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番外編

第159話 かつての恋事情

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 判定は簡単に終わらせてくれ、メインのミュラーの相談をしなくちゃいけない。

 まだ気落ちしているミュラーの頭をバシッと叩いても、自分で言う気がないようなのか口を閉ざしているまま。

 全く、イツキさんには結構心開いているのに、今は想っている相手の親族だから言い難いんだろうなあ?

 仕方がないので、俺から言うことにした。


「イツキさん、あのさ?」

「はい」


 メイドや執事バトラーは下がらせてくれているので、ここははっきり言っておこう。


「ミュラーなんだけどさ。好きな相手出来たんだよ」

「あら、おめでとうございます」

「けど、相手が貴族の令嬢だから……自分が釣り合わないからって、悩んじゃって」

「……私と同じですね」

「え?」

「私も、アーネストさんとは釣り合わないって……最初は随分と悩みました」


 結構前向きな性格のイツキさんがそう言うってことは、俺とかが思っている以上に悩んでいたんだろう。ミュラーもそれがわかったのか、顔を上げてイツキさんに問いかけた。


「……その」

「はい?」

「そこから、どうやって想いを告げたんですか?」

「いえ。告げられたのは、アーネストさんからです」

「「副隊長が??」」


 ってことは、出会った当初から惚れていた可能性が高い。

 けど、イツキさんが女だって好評したのは、副隊長が厨房に出入りしてからだと……少しあとだったような? いや、もっとあとに陛下から公表はあったけど。もしくは、料理長が早いうちに告げたかもしれない。なんだかんだ、副隊長は信頼されていたし。


「ええ。私ももちろん少し前から想いを寄せていました。けど、貴族の人間でない自分が……って、悩みましたし。釣り合わないって諦めようとした時、レクサスさんに話を聞いてもらったり、ネルヴィスさんも私達の背を押してくれて……で、アーネストさんが告げてくれたんです」

「……そうなんだ」

「……バーミィ隊長も」


 協力してくれた面々もだけど、周りに慕われてたからなあ。イツキさんが女だって公表した後の……メイドらの阿鼻叫喚はあんまり思い出したくない出来事だ。それは良いとして。


「でさ? ミュラーは最近第一部隊の小隊長に就任したんだよ。将来騎士としちゃ有望だと思うんだけど!」

「え、エリオ!?」

「いいと思いますよ? ちなみにお相手って、もしかしてアイシスさんですか?」

「「え!?」」


 俺教えてないのに、なんでわかったんだろう!?

 ミュラーにガン見されたけど、すぐに首を左右に振って違う事を意思表示したんだけど!!

 イツキさんはくすくす笑っているだけだった。
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