チートがちと強すぎるが、異世界を満喫できればそれでいい

616號

文字の大きさ
11 / 182
第1章

第十一話 すべてを飲み込むもの その二

しおりを挟む
 広場にいる敵は殲滅した。ここに来て随分と時間が経過しているが、他にこの広場にたどり着く冒険者たちはいない。それだけ街のいたるところに敵がおくりこまれているのだろう。

 ルーミエたちのことが心配だが、携帯電話のような便利なツールはこの世界にない。ラスボスのガルジアを倒さなければ、この戦いは終わらない。

 奴らの宣戦布告で、死んだ者たちの魂が城の礎となると聞いたが、その魂が取り込まれて作られた建造物が見当たらず、どこか別の場所に建造されているのだろうか……。

 辺りを注意深く見回してみると、空間密度が濃い部分があり、蜃気楼のように揺らめいている。近づくと広場には不似合いな地下へと続く階段が現れた。

 階段を下ると、天井は高く、広さも五十メートルプールくらいの空間にたどり着いた。しかし魂を集め、建造物の礎に変換するなんておぞましい術だよな。

 奥まで進むと一人吠えている奴がいた。

「……足りぬ、こんなものでは足りぬぞ!もっと魂をよこせ!!」

◇ ◇ ◇
Lv157 亜種魔族 ガルジア 205cm 150kg 魔界八将軍 第三席
◇ ◇ ◇

 肩書を見てもレベル差がかなりあるが、今の俺にはアズアフィアという青い炎の切り札があるので気持ちに余裕はある。

「おい、お前。どれだけでかいもの作る気なんだよ。もう終わりだ。広場にいたお前の手下は俺が倒した」
 ガルジアはゆっくりと振り返る。その姿は剣士ではなく魔法を使う者に近い。

「だからどうした」

 詠唱なし、モーションなしで雷がこちらに向かって飛んでくる。

 反射的に箱魔法を展開したのが間に合い相殺して壊れて消えた。

「貴様を倒した代わりの奴を召喚するまでよ」

 無駄に話し合うこともないな。五つの圧縮火炎球(マグマボール)を展開。超高速でガルジア目指して飛ばす。

「ふん、ぬるい、……貴様ごときが我が目的を止めるというのか?」

 腕の振りだけで全て弾きやがったが、その隙に青い炎を作り出す。

『アズアフィア、いくぞ』

 圧縮火炎球(マグマボール)に一気にMPを注ぐ。イメージができている分、青い炎はたやすく呼び出すことができた。

 ガルジアの問いに答えてやる。

「ああ、そうだ、俺がお前を倒す。……じゃあなガルジア」

 ガルジアは雷撃を連発する。

 雷撃の向かう俺の目の前にゆっくりと揺らめく青い炎。

『吸引』

 その一言で青い炎はすべての雷撃を飲み込み、ガルジアへ向かい始める。MPには余裕がある、たっぷりと魔力を充填させる。

ガルジアは青い炎を初めて見て、驚いているが何も手を打てない。

「何だこれは!…………や、止めろ!!……あぁーーーーー」

 背を向けて走り出すガルジアをアズアフィアはパクっとのみ込んだ。それにしても二人とも負けそうになったら逃げるなんて似ているな。ドウザに引き続きガルジアもあっけない最後を迎える。

 そして青い炎が消えるのと同時に勝利を知らせる討伐ログとアイテムドロップログがずらずらと流れ込んでくる。

 同時にホールに充満していた魔力が解放されていくのを感じるが、建造物はそのままのだ。

 もちろんこれで全てが終わった訳ではなく、街のあちこちで戦いは続いている。

 まだ体は動けるので戦闘が行われているとこを探して走った。圧縮火炎球(マグマボール)を使うと目立ってしまうようなので、通常のファイヤーボールで軍隊やパーティを手助けしていく。

「お兄さん、今度一杯おごるよ、どこに住んでるの?」や「ありがとう。助かったよ」と、幾度となくお礼を言われる。

 敵の数も随分と減っているように思えたので、最終仕上げとして街の端から端まで、往復で走ってみると敵はほとんどいない。この様子ならもう少しで殲滅完了だな。他の奴らにあとは任せて、ルーミエたちに会いにギルドに戻ろう。

 夕焼け空の中、騒然としている街をギルドに向って俺は走り出した。
しおりを挟む
感想 24

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる

よっしぃ
ファンタジー
コミカライズ企画進行中です!! 2巻2月9日電子版解禁です!! 紙は9日に配送開始、12日発売! 【書籍版 大ヒット御礼!オリコン18位&2巻出版!】 皆様の熱狂的な応援のおかげで、書籍版『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』が、コミカライズ決定いたしました!現在企画進行中!!そしてオリコン週間ライトノベルランキング18位、そしてアルファポリス様の書店売上ランキングでトップ10入りを記録しました! 12日には、楽天koboにおいてファンタジー5位となりました!皆様のおかげです! 本当に、本当にありがとうございます! 皆様の応援が、最高の形で「続刊(2巻)」へと繋がりました。 市丸きすけ先生による、素晴らしい書影も必見です! 【作品紹介】 欲望に取りつかれた権力者が企んだ「スキル強奪」のための勇者召喚。 だが、その儀式に巻き込まれたのは、どこにでもいる普通のサラリーマン――白河小次郎、45歳。 彼に与えられたのは、派手な攻撃魔法ではない。 【鑑定】【いんたーねっと?】【異世界売買】【テイマー】…etc. その一つ一つが、世界の理すら書き換えかねない、規格外の「便利スキル」だった。 欲望者から逃げ切るか、それとも、サラリーマンとして培った「知識」と、チート級のスキルを武器に、反撃の狼煙を上げるか。 気のいいおっさんの、優しくて、ずる賢い、まったり異世界サバイバルが、今、始まる! 【書誌情報】 タイトル: 『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』 著者: よっしぃ イラスト: 市丸きすけ 先生 出版社: アルファポリス ご購入はこちらから: Amazon: https://www.amazon.co.jp/dp/4434364235/ 楽天ブックス: https://books.rakuten.co.jp/rb/18361791/ 【作者より、感謝を込めて】 この日を迎えられたのは、長年にわたり、Webで私の拙い物語を応援し続けてくださった、読者の皆様のおかげです。 そして、この物語を見つけ出し、最高の形で世に送り出してくださる、担当編集者様、イラストレーターの市丸きすけ先生、全ての関係者の皆様に、心からの感謝を。 本当に、ありがとうございます。 【これまでの主な実績】 アルファポリス ファンタジー部門 1位獲得 小説家になろう 異世界転移/転移ジャンル(日間) 5位獲得 アルファポリス 第16回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞 復活の大カクヨムチャレンジカップ 9位入賞 オリコンランキングライトノベル 週間BOOKランキング 18位(2025年9月29日付)

異世界召喚に巻き込まれたのでダンジョンマスターにしてもらいました

まったりー
ファンタジー
何処にでもいるような平凡な社会人の主人公がある日、宝くじを当てた。 ウキウキしながら銀行に手続きをして家に帰る為、いつもは乗らないバスに乗ってしばらくしたら変な空間にいました。 変な空間にいたのは主人公だけ、そこに現れた青年に説明され異世界召喚に巻き込まれ、もう戻れないことを告げられます。 その青年の計らいで恩恵を貰うことになりましたが、主人公のやりたいことと言うのがゲームで良くやっていたダンジョン物と牧場経営くらいでした。 恩恵はダンジョンマスターにしてもらうことにし、ダンジョンを作りますが普通の物でなくゲームの中にあった、中に入ると構造を変えるダンジョンを作れないかと模索し作る事に成功します。

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

生活魔法は万能です

浜柔
ファンタジー
 生活魔法は万能だ。何でもできる。だけど何にもできない。  それは何も特別なものではないから。人が歩いたり走ったりしても誰も不思議に思わないだろう。そんな魔法。  ――そしてそんな魔法が人より少し上手く使えるだけのぼくは今日、旅に出る。

無限に進化を続けて最強に至る

お寿司食べたい
ファンタジー
突然、居眠り運転をしているトラックに轢かれて異世界に転生した春風 宝。そこで女神からもらった特典は「倒したモンスターの力を奪って無限に強くなる」だった。 ※よくある転生ものです。良ければ読んでください。 不定期更新 初作 小説家になろうでも投稿してます。 文章力がないので悪しからず。優しくアドバイスしてください。 改稿したので、しばらくしたら消します

スキルはコピーして上書き最強でいいですか~改造初級魔法で便利に異世界ライフ~

深田くれと
ファンタジー
【文庫版2が4月8日に発売されます! ありがとうございます!】 異世界に飛ばされたものの、何の能力も得られなかった青年サナト。街で清掃係として働くかたわら、雑魚モンスターを狩る日々が続いていた。しかしある日、突然仕事を首になり、生きる糧を失ってしまう――。 そこで、サナトの人生を変える大事件が発生する!途方に暮れて挑んだダンジョンにて、ダンジョンを支配するドラゴンと遭遇し、自らを破壊するよう頼まれたのだ。その願いを聞きつつも、ダンジョンの後継者にはならず、能力だけを受け継いだサナト。新たな力――ダンジョンコアとともに、スキルを駆使して異世界で成り上がる!

俺、何しに異世界に来たんだっけ?

右足の指
ファンタジー
「目的?チートスキル?…なんだっけ。」 主人公は、転生の儀に見事に失敗し、爆散した。 気づいた時には見知らぬ部屋、見知らぬ空間。その中で佇む、美しい自称女神の女の子…。 「あなたに、お願いがあります。どうか…」 そして体は宙に浮き、見知らぬ方陣へと消え去っていく…かに思えたその瞬間、空間内をとてつもない警報音が鳴り響く。周りにいた羽の生えた天使さんが騒ぎたて、なんだかポカーンとしている自称女神、その中で突然と身体がグチャグチャになりながらゆっくり方陣に吸い込まれていく主人公…そして女神は確信し、呟いた。 「やべ…失敗した。」 女神から託された壮大な目的、授けられたチートスキルの数々…その全てを忘れた主人公の壮大な冒険(?)が今始まる…!

処理中です...