王宮まかない料理番は偉大 見習いですが、とっておきのレシピで心もお腹も満たします

部下弐のまかない②

第4話『ふるふる梨の寒天寄せ』③

　改めて、ピアのカンテンヨセも含めて……ピアのデザートを皆で食べることになった。

　作ったのは、カンテンヨセ以外に。


　シャーベット

　コンポート

　コンポートを使った、デニッシュ

　コンポートを使った、タルトってケーキ

　ジャム

　パウンドケーキ

　生ハムを使った、変わり種



　とまあ、俺も手伝ったけど結構出来た！！

　で、カミオはカンテンヨセを独り占めしたから……他のはひと口ずつ、と料理長から釘を刺された。

　まあ、自分が悪いから仕方がない！！


「さ、まずは冷たい方からどうぞ」


　イツキさんがそう言ってくれたので、俺は迷うことなくカンテンヨセを食べることにした！！

　たしかに……出来上がりは半透明で綺麗で、食べるのがもったいないくらい。

　イツキさんが取り分け用のスプーンで器に入れてくれたので、俺は受け取ってからゆっくりと自分のスプーンを入れてみる。


(わ！？　ゼリーよりちょっと固いけど……ふるふるしてる！！)


　ふにゅんって感じな感触が気持ちいい。これを口に入れたらどうなるか……と、落とさないように気をつけながら口に入れてみれば。


「「「わぁ……！！」」」

「「「美味しい！！」」」


　そう、皆も同じ時に口に出てしまうくらい……冷たくて、ふるふるしてて……けど、噛むことが出来るゼリーみたいだった！！

　甘さもしつこくなくて、ピアの部分はまだシャクシャクしていて……そのまま食べた時よりも、樽酒の風味に砂糖の甘さが際立っているように思えた。


「……こりゃ、カミオがひとりで食っちまう理由もわからなくないなあ？」

「う゛」


　カミオは料理長に言われると……少し縮こまってしまった。たしかに、出来立てを俺達は食べられたけど……カミオが食べてしまった、しっかり冷えたカンテンヨセもきっとめちゃくちゃ美味かっただろうなあ？

　今回、イツキさんが怒ったのをきっかけに……カミオもだけど、俺も他の先輩同期達もきっとつまみ食いを出来なくなるはず。

　だって、今はニコニコだけど……イツキさんがめちゃくちゃ怖くなるのを再確認出来ちゃったから！！


(けど……これ、ほんとに美味しい)


　冷やした方が美味いのはもちろんだけど……腹にしっかり貯まるし、噛むことの出来るゼリーって言うのが面白い。

　その後に、シャーベットとかケーキとかももちろん食べたけど……俺はこっちの方が好きだった。

　作り方も簡単だし、まだカンテンコって粉もたくさんあるから……ミュラー達も食べたいはずだ。

　新メニューに加われば、ミュラー達もきっと食べられるはず。いつものお菓子のように……これは持ち運び難しいからなあ。


(ピアの新しいお菓子……こんなにもあるのは知らなかった)


　イツキさんに敵わないのは今更だけど……もっともっと自分も頑張らなきゃって思えてくる！！

　とりあえず、この日からイツキさんの鑑定スキルが全員に伝わったので……下手なつまみ食い犯はイツキさんからこってりと絞られることになったよ。