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第十五章 異界の夏に向けて
463.嬉しいから(ファルミア視点)
しおりを挟む☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆(ファルミア視点)
……やっぱり、あの子は『奏樹』だった。
私が『彗』であっても……これまでと同じように接して、いいえ。
(……私を『ファルミア』として、接しようとしてくれたわ)
外見も中身も……彗とは程遠いのに、奏樹は……『カティ』は、対等に接してくれた。
今までは、あの子の方が歳下だと言う理由で……カティは私に敬語だったけど、やめてくれた。
彗と奏樹だった頃のように……普通に話すことが出来た。
凄く……嬉しいことだわ。
「……ミーア? 泣いてる?」
水鏡を解除したリースが、私の顔を見ると……自分も泣いているのか、抱きしめられた時に頭に涙が落ちてきたわ。
「……嬉しい、の」
大丈夫と抱き返しながら……私はその言葉を口にした。
本当のことだ。
とても……嬉しかった。
奏樹に怒られるとか、もっと悲しい事を想像していたのに。
あの子は……全然違うことを、全然違う言葉をたくさんくれた。
『彗』であっても、『ファルミア』として。
また、私を……一人の人間として、変わらず接してくれたのだ。
それが……何よりも嬉しいのだ。
「そっか……無理をしていない?」
「……ええ。落ち込む以上に嬉しいの。あの子は……転生しても、あの子だってわかったわ」
「カティは……ずっとカティだってこと?」
「……そうね。あの子は変わらず、ああだわ」
ゼルって存在が出来ても……根本的なところは、何ひとつ変わっていない。
お互いに……大切な存在が出来た事からの、心の余裕かもしれないが。
私も……リースやお腹の子供のために、強く生きなくてはならない。
王妃としても、一人の人間としても。
その自信を……改めてくれたのが、奏樹、いいえ……カティだから。
エディの式典で、また会えるから。
あの子と一緒に……またピザが作れる。
そう思えば、楽しみで仕方がないわ。
「……ちゃんと、会いたいね?」
「……ええ。もうすぐだわ」
成長した姿も、クラウもだけど。
楽しみが多いわ。
私のお腹の大きさは変化がないけど……まだ先は長いもの。
ゆっくり……育んでいくつもり。
生まれたら、カティにも抱っこして欲しいわ。
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