【完結】ピッツァに嘘はない! 改訂版

櫛田こころ

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第十四章 異界の春へ

421.アクアス・ペンネ-①(イシャール視点)

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 ☆      ☆      ☆      ☆      ☆      ☆(イシャール視点)










 …………なんつー顔してんだが。

 今は上司だが、幼馴染みのいつもとは違う表情に……俺もだが、厨房の連中がビビって引くくらいの状態になった。

 何せ、『冷徹宰相』が『笑顔全開宰相』になっちまっているからな!?


「イシャールさん、またお願いに来ました」


 んでもって、まだ全然公表すら出来ねぇが……こいつの御名手みなてであるカティアが軽くお辞儀して、俺に頼み事をしてきた。大方、笑顔全開の婚約者のためだろうが。


「……こっち来い」


 とりあえず、この場で聞いていい内容かわかんねぇから……奥の俺が受け継いだ厨房に二人を招いた。クラウは、器用にカティアの頭に乗っかっているが。


「イシャールさん……アクアスのソース。まだ残っていますか?」
「あ? ……ああ」


 だいたいの見当はついた。

 カティアがゼルのために作った、絶対誰も食えねーアクアスをふんだんに使ったピッツァが……美味過ぎて腹には足りないと感じたんだろう。俺は絶対食わねぇがな!?

 あの残った青のソースは……とりあえず、粗熱取って氷室に鍋ごと保管したが。


「セヴィルさんがまだお腹いっぱいじゃないので……ピッツァは無理でも、パスタを作らせていただきたいんです」
「……ゼルしか食えんな」


 そして、だんだんと笑顔全開になっていくんじゃねぇ!?

 気色悪い!!


「パスタでも、ペン先みたいなあれをいただいていいですか?」
「普通のじゃなくていいのか?」
「ソースがより絡むからです」


 ぜってぇ……俺は味見も何もしねぇぞ!?

 さっきのピッツァでも食わなかったがな!?

 カティアと俺、クラウにもう一度結界を張れば……ウキウキなゼルはほっといて、俺達は調理に取り掛かることにした。

 カティアは氷室や貯蔵庫から探し当てた……青いマトゥラーも使って、さらに青く……薄気味悪いソースを作っていく。

 ソースの味見は……俺らじゃ無理だからゼルにさせたが。

 絶対こいつの顔目当ての女どもに見せたくないくらい……恍惚とした表情になりやがった!!?


「……美味い。マトゥラーが組み合わさって、ピッツァと同じくらい」
「じゃ、これを」


 なんで、さらに刻んだアクアスをリンネオイルの中で炒めるんだ、カティア!!?


「……何してんだよ」
「僕がいた世界だと、代表的な辛いパスタのソースなんですよ」
「……さらに辛くする必要が?」
「僕も初めてなので……うまくいくか」


 少し煙が上がるが、結界のお陰かゼル以外に被害はねぇが……蒼の世界って、マジでどんな食事があんだ??
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