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第十一章 異界の年の瀬
338.ようやくの想い
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本当にどうしちゃったんだろう!?
「ふゅふゅぅ!!」
クラウが、突然起きたかと思えば僕とセヴィルさんの手を引っ張ってきて……重ねさせた。
すぐに離そうとしたら、今度は自分の体を使って『ぎゅー』っと言わんばかりに抑え込む。この子、何をしたいのだろうか!?
「く、クラウ!?」
「……どうやら、簡単には離してくれそうにないな」
セヴィルさんは諦めたのか……少し息を吐いていらっしゃった。
「……クラウ。退いて?」
「ふゅぅ、ふゅ!」
「…………ダメ?」
「ふゅ!!」
僕が聞いても、自分の体を退かそうとはしてくれない。
言葉をしゃべれないし、まだテレパシーのようなもので意思疎通も出来ない。
どうしたものか……と思っていると、セヴィルさんが空いている手で僕の頭を撫でてくださった。
「セヴィルさん?」
「……下手に気まずくなるのもなんだ。クラウが手助けをしてくれたのだろう」
「ふゅ!」
「クラウ?」
そうだとも、と言わんばかりに……えっへんと胸を張った。その時に、体が離れたので僕はセヴィルさんから手を離そうとしたら……セヴィルさんが、がっしりと掴んだ!?
「フィルザス神から聞いたのだろう? お前が寝言で俺に言ったことを」
「は……い」
「それは……本当にお前の本心か?」
「!?」
知った上で、改めて言えと!?
なんて羞恥プレイをさせるつもりなんですか!!?
口をぱくぱくしていると、セヴィルさんはまだ僕の頭を撫で続けた。
「しっかり聞きたいんだ。お前の口から」
「し……知って、いるのに……ですか!?」
「俺のも幾度か告げただろう? なら……聞きたい」
たしかにそうかもしれませんが!!?
僕は自覚したばっかりなんですよ!?
振られないにしても…………あれ??
(振られないから、大丈夫??)
そうだ。セヴィルさんは僕がこのままでも……想いを告げてくれたんだ。
僕がこだわっているのは、見た目についてだ。それもすごく大事だけど……本当に大したことがないかもしれない。
障害としては……全然大したことがないのなら。
「……本当に、僕でいいんですか?」
だから、わかってても改めて聞きたかった。
「……ああ、姿形がなんであれ…………カティアでなくてはダメだ」
「……!!」
その力強い言葉に……僕は、泣いたのもだけど我慢が出来ずにセヴィルさんに抱きついた。ベッドから落ちそうな位置だったけど、セヴィルさんはしっかり受け止めてくださった。
「カティア?」
「……も、です」
「……え」
「ぼ……くも、す……き、ですぅ」
もうどうしようもないくらい、この人のことが大好きになっていたんだ。
まだ、ほんの子供だった時の記憶は戻っていないけど……『今』は今で、僕はセヴィルさんが大好きになったんだ。
僕の泣きながらの言葉に、セヴィルさんがぎゅっと抱きしめてくださると……扉の方からドタバタと大きな音が聞こえてきて、慌ててセヴィルさんが様子を見てくださったんだけど。
「…………何をしている」
絶対零度の突風が吹いたかのように……セヴィルさんはトーテムポールになっていたエディオスさんとフィーさんに怒りをぶつけようとしていた。
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