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隊長のまかない④

第2話『無駄にしないホットチョコレート』①

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 執務室に来たイツキは、僕らのチョコレートの包みを見て目を丸くしました。


「…………漫画とかでありそうな」

「「「マンガ??」」」

「えっと……絵と文字両方を組み込んだ書物です。絵本とは違って、絵に直接話し言葉などをつけたりします」

「……とりあえず。そのマンガとやらとこの光景が似ているのですか??」

「ふふ、そうですね?」


 それについても興味はありますが、まずは目の前のチョコレートの山です。

 今更、レディ達に突き返すわけにはいかないですし……リュシアーノ様からはいただいていませんが、おそらく食べ物を無駄にしない方を優先されるはず。

 異世界の記憶が蘇り、お若い年に似合わない利発な思考を手に入れられた。ほぼ、イツキとは同じくらいだそうですが。


「とにかく、このチョコレートを無駄にしたくないのです」

「いつもはどうされていましたか??」

「部下へ適当に配ったりはしていましたが……アレルギーの一件もありましたし。無駄にはしたくありません」


 これについては、アーネスト達も頷いてくれました。


「……一気に消費。しかし、大半はクーベルチュールとかになったチョコレート。……うーん……手軽に、ホットチョコレートはいかがでしょう?」

「「「ホット???」」」

「このチョコレートを飲み物にしちゃうんです」

「飲み物ですか??」


 想像しにくいですが、この女性が作り出す料理にハズレなどありませんからね??

 ただし、全てのチョコレートが使えるわけではないようなので、試作も兼ねて包み紙を外してから僕らも手伝い厳選していく。

 選別し終えたら、アーネストの亜空間収納に入れ、イツキは一旦中央厨房に彼と戻って行きました。

 出来上がる間、僕はレクサスと片づけに執務をすることに。仕事よりも片付けの方が時間がかかった気がします……。


「お待たせ致しました!」


 そうして、一時間過ぎたあたりでしょうか?

 イツキがホットチョコレートと言う飲み物にしたチョコレートを、マグカップに入れて戻って来ました。ちょうど人数分。チョコレートの匂いは思ったよりもしませんでした。


「おん? それがホットチョコレート??」

「はい。少し生クリームと砂糖は入れてありますが、温めた牛乳に溶かし込んだ飲み物ですね?」

「ほーん?」

「……香りがどことなく、ココアにも似ていますが」

「はい。材料的には似たものです」


 そう。

 僕が幼い頃は、屋敷でメイドなどに頼んで作ってもらったココアに似ています。

 しかし、こちらはチョコレートを溶かしたものなのでもう少し濃厚な香り。

 それと、もうひとつ気になったのが。

 青い陶器の器でした。


「……イツキ? この器は??」

「チリペッパーのようなものがあったので、持って来ました」

「「チリペッパー??」」

「イツキが言うには……少し辛い香辛料だそうです」


 チョコレートを飲み物にするのもですが。

 さらに、辛くする方法!?

 異世界の食文化について、いつも驚きますが……今日も物凄く驚きました!!?
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