チートがちと強すぎるが、異世界を満喫できればそれでいい

616號

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第1章

第十七話 カムラドネ山へ

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 馬はタンナメで売ったので、ここからは俺の箱魔法の出番だ。人目に付かないとこから飛び立ち、かなりの高度まで上昇する。

 馬での移動は一日およそ三十から四十キロと想定すると、エスタからカムラドネまで馬だと七日かかるので、単純計算で二百から三百キロくらいになる。街道は山をよけたり、橋を通ったり蛇行している。それを直線で進むので距離はもっと縮まるはずだ。

 MPを注ぎ、速度を上げていくと時速百キロくらいは軽く出ている。これだと半日も飛んだら着いてしまうな……。

 三人とも高いところを怖がるんじゃないかと心配したが、「いい眺めね」と、ルーミエはご満悦だ。

「これは楽だね~、寝てる間についちゃうよ」

「浮遊魔法ではこんなに早く複数を運んで移動できないし、さすがアキトさんですね」

 ユウキもノイリもこれまでの旅の概念がかわるような移動方法に驚きながらも、楽に移動できることを喜んでいる。

 今のところMPの連続使用による弊害もない。これなら世界中のどこでも行けそうだと思うとワクワクしてくる。

「あ、あれがカムラドネです」

 ノイリが指差す方向には、富士山のようなきれいな形の大きな山が見えてきた。そして麓には大きな街があり、山と街の間に雲にまで届きそうな高い塔がある。

「ノイリ、あの塔は何なんだ?」

 ノイリの表情が少し曇る。

「あれはカムラドネのダンジョン悪魔の塔です。地上九十三階、地下八十七階あります」

「地下もあるのか。あれは悪魔が建てたの?」

 街の入り口の手前の方で着陸して、徒歩で街に向かう。

「はい、十五年ほど前に悪魔があの場所に地下、地上五階の低い塔を建てたのが始まりで、浅い階層でも豪華な宝箱がでることもあって、多くの冒険者が集まりました。
 悪魔たちは塔の中で死んだ者の魂を少しずつ取り込み階層を増やしていきます。戻ってきた者は宝を自慢し、それを聞い者が塔に向かう。この循環で塔はここまで大きくなったんです」

「悪魔の目的は塔を大きくすることだけなのか?」

「いいえ、そこには私の師、遠夜見(とおよみ)の巫女が関係しています。師匠が巫女になってからしばらくして、双子の悪魔、姉のウルム、妹のネイズが巫女の力を手に入れるためにこの地にやってきましたが、どちらがその巫女の力を手に入れるかで揉めました。そしてその権利を賭けて、どちらが先に百階層に届くかを勝負することになり、この塔が作られたのです」

「気の長い話だな……」

「悪魔の寿命は千年や二千年ともいわれています。我々の相手なんて暇つぶし程度にしか思ってないのでしょう。後ほど巫女から細かい話をお聞きください」

 入り口の門をくぐると街の中は冒険者であふれ、にぎやかな街だと感じる。

「一年半ぶりくらいかな」

「そうだね~、会うのが楽しみだよ」

 ルーミエとユウキも久しぶりの巫女との再会を楽しみにしている。

 大きな屋敷の前に着き、エントランスホールに入ると「おかえりなさいませ」と、執事らしきお爺さんとメイド数人が頭を下げる。

 ノイリは再会の挨拶もそこそこに巫女との面会を行うべく応接室へ案内をしてくれた。

 ドアを開けてもらい中に入る。豪華な調度品とソファが置いてある部屋に入ると、ドアの陰に隠れていた何者かに後ろから抱きつかれた。

「私の王子様捕獲ー!!」

「!!」

 背中に伝わる柔らかい感触。こんなことならジャケット脱いでおくべきだったか!?違う違う……誰だ。

 腰に回された手はするっと放し、距離をとったその女性は「初めまして、遠夜見(とおよみ)の巫女レイラでございます」と、恭しくお辞儀をした。

 分析能力を発動。

 ◇ ◇ ◇ 
レイラ:レベル15 魔法使い 
164cm B86cm W62cm H87cm
22歳 遠夜見(とおよみ)の巫女
 ◇ ◇ ◇ 

 モデルのようにスタイルがとてもよく、 
腰まである銀髪がさらさらと輝いて見える。人懐っこい笑顔がとても素敵な美人だ。
 着ている物は薄いグレーのビキニを着用しているだけだが、あれは下着か?

 それに二十二歳って、とても若い!師匠と呼ばれるくらいだから、俺はてっきりお婆さんだと思いこんでいた。

 想像していた人物像とのギャップがありすぎて、必然的に今まで以上に感想が長くなった。

「”れいたん”っておよびくださいね」と、言いながら今度は正面から抱きつかれる。

『れいたん、マジ最高だ……』

「もぉー、師匠!お部屋に呼びに行くのになんで先に待ってるんですかー」

「だって来るのわかってるのに、じっとしてられないんだもーん」

「お久しぶりです、レイラ様」

「やぁ久しぶりだね、ルーちゃんに、ユウちゃん。本当に見つけて連れて帰ってきてくれたんだね。……さあさあ、立ち話もなんだから座って、座って」

 みんな対応が普通だ。あの目のやり場に困る下着のような格好は普段着として捉えていいんだ。
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