【完結】ピッツァに嘘はない! 改訂版

櫛田こころ

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第十章 冬来たりて

296.小さな想い

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 ◆◇◆









 今日も今日とて。

 セヴィルさんへの誕生日プレゼントを作っていくのです!


「ふーんふんふんふふーんふん」


 順調に出来ているから、ついつい鼻歌とか歌っちゃうよ? 加工した最初はザラザラギザギザだったのが、今はだいぶ綺麗な表面になってきた。


「ふーゅゆぅ?」


 クラウは自分用の結晶を今日もガジガジしている。だいぶ食べる量は減ってきたけど、それでも僕が食べるよりずっとずっと多い。

 今日は、クラウの頭くらいある結晶をガジガジかじっていたけど。


「クラウー? 見てみてー?」
「ふゅぅ?」


 クラウが飛んでくると、食べられないように少し上に加工した結晶を見せてあげる。ふんふんと鼻のような部分を動かすが、食べようとはしなかった。


「セヴィルさんへのプレゼントだよー?」
「ふゅ」
「綺麗に出来るといいなあ」
「ふゅ!」
「大丈夫かな?」
「ふゅゆ!」


 クラウがコクコクと首を縦に振ってくれたので、僕もえへへと笑ってしまう。クラウをヨシヨシと撫でてあげてから、また続きを進めていく。


「ふーんふんふんふーん」


 ゴシゴシ、ゴシゴシ……と紙ヤスリと研磨布で磨いていくのが、今は楽しい。それが、セヴィルさんへのプレゼント作りに貢献出来るなら尚更。


(……尚更……なんだけど)


 以前、レストラーゼさんと話していた時に感じた。

 セヴィルさんへの……特別な想いが認識出来たのは確かかもしれない。

 likeがloveに変わるかどうか。

 それでいいのかどうか。

 セヴィルさんが僕を好きだと言ってくださったからだと言う甘えか。

 どれなのか、さっぱりわからない。

 ツッコミ親友だったら、こう言う時どうアドバイスしてくれるんだろうか??


『当たって砕けろ!』


 とか言いそうで、思い出すのをやめておいた。

 あと相談出来るとしたら……セリカさんやファルミアさん、ファルミアさんは、懐妊中だからあんまり負担がかかる相談事はしたくないが。


「……しないはしないで、怒られるかもだから送ろう」


 識札を準備して、僕は寒空が続く空に小さな小鳥型の手紙を放った。キューブ型の大雪が降り続けているが、魔術で作った小鳥ちゃんは雪を避けて飛んでいった。


「ふーゅ?」


 ちょっと見送っていたら、クラウも窓際に飛んできた。


「……大丈夫だよね?」
「ふゅ?」


 芽生えた想いはまだ小さい。

 けど、育くんでいいのなら……僕は大切にしたい。まだまだ小さな想いではあるけれど、僕はクラウを抱っこしながらもう見えない識札の飛んで行った方向を見た。
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