チートがちと強すぎるが、異世界を満喫できればそれでいい

616號

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第1章

第十八話 遠夜見の巫女

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 四人がソファに腰かけると、メイドさんがお茶とお菓子を出してくれた。

「さて、何から話したもんかね」と、遠夜見(とおよみ)の巫女は少し考える。

「あの、その恰好は巫女の衣装なんですか?」

 しまった!つい聞いてしまった。

「ふふ……気に入ってくれたかな?大切な私の王子様に会うんだから、特別な服装でお出迎えをしたんだよ」

 その発言を聞いて、おとなしいノイリが、がばっと立ち上がった。

「師匠!お屋敷の中じゃ、いつもその恰好でしょう!そんなこと言ってアキトさんを困らせないでくださいよ」

「まあまあ、そんなに怒るなノイリ。私だって女の子なんだし、恋愛させてくれたっていいじゃないか——って、あれ?三人とも雰囲気が超怖いんだけど、まさか王子様……三股してる?」

って人聞き悪いだろー!!

「いえいえ、みんな俺にはもったいない人ばかりですよ」と、大人な対応をしてみる。

「まあ、私の恋愛云々は置いておいて、本題に入ろう。——悪魔たちが巫女の能力を求めて、あの塔を建てたことをは聞いたかな?」

 俺はうなずく。

「私は先代の神託により選ばれ、七歳で巫女になった。遠夜見(とおよみ)の巫女は修行なんて必要とせずに運命で決まるんだ。
 先代は九十歳の寿命を全うして亡くなられ、同時に私に”遠夜見(とおよみ)”の能力が備わった」

「遠夜見(とおよみ)の能力って、未来を見るための力ですか?」

 レイラは首を振る。

「遠夜見の能力それは、「遠」いは未来。「夜」は厄災を意味している。未来に必ず起こる厄災の情報が、起きている時、寝ている時を問わず頭の中に「声」や「イメージ」で突如下りてくる。
 モンスターが街を襲い、人々が逃げまどう……。そんなイメージが勝手に脳裏に浮かぶんだ。周りの者からはそれを書き残すように言われた。早くから読み書きや、記録方法については教育を受けていたけど、幼い私にはとても辛いことだった。泣きながら必死に書き残して、終えるといつも母様(かあさま)や父様(とおさま)に慰めてもらう日々だったよ」

 少女に街が襲われているシーンを細かく描写させて、予知に必要な情報を集めとはいえ、精神的にきついことだっだろう。ノイリは涙ぐんでいる。

「私の巫女の力を求めて、街の外に悪魔がやってきたことは知っていたよ。こんな能力なんて惜しくもない、くれてやるとも思ったことはあったけれど、同時に私が死ぬことで母様、父様を悲しませたくはなかった。
 悪魔たちは何を思ったのか知らないが、私の能力を得るための権利を賭けて、塔を大きくする勝負を始めた。百階層なんて届くはずがないと思って、いつも塔を見上げていたんだけど、冒険者たちは財宝目当てに次々と塔に入り、塔は徐々に大きくなっていった。
 私を支援している幾つかの国からも攻略部隊が派遣された。でも結局、塔を大きくしただけで悪魔を倒せなかったけどね」

 レイラは冷めてしまったティーカップに口をつける。一気に話しすぎたのか、自分を落ち着かせているようだ。

「塔が大きくなる中、いつもの襲撃とは違う予言が二つ浮かんできたの。
 一つはノイリのことね。次代の遠夜見の巫女を見つけ出し、弟子に迎えた。これはある意味死刑宣告だったわ。私が先代から能力を受け継ぐまでの期間はおよそ三年だった。今回も同じだとすると弟子を見つけてから三年以内に百階層が完成し、同時に私の命は奪われるということになるわ……」

「悪魔が巫女の能力を奪ってしまうと、ノイリに能力が渡らないんじゃないの?」

「確かにその通りなんだけれど、神託は絶対だし、その真意はわからないわ。……そして次にアキトの神託が降りてきた」

 レイラは俺の顔をじっと見つめた。俺もレイラを見つめ返す。少しの沈黙の後、レイラは口を開いた。

「”東の果てに降り立つ彼のもの。あらゆる厄災を振り払い、異質な力をもって悪を打ち破るものなり。天翻地覆(てんほんちふく)に炎と共に立ち向かい、全ての悪を無に帰す”
 この神託には他の神託と異なる点が二つあるの。一つ、いつ”降り立つ”か分からない。二つ、一回の厄災ではなく”全て”を解決する人が現れるとね。これは破格の条件だったわ。
 それを国王に報告すれば探し出してくれるとは思ったけれど、直感でそれをしては駄目なような気がしたの……。それで危険だけれど、弟子のノイリとその神託が出たあとに、うちに来てこれからどう生きていくか迷っていたルーちゃん、ユウちゃんとで探してきてほしいとお願いしたんだ」

「私の国もユウキの国も神託をいただいたのだけど、滅ぼされてしまった。もう終わってしまった事だけど、その人がいれば何かを変えられるかもしれないと思ってご提案をお受けしたの」

「神託にもあるとおり、アキトは火魔法が得意なんでしょ?」

「通常の火魔法が使えるし、さらにエスタが襲撃を受けた時に新たな力を得たんだ。青い炎のアズアフィア……」

「青い炎か……。暴食の炎だね。なんでも食べるでしょ?」

「そういえば、炎や雷撃を吸収していたな」

 それを食べるっていう表現であっているのだろうか?

「そっかそっか、神託は間違いなくアキトのことだよ。あ、何もないのに呼び出しちゃだめだよ。食べさせる物がないと怒るから気をつけてね……」

 ふと、レイラが寂しそうな顔をする。

「その期限の三年までどのくらいあるんだ?」

「二カ月くらいかな」

 そんなに日が無いな。

「いつもね、あの塔を見ると生きることを諦めそうになるの。そんな時はあの神託を何度も何度も口にして、私を救ってくれる人は必ず来るって願い続けた……」

 大きな瞳から涙があふれ、頬を伝って膝の上に落ちる。

「ねえ、アキト。私まだ死にたくない。恋愛もしたいし、結婚もしたい、赤ちゃんだって欲しい。もっともっと生きていたいの。お願い……私を助けて!」
 
 レイラの女性としての幸せを手にしたいという強い思いを受け止め、俺は大きく深呼吸をする。

「……大丈夫だよ。俺が必ず悪魔を倒す」

 そのためのチート能力だと思っているし、こんな美人を失うことは世界にとって大きな損失じゃないか。

 レイラは涙を拭いながら「ありがとう、アキト。……そして、ノイリ、ルーちゃん、ユウちゃん。アキトを連れてきてくれて本当にありがとう」と、安堵した笑顔で感謝をみんなに伝えていた。

 その後はそれぞれの滞在用の部屋に案内される。豪華な屋敷内にはメイドさんや護衛の人が何人もいて世話をしてくれるそうだ。執事のおじいさん以外はすべて女性だった。国から軍隊まで派兵されるほどの巫女なんだから当然潤沢な支援があるのだろう。
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