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第十五章 異界の夏に向けて

443.大好きな理由?

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「んで、こっちに来てるってことは……イシャールに用か?」


 サイノスさんには、僕らの行動もお見通しのようだ。


「クラウがお腹すいたので……今日は上層の皆さんお忙しいようですし、イシャールさんが良ければまたピッツァを作ろうかなと」
「あいつは喜びそうだなあ?」
「ふゅぅ!(ピッツァ~!)」


 クラウはサイノスさんの腕の中で、嬉しくて二重にはしゃいでいるよ。

 ピッツァもだけど、そんなにもサイノスさんが大好きなんだね?


「ピッツァ……あれは、実に美味だった」


 ジェイルさんには一度食べていただいた以来だからね?

 食べたいのかな? と思っても……今はお仕事の途中だから悔しそうな表情をされている。


「また食わせてくれ。俺とジェイルは親父に呼ばれてんだ」
「……サイノスさんのお父さんですか?」
「おう。将軍は一応俺だが、親父は大将軍って地位にいるんだ」
「おー……」


 まだお会いしたことないけど……どんな人なんだろう?

 エディオスさん達のご両親みたいに、そっくりなのかな?

 機会があれば、是非ともお会いしてみたいものだ。

 とりあえず、離れがたいとばかりにひっつくクラウをなんとか引き剥がして……僕らは中層の厨房に向かうことにした。


「……ふゅ(サイノス~……)」
「そんなに、サイノスさん好き?」
「ふゅ!(うん! いい匂いするの!)」
「……いい匂い?」


 聖獣とかにも好かれやすい体質だから、何かフェロモンでも出ているのかな?

 たしかに、『頼れる兄貴!』ってオーラは物凄く出ているけども。


「あら、カティアちゃん」


 そろそろ食堂の扉に着く頃に、その前でシャルロッタさんと遭遇出来ました。

 これはチャンス! とクラウを抱っこしたまま駆け寄る!!


「こんにちは、シャルロッタさん!」
「こんにちは。……何か作りに来たの?」
「はい。上の皆さんとは、今日はご一緒出来ないもので」
「そうね? 陛下のお誕生日が近いもの」


 そう。

 夏も近づいてきたと言うことは。

 エディオスさんの誕生日が近いと言うこと。

 海のお約束を何とかするのに……エディオスさんもだけど、皆さんもめちゃくちゃ頑張っているんだ。

 遊ぶことは、全力でなんとかしたい気持ちはわかる!!


「……こちらもお忙しいです?」
「大丈夫よ? それに、カティアちゃんが来てくれたら料理長はめちゃくちゃ喜ぶわ」
「……ほっ」


 シャルロッタさんとイシャールさんは……表面上はいつも通りだけど。御名手みなてって婚約者でも、普段ってこう言うものなのかな?

 僕とセヴィルさんが……ちょっと特殊?

 僕の体の関係があっても……ラヴアタックって普通ないのかな??
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