人柄に惹かれた人間が少なくないからだろう。
まあ、俺もわからなくはないが……イツキが女かもしれないと問い合わせがあったくらいだ。アーネストとの事がなければ告白していた人間もいるかもしれない。
「陛下がおっしゃっていた事は事実だ。うじうじするんじゃない!?」
と、声を荒げたのは副料理長のジェストだ。ワルシュ程ではないが、そこそこの悪人面なため凄むとそこそこ怖い。俺はワルシュに慣れているからそこまで恐ろしいと思わないが。
イツキ以外の厨房の人間は怖いと言わんばかりに震え上がっていた。
「 ……まあ、諸事情についてはワルシュ達から聞いてくれ。だからとは言え、イツキが女性でも気遣い過ぎないで欲しい。出来るだけ今まで通りで頼む」
「「「「「「「はっ!」」」」」」」
俺がフォローすると、ワルシュとイツキ以外は返答をしたので俺は退室しようとしたが……何故かイツキに呼び止められた。
「陛下。以前陛下方に召し上がっていただいた焼きそばの新作が出来たんです」
「……ヤキソバをか!?」
リュシアーノやヘルミーナとも一緒に口にした、鉄板を使って調理した料理。
素朴な色合いのソースでも絶品だったが、新作と言われると気にならないわけがない!!
是非食べたいと、俺は厨房の一角に座ることにした。
が、厨房の人間でも比較的若い奴らは、俺がいると落ち着かないのかそわそわとしていたが。
(新作というが、どんな味なのだろうか?)
以前のヤキソバも、濃いめのソースの味わいは堪らなかった。まだ一週間も経っていないのに、待ち遠しく感じる。
イツキの方を見ると、フライパンを巧みに扱って調理をしていた。そして、その回りでショックを受けていた何人かが真剣に見つめている。女とわかっても、この数ヶ月イツキと過ごしてきたことで、彼女の人となりを疑っていないからか。
そこについては、幾らか俺もほっと出来た。
少しして、フォークと一緒に持ってきた新作のヤキソバだったが……麺に色がなかった。調理する前の麺の色そのもの……しかしながら、香りは以前のソースとは全然違う。
(香ばしくて……だが、以前の料理とは違う強烈な匂い!!)
嗅いだことがあるような、強烈な匂い。
なんだろうか、と思っているとイツキから説明が始まった。
「今回作らせていただいたのは、『塩焼きそば』と言う焼きそばです」
「塩?」
「塩をベースに。以前のソース焼きそばとは違う味わいになります。調味料にはニンニクを使うのですが、そこは控えめにさせていただきました」
「……この匂いはニンニクか!」
俺の大好物。
風味付けもだが、粒をそのまま焼いて味付けしたのも好きだ。
ワルシュに頼んで、時々晩酌の肴に作らせるくらい。粒や刻んだ部分は見えないが、よく匂えば……たしかにする。
野菜もだが、肉もあった。
野菜はこの間と同じ、キャベツやネギ。あと、にんじんを細く切ったものとかが入っていた。それと、細長く白いのはなんだ??
肉は脂身が多い……おそらくオーク肉。でなければ、豚の肉か。
昼から少し経つが、そこそこ小腹の空いてきた俺はもう我慢が出来なかった!!
フォークですくい上げて、少し息を吹きかけてから口に入れる!!
「ん!?」
ソースの方と比べると美味さが劣るかと思ったが、そうではなかった。
強い塩気、ニンニクの香りに加えて胡椒の辛味。
だが、それらを凌駕するくらいの……美味さはソースの時と比べるまでもない。
まあ、俺もわからなくはないが……イツキが女かもしれないと問い合わせがあったくらいだ。アーネストとの事がなければ告白していた人間もいるかもしれない。
「陛下がおっしゃっていた事は事実だ。うじうじするんじゃない!?」
と、声を荒げたのは副料理長のジェストだ。ワルシュ程ではないが、そこそこの悪人面なため凄むとそこそこ怖い。俺はワルシュに慣れているからそこまで恐ろしいと思わないが。
イツキ以外の厨房の人間は怖いと言わんばかりに震え上がっていた。
「 ……まあ、諸事情についてはワルシュ達から聞いてくれ。だからとは言え、イツキが女性でも気遣い過ぎないで欲しい。出来るだけ今まで通りで頼む」
「「「「「「「はっ!」」」」」」」
俺がフォローすると、ワルシュとイツキ以外は返答をしたので俺は退室しようとしたが……何故かイツキに呼び止められた。
「陛下。以前陛下方に召し上がっていただいた焼きそばの新作が出来たんです」
「……ヤキソバをか!?」
リュシアーノやヘルミーナとも一緒に口にした、鉄板を使って調理した料理。
素朴な色合いのソースでも絶品だったが、新作と言われると気にならないわけがない!!
是非食べたいと、俺は厨房の一角に座ることにした。
が、厨房の人間でも比較的若い奴らは、俺がいると落ち着かないのかそわそわとしていたが。
(新作というが、どんな味なのだろうか?)
以前のヤキソバも、濃いめのソースの味わいは堪らなかった。まだ一週間も経っていないのに、待ち遠しく感じる。
イツキの方を見ると、フライパンを巧みに扱って調理をしていた。そして、その回りでショックを受けていた何人かが真剣に見つめている。女とわかっても、この数ヶ月イツキと過ごしてきたことで、彼女の人となりを疑っていないからか。
そこについては、幾らか俺もほっと出来た。
少しして、フォークと一緒に持ってきた新作のヤキソバだったが……麺に色がなかった。調理する前の麺の色そのもの……しかしながら、香りは以前のソースとは全然違う。
(香ばしくて……だが、以前の料理とは違う強烈な匂い!!)
嗅いだことがあるような、強烈な匂い。
なんだろうか、と思っているとイツキから説明が始まった。
「今回作らせていただいたのは、『塩焼きそば』と言う焼きそばです」
「塩?」
「塩をベースに。以前のソース焼きそばとは違う味わいになります。調味料にはニンニクを使うのですが、そこは控えめにさせていただきました」
「……この匂いはニンニクか!」
俺の大好物。
風味付けもだが、粒をそのまま焼いて味付けしたのも好きだ。
ワルシュに頼んで、時々晩酌の肴に作らせるくらい。粒や刻んだ部分は見えないが、よく匂えば……たしかにする。
野菜もだが、肉もあった。
野菜はこの間と同じ、キャベツやネギ。あと、にんじんを細く切ったものとかが入っていた。それと、細長く白いのはなんだ??
肉は脂身が多い……おそらくオーク肉。でなければ、豚の肉か。
昼から少し経つが、そこそこ小腹の空いてきた俺はもう我慢が出来なかった!!
フォークですくい上げて、少し息を吹きかけてから口に入れる!!
「ん!?」
ソースの方と比べると美味さが劣るかと思ったが、そうではなかった。
強い塩気、ニンニクの香りに加えて胡椒の辛味。
だが、それらを凌駕するくらいの……美味さはソースの時と比べるまでもない。
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