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第六章 実り多き秋の騒動
217.魔物の肉入りカレー
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家畜じゃない野生動物のお肉を食べる機会は、前の世界でもあるにはあった。
だけど、この世界に来てからそれはなかった。
「魔獣の肉なら、うちでも食わせてたぞ?」
と思ったら、そうじゃなかった⁉︎
「た、食べてたんですか⁉︎」
「サイノスとか、下の若い軍人の連中が訓練で持ち帰ってくんのとか? 上層もなくはないが、頻度が多いのは中層以下だな?」
「レストが式典中に作ってたの、材料の大半がそーだよぉ?」
「えぇえ⁉︎」
なんでそんなに魔獣のお肉が多いの⁉︎
「それはともかく、冷めちゃうから食べてよー?」
「お、そんじゃいただくか?」
あー、そんなごろっごろのお肉をためらいもなく⁉︎
けど、エディオスさんが食べ出したらセヴィルさんやサイノスさんも普通に食べ出した。
女性二人も、魔獣のお肉なのに気にされていない。
(これが文化圏の違い……?)
僕だって気づかず食べてたとは言え、知った今じゃ抵抗感を持っちゃうよ。
目の前には、日本人大好きなお家カレーがどでんとあっても。
クラウが『まだー?』って首を傾げてたって、食べさせていいものかどうか。
「……魔獣の肉は、あちらじゃなかったのか?」
「そもそもいません!」
「そんなこと言う子は、あーん!」
「うぐ⁉︎」
反対側からフィーさんに顎を掴まれ、問答無用で口を開けられ、そこに魔法で動かしたスプーンに乗ってるカレーを押し込まれた。
しかも、例のお肉たっぷり!
噛みたくないと思っていたが、舌の上で感じてしまう美味しいカレーのルーにはあらがえなかった。
お肉も、ジューシーで柔らかい。
「どーう?」
フィーさんは、自分の力量がわかってるからくすくす笑いながら聞いてきた。
「……美味しいです」
僕好みの、ちょうどいい辛さでした。
「ふふふ、そーでしょそーでしょ!」
「ぶゅぶゅぅ!」
「あーはいはい。クラウもあーん」
「ふゅぅ!」
僕がカお肉を噛み締めていたら、フィーさんはクラウにもあーんしてあげてくれました。
ただ、自分の手でスプーンを持たずに魔法で。
僕の時とは違って強引にではなくゆっくりと。
「ふーゅふゅぅ!」
「魔獣の肉は結構食べる方なんだよ。僕が神域にいる間肉を食べないのは、ここに魔獣が入り込みにくいか聖獣が魔獣化した時くらいだから」
「聖獣が、魔獣に?」
「聖獣だって万能じゃないからさ? 病気だったり、他の魔獣の血を浴び過ぎたりとか原因は色々あるんだけど。産まれながらの魔獣と違って、後天性の場合は特に戻りにくい。だから、神の僕が直接手を下せない代わりにエディ達にお願いしてるんだー」
「それが普通だったしな?」
「だよなぁ?」
この間に、エディオスさんとサイノスさんは完食されていた。
「久々に食ったが、これも蒼の世界の料理だったのか? フィー、おかわりいいか?」
「いーいよー」
「俺も頼む」
フィーさんがエディオスさんとサイノスさんのお皿をパパっと持っていった。
僕はまだ浮いていたスプーンを手に取れば魔法は解けたのかもう動かなかった。
「……無理に食べなくてもいいぞ?」
「いえ、これが普通なら大丈夫です」
それは言い訳で、美味しいものなら残さず食べるって欲望だけど。
「二杯もなんて無理ですわ」
「うん、一杯で充分だよね」
女性二人には、一杯で大丈夫みたい。
僕は前の体だったらきっと二杯以上食べてたけど、この子供の体じゃ充分だ。
サラダとスープも美味しく食べてると余計にそう感じた。
「おっ待たせー! セヴィルは僕が食べてからでいーい?」
「ああ」
辛さは大したことがないだろうけど、やっぱり辛いものはなんでも好きだからかセヴィルさんのお皿も空っぽだった。
クラウもすぐに食べ終わってお代わり!を主張してきても、浮かんだスプーンはすぐにサラダやスープをあーんしてくれていた。
「今日の予定って大雑把にしか聞いてねぇが、こっちでの収穫祭ってどーすんだ? 昔みてぇに好き放題じゃないんだろ?」
食後のコフィーやお茶を飲む頃になってから、エディオスさんがそう切り出してくれた。
「そうだね。収穫祭は今日だけ、明日は僕とカティアとセリカでその収穫したのを使って料理。最後は帰るから特にしない、かな?」
「それだけかよ?」
「充分じゃない? だって、今日取りに行かせるのはそう簡単に採れるものじゃないからねー?」
そう言って、フィーさんはくいーっとコフィーのカップを煽った。
「神域でも奥の奥、そこに自生するキアルって果物を取りに行ってもらうからね!」
「「「「「「キアル??」」」」」」
「ふゅ?」
僕やクラウはともかく、他の皆さんも聞いたことがないみたい。
「神域に一番来てるお前さんやゼルでもないのか?」
「おー」
「聞いたこともない」
「そりゃ、秘匿中の秘匿。持ち出し厳禁なキアルだからねー?」
「それをなんでまた?」
「今回はクラウもいるし、神力補給も兼ねてさ!」
「ふゅ?」
注目が集まったクラウは、ぬるめの牛乳っぽいのをちびちび飲んでいた。
「クラウが所構わずご飯に飛びつくってカティアが言ってたんだ? まだまだ憶測だけど、思った以上に神力の供給が底をつくかもしれない。だから、必要以上にお腹が空いたり、神力が豊富な食べ物を求めてるんじゃないかなって」
「僕の作ったご飯じゃ足りないのも?」
「うん。あの殻を食べさせてひと月経ってこの状態だとその可能性は高いね」
じゃあ、セリカさんとエディオスさんのこともあったけど、クラウのことも考えてくれてたんだ?
そう言えば、フィーさんのご飯を食べたからか、少し多めに食べても満足しているような気がする。
「リーさんには、僕の魔力が珍しいから大丈夫って言われましたけど……」
「まあ、あくまで憶測。それにクラウは正確にはこの世界の神獣じゃないからね? 色々勝手が違うかもしれないよ」
「……はい」
そうだった、僕と同じ違う世界から来た子だもの。
お腹をぽんぽんと叩いてるクラウの頭を撫でてあげれば、ネコのようにすりっと顔を擦り付けてきた。
「ってことで、食休みしたら女の子達は僕が用意した服に着替えてね! スカートだと動きにくいから」
「まあ、そうですの?」
「わ、わかりました」
ってことは、僕もお着替えかな?
だけど、この世界に来てからそれはなかった。
「魔獣の肉なら、うちでも食わせてたぞ?」
と思ったら、そうじゃなかった⁉︎
「た、食べてたんですか⁉︎」
「サイノスとか、下の若い軍人の連中が訓練で持ち帰ってくんのとか? 上層もなくはないが、頻度が多いのは中層以下だな?」
「レストが式典中に作ってたの、材料の大半がそーだよぉ?」
「えぇえ⁉︎」
なんでそんなに魔獣のお肉が多いの⁉︎
「それはともかく、冷めちゃうから食べてよー?」
「お、そんじゃいただくか?」
あー、そんなごろっごろのお肉をためらいもなく⁉︎
けど、エディオスさんが食べ出したらセヴィルさんやサイノスさんも普通に食べ出した。
女性二人も、魔獣のお肉なのに気にされていない。
(これが文化圏の違い……?)
僕だって気づかず食べてたとは言え、知った今じゃ抵抗感を持っちゃうよ。
目の前には、日本人大好きなお家カレーがどでんとあっても。
クラウが『まだー?』って首を傾げてたって、食べさせていいものかどうか。
「……魔獣の肉は、あちらじゃなかったのか?」
「そもそもいません!」
「そんなこと言う子は、あーん!」
「うぐ⁉︎」
反対側からフィーさんに顎を掴まれ、問答無用で口を開けられ、そこに魔法で動かしたスプーンに乗ってるカレーを押し込まれた。
しかも、例のお肉たっぷり!
噛みたくないと思っていたが、舌の上で感じてしまう美味しいカレーのルーにはあらがえなかった。
お肉も、ジューシーで柔らかい。
「どーう?」
フィーさんは、自分の力量がわかってるからくすくす笑いながら聞いてきた。
「……美味しいです」
僕好みの、ちょうどいい辛さでした。
「ふふふ、そーでしょそーでしょ!」
「ぶゅぶゅぅ!」
「あーはいはい。クラウもあーん」
「ふゅぅ!」
僕がカお肉を噛み締めていたら、フィーさんはクラウにもあーんしてあげてくれました。
ただ、自分の手でスプーンを持たずに魔法で。
僕の時とは違って強引にではなくゆっくりと。
「ふーゅふゅぅ!」
「魔獣の肉は結構食べる方なんだよ。僕が神域にいる間肉を食べないのは、ここに魔獣が入り込みにくいか聖獣が魔獣化した時くらいだから」
「聖獣が、魔獣に?」
「聖獣だって万能じゃないからさ? 病気だったり、他の魔獣の血を浴び過ぎたりとか原因は色々あるんだけど。産まれながらの魔獣と違って、後天性の場合は特に戻りにくい。だから、神の僕が直接手を下せない代わりにエディ達にお願いしてるんだー」
「それが普通だったしな?」
「だよなぁ?」
この間に、エディオスさんとサイノスさんは完食されていた。
「久々に食ったが、これも蒼の世界の料理だったのか? フィー、おかわりいいか?」
「いーいよー」
「俺も頼む」
フィーさんがエディオスさんとサイノスさんのお皿をパパっと持っていった。
僕はまだ浮いていたスプーンを手に取れば魔法は解けたのかもう動かなかった。
「……無理に食べなくてもいいぞ?」
「いえ、これが普通なら大丈夫です」
それは言い訳で、美味しいものなら残さず食べるって欲望だけど。
「二杯もなんて無理ですわ」
「うん、一杯で充分だよね」
女性二人には、一杯で大丈夫みたい。
僕は前の体だったらきっと二杯以上食べてたけど、この子供の体じゃ充分だ。
サラダとスープも美味しく食べてると余計にそう感じた。
「おっ待たせー! セヴィルは僕が食べてからでいーい?」
「ああ」
辛さは大したことがないだろうけど、やっぱり辛いものはなんでも好きだからかセヴィルさんのお皿も空っぽだった。
クラウもすぐに食べ終わってお代わり!を主張してきても、浮かんだスプーンはすぐにサラダやスープをあーんしてくれていた。
「今日の予定って大雑把にしか聞いてねぇが、こっちでの収穫祭ってどーすんだ? 昔みてぇに好き放題じゃないんだろ?」
食後のコフィーやお茶を飲む頃になってから、エディオスさんがそう切り出してくれた。
「そうだね。収穫祭は今日だけ、明日は僕とカティアとセリカでその収穫したのを使って料理。最後は帰るから特にしない、かな?」
「それだけかよ?」
「充分じゃない? だって、今日取りに行かせるのはそう簡単に採れるものじゃないからねー?」
そう言って、フィーさんはくいーっとコフィーのカップを煽った。
「神域でも奥の奥、そこに自生するキアルって果物を取りに行ってもらうからね!」
「「「「「「キアル??」」」」」」
「ふゅ?」
僕やクラウはともかく、他の皆さんも聞いたことがないみたい。
「神域に一番来てるお前さんやゼルでもないのか?」
「おー」
「聞いたこともない」
「そりゃ、秘匿中の秘匿。持ち出し厳禁なキアルだからねー?」
「それをなんでまた?」
「今回はクラウもいるし、神力補給も兼ねてさ!」
「ふゅ?」
注目が集まったクラウは、ぬるめの牛乳っぽいのをちびちび飲んでいた。
「クラウが所構わずご飯に飛びつくってカティアが言ってたんだ? まだまだ憶測だけど、思った以上に神力の供給が底をつくかもしれない。だから、必要以上にお腹が空いたり、神力が豊富な食べ物を求めてるんじゃないかなって」
「僕の作ったご飯じゃ足りないのも?」
「うん。あの殻を食べさせてひと月経ってこの状態だとその可能性は高いね」
じゃあ、セリカさんとエディオスさんのこともあったけど、クラウのことも考えてくれてたんだ?
そう言えば、フィーさんのご飯を食べたからか、少し多めに食べても満足しているような気がする。
「リーさんには、僕の魔力が珍しいから大丈夫って言われましたけど……」
「まあ、あくまで憶測。それにクラウは正確にはこの世界の神獣じゃないからね? 色々勝手が違うかもしれないよ」
「……はい」
そうだった、僕と同じ違う世界から来た子だもの。
お腹をぽんぽんと叩いてるクラウの頭を撫でてあげれば、ネコのようにすりっと顔を擦り付けてきた。
「ってことで、食休みしたら女の子達は僕が用意した服に着替えてね! スカートだと動きにくいから」
「まあ、そうですの?」
「わ、わかりました」
ってことは、僕もお着替えかな?
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