【完結】ピッツァに嘘はない! 改訂版

櫛田こころ

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第十章 冬来たりて

297.大切な友人(ファルミア視点)

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 ☆      ☆      ☆      ☆      ☆      ☆(ファルミア視点)










 懐妊中だからと……することがないまま迎えた冬。

 暇で暇で暇過ぎたある日……見た目は幼い同郷の友人からの通達が届いた!!


「……なんですって!?」


 識札の内容は……近況も含めて色々書かれていたが……最後の部分が重要だったわ!!


「……ゼルへの片想いを……よーやく自覚したのね、カティ!?」


 私と出会っても数ヶ月とは言え、ゼルの抱えていた想いは二百年以上。

 この識札に書かれている内容を見るに、多分カティが自覚したかどうかと言うだけでも。喜ばしいことだわ!!

 これはリースにも伝えなくては……!! 執務がだいたい落ち着いてから、識札で彼を私のいる部屋に呼んだわ。


「本当かい、ミーア!?」


 親友の恋が成就するかもしれないとわかるとなると、夫は少年のようにはしゃいでいたわ。まあ、無理ないわ。カティとゼルの恋愛事情を見守っていたひとりだから、やる気に満ち溢れていた。

 カティからの識札を見せてあげると……さらに興奮した表情になったわ。


「驚いたでしょう?」
「本当だね!? けど、この感じだとミーアには知らせただけみたいだけど」
「リュシアにだと大袈裟にされるだろうし、セリカにはセリカ自身のこともあるから」
「セリカ? なにが??」


 そう言えば、リースにはセリカがエディのことを想っているのは知らなかったはずだわ。言ってもいいだろうけど……はしゃがないようにと注意してから告げたら……カティのを知った以上にはしゃいだわ。


「落ち着いて、リース!」
「だってさ!? エディもセリカが好きなんだよ? これもうほとんど御名手みなてでしょう!!」
「そうかもしれないけれど、落ち着いて」


 そうであって欲しい、けれどわからない。

 ひょっとしたら、カティはフィーに教わっているだろうが……私達には教えてくれないでしょうね?

 彼女はある意味でどこの国にも所属しない、しかし……神王国に愛された少女として生活している。

 その生活を壊したくないし、ゼルとの育んできた愛を芽生えたばかり。

 だから、向こうの女性ふたりではなく私に告げて来たのだろう。あと、単純にリュシアの件で私が拗ねたからかもしれないが。


(転生したとは言え……精神年齢が以前のままね?)


 おそらく、転移で来たカティとは大違いだわ。

 見た目は小学生でも、彼女の方が大人に見えてしまう。それを何人が気づいているのか……ゼルは当然でしょうけど。


「ねぇ、ミーア? カティの『好き』と『愛してる』ってゼルにどっちで思っているのかな??」


 私が悩んでいると、リースはまた識札の内容を読み返していたわ。


「そうね? likeとloveの境目に立っている恋する女の立ち位置は難しいわ」
「ミーアが昔教えてくれた『好意』と『愛』だよね?」
「そう。カティは蒼の世界で、そういった経験がなかった。……というのは、フィー以外の神々によって、ゼルと出会った記憶などを封じられた。その記憶が戻ってないにしても……今のゼルを想う自信がないようなの」
「素直に想えばいいのに?」
「誰もがそれは難しいわ」


 私とリースの時のように。

 リースが私のために動いてくれたように、すべてが上手く回るとは限らない。

 けれど、あの冷徹宰相などと言われてるゼルにもだけど……カティにも幸せになってほしい。

 どちらも大切な友人だから。
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