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第六章 実り多き秋の騒動
213.神域へ出発(途中別視点有り)
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「うっしゃ、行くぞ!」
テンションが高いエディオスさん。
それもそのはず。
見事、お仕事のノルマを達成させちゃったんです。
しかもフィーさんの神域に、一泊どころか二泊も出来るようにするってオプション付き。
一体どんなけ頑張り過ぎたかと言うのは、僕とセリカさん以外の人の疲労度でわかりやすかった。
昔、スマホゲームなんかの育成で、キャラクターの体調の変化を表示するようなのがあったけどまさにそんな状態。
エディオスさん以外の役職持ちの皆さん、重疲労にしか見えないんです!
「だ、大丈夫ですか?」
「俺は平気だ!」
「エディオスさんには聞いてません」
あなたは見るからに気分爽快なのは分かってます!
ただ今、浮き島近くでそれぞれの守護獣兼騎獣を従えて到着したばかりなんですが、さっきも確認した通りエディオスさん以外お疲れモード。
特にセヴィルさんは辛そうだけど、フェルディスの操縦大丈夫だろうかってくらい。
「……フェルディスは気遣ってくれるだろうから、大丈夫だ」
「俺も、まあ身体鈍ってる感じだ。気にすんな」
「さすがに、一晩で疲労は抜けませんでしたわ……」
肉体疲労の回復は、自分じゃかけれないと言うよりないらしい。
フィーさんや神霊さんなら出来るらしいけど、人間じゃ扱えないんだって。
代わりに回復薬のような木の実を食べる事で冒険者さん達とかは使ってるらしいが、薬は毒となる事があるのはこの世界でも同じ。
その木の実、食べ過ぎると腹下しを引き起こすデメリットがあるそうな。
だから、その効能を知ってる皆さんもあんまり使えなかったらしい。アナさんは時々王女様特権のエステを頼んでも、微々たる結果で終わったって。
が、そもそもそうなった原因は。
「エディオスさん頑張り過ぎです!」
「神域に行けんだぞ? 半日よかまとまった休み取った方がいいじゃねぇか」
「この調子じゃ、今日収穫祭出来ませんよ」
全開とは行かなくても、精神疲労も溜まった状態じゃスピード競技なんて無理だ。
「……甘いな、カティア」
「え?」
なんか、急にカッコよく決められたのはなんで?
すると、エディオスさんは僕の後ろにいる皆さんを指した。
「ほれ」
「え?」
振り向けば、さっきの気落ち具合がどこ吹く風って感じで、セヴィルさん以外何故か闘志を燃やしていたのでした。
「神域の果実、しかも特上種となればやらねばなりませんわ!」
「俺も負けねぇ!」
「……適度にしろ」
セヴィルさんは呆れてても、さっきよりは元気だ。
ちょっと以上に興味あるってところかな?
(頑張り過ぎたけど、その分のご褒美があるからか)
アナさんとエディオスさん以外真意は知ってるけど、僕とセリカさん以外は収穫祭に燃え上がってしまってる。
ちなみに、フィーさんは先に神域に帰って準備されてます。荷物なども、既に持ってってくれています。
集合場所は、最初にディシャスに乗った小屋とかその付近で良いそうだ。
「えっと、じゃあサイノスお兄様お願いします」
「何言ってんだ。俺はアナ乗せるんだから、セリカはエディのとこだ」
「「「え⁉︎」」」
そう言えば、僕はともかく他女性二人の守護獣がいない。
小旅行なのと、あんまり守護獣が行き過ぎると着地地点ですし詰め状態になるからかも。
とは思ったんですが、これ絶対サイノスさんの計画だ。
最初は緊張しない相手と同席と思わせて、このタイミングで組み合わせを発表したのだろう。
でないと、セリカさんがエディオスさんと一緒になれないから。
あとは、自分が好きな人であるアナさんと一緒になれないからだ。
何気にちゃっかりしてますこのお兄さん。
そして、エディオスさんにも知らせてなかったから、彼の紫の瞳は鳩が豆鉄砲を食ったような状態。
さっきの陽気さがどっか行っちゃたよ。
「つー訳だ。カティアは当然ゼルんとこだし、さっさと行けよ」
「サイお兄様、わたくし聞いておりませんわ!」
「今言ったからな? よ……っ」
「きゃあ⁉︎」
サイノスさん、軽装とは言えドレス姿のアナさんを難なく抱き上げてご自分の守護獣のお背中へ飛んでってしまった。
サイノスさんの守護獣は、パッと見ディシャスくらい大きな黒色の虎さんなラージャ君。
毛色のほとんどが黒で、白い模様があるから虎ってわかっただけ。
翼とかはない代わりに、風魔法が得意だからその力で飛ぶことが出来るらしい。種族だと黒風虎って聖獣さんだとか。
とにかく、巨体でも身軽な動きでサイノスさんは搭乗席に。
僕も、エディオスさんが何かを言う前にクラウを抱っこし直してからセヴィルさんの隣に。
セヴィルさんは軽くため息を吐いてから僕をお姫様抱っこしてくださっての移動。
「おい、ゼル!」
「さっさとしろ。別に初めてではあるまい」
そうですね。
昔は、って注釈付きそうですが。
ゆっくりめに移動してくれたので、少し下を見るとエディオスさんがディシャスに向かって歩いて行くのに、セリカさんがぎこちなくついていくのが見えた。
「第一段階、ですかね?」
「最低一刻は移動するのに、エディオスも下手に緊張はしないと思うが」
「ふゅ」
「先導役ですもんね」
神域に行きなれてるのは、特にエディオスさんらしいから。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆(サイノス視点)
「サイお兄様、どう言うことですの⁉︎」
「落としはしねぇが、落ち着けって」
マジで落としはしねぇが、興奮しまくってジタバタ動く彼女をどう落ち着かせようか。
とりあえず、最後尾に飛ぶとは言え次の浮き島が来る順番は近い。
エディやゼルの方も既に行ってしまったしな。
「とにかく、動くからじっとしてろ」
「……はい」
騎獣の上で無闇に動きまくったら、怪我だけで済まない。
その教訓は、幼少期から嫌ってくらいに叩き込まれてるからな。
俺が注意すれば、アナはやっと落ち着いて身体を俺に預け、俺は念話でラージャに進むよう頼んだ。
【殿とは言え、緩めに進めようか?】
【普通でいーっつの】
余計なことを言わずに進めと言えば、念話でも喉の奥で笑ったような声を送ってきてラージャは着いた浮き島の上に飛び乗った。
「……サイお兄様は、ご存知でしたの?」
飛び上がる寸前で聞いてきたが、浮かんできた選択肢のうち、自分なりに都合がいいのはすぐに消した。
「セリカか?」
「ええ」
やっぱりそうだったかと、思考をそちらに傾ける事にした。
「まあ、確信持ったのは最近だ」
「……だから、態とエディお兄様に?」
どうやら、セリカの気持ちは知っていてもエディの方は知らないらしい。
まあ、荒れた時やファルが焚きつけた時は本人に確認取れてなかったから無理もない。
かと言って、俺がバラすとこの妹君は必要以上に計画しそうだから、俺から言うのはやめておこう。
でないと、俺の気持ちまで言うことになってしまう。
(久々に二人になれただけで充分だ)
収穫祭でもそうだが、競うのがフィーの用意したものなら甘い雰囲気になるなどそうないだろう。
さっきも闘志燃やしまくってたしな。
「……御名手でしたら、どんなに良いことでしょうに」
それは、すまん。
あの二人が御名手って事実は、俺の口からは言えねぇんだ。
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