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番外編
第2話 とある報告
しおりを挟む「ゲイリッシュ殿が結婚されるらしい」
今朝方、ワルシュ殿から聞いた話をイツキに伝えると……彼女は可愛らしく茶の瞳を丸くした。
「……お相手は私も知ってる人ですか?」
「ああ。スイードとだ」
「…………歳の差結婚ですね」
「俺も驚いた」
親子ほどの歳の差ではあるが。
好きになった者への年齢への壁など……後付けでしかない。
うちの隊長であるネルヴィス様がその筆頭だ。学園に入学された殿下への噂は、あまり悪いものを聞きはしないが。
サポートにあたる人間が多いから、そこは大丈夫だろう。
だが、ゲイリッシュ殿らの方はそうじゃない。
元暗部隊長、現在の暗部内の幹部クラス。
身分差もあるが、どちらも貴族ではないが……実力はある意味、俺とかの近衛騎士以上。
スイードはイツキの護衛は今外れているが……任務をこなしてきたことで、今の地位にいる。同僚からのやっかみなども懸念されていたが……まさか、本当にゲイリッシュ殿と結婚を決意するとは。
帰路に出る前に、本人から俺に報告してきたんだ。
『…………ゲイリッシュ、様と……け、結婚……します』
とだけ言って、気恥ずかしいのか去って行ったが。
表情がないように見えて、ちゃんと感情はあるんだなと理解出来た。彼女もちゃんと女性なんだなと。
「ふふ。きちんと好きな相手と結婚出来るのなら、喜ばしいことです」
「……そうだな」
俺達も、その試練を得て……今結婚して一緒に住むことが出来ているのだから。
まだイツキの腹にいるが……いずれ会える我が子を思うと、結婚してよかったと思える。
部下のレクサスも結婚はしたが、サフィアが殿下の側仕えとして学園にいるので……まだやつは独身寮に在籍している。理由が理由なので特例だ。
「お祝いしなくちゃですね?」
「とは言え、君のその身体では……ケーキ作りは大変じゃないか?」
「そうですね。油物もつわりはないんですけど……ちょっと大変ですし」
「ふむ。であれば、服などを選ばないか? スイードの好みは俺は知らないが、同じ女性としてイツキなら選びやすいと思うが」
「そうですね! 服のサイズ……はどうします?
「布は選んで、あとは……エマを呼ぶか」
「エマさんなら、お任せして大丈夫ですしね?」
あの巨体で、女性だと言うのはいまだに信じられない部分もあるがな? 彼女も婚約者と無事に結婚したとは、イツキの普段着を仕立て直す時に聞きはしたが。
とここで、俺の腹が限界を告げたので……夕食へと切り替わり。
イツキがテーブルに用意してくれたのは、リーゾを炊いたものと……サラダボウルなどに使う器に色々な食事をそろえてくれた。
素朴な色合いから、鮮やかなものまで。
俺の好きな、『肉じゃが』や『チンジャオロースー』など!!
「いただこう!」
「どうぞ召し上がれ」
どれもが、リーゾに合う料理ばかりだ。
単体だと甘辛いが、リーゾを口に含むと……次の皿の料理を口にするする前に、リセットしてくれる。この感覚が堪らない!!
イツキの料理を……今は俺だけが!!
試食係の頃も出来てはいたが。
今は、一緒に住んでいるんだ。
嬉しさもひとしおに感じてしまう!!
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