チートがちと強すぎるが、異世界を満喫できればそれでいい

616號

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第1章

第四話 敵を倒してみよう

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 武器と防具の店で装備一式を入れ替え、俺が想像していた冒険者スタイルに変身できた。

 これから実際に戦闘を行うのだが、剣の扱いは全くの素人なので、おそらく上手く斬りかかることはできない。とりあえず緊急時に使用するため持っておき、火魔法を中心に戦っていくしかないな。

 街の外を目指し歩きながら、残っていたボーナスポイントを全て振り分けた。

 ◇ ◇ ◇
強さ:150 守り:150 器用さ:200 賢さ:150 魔法耐性:150、魔法威力:200 ボーナス:0
◇ ◇ ◇

 門を潜り抜ける時に、ひげ面のおっちゃん門番兵に「気をつけていけよ」 と、声を掛けられたので、情報収集のために話を聞いてみた。

「今日この街で初めて復活したんだけど、どの辺にモンスターでるかな?」

「何?初めて街の教会に蘇生したって?普通なら縁のある街の教会に戻るもんだろう?」

 俺にとってはこの世界のどこの街にも縁はない。

「なんだかうまく機能しなかったみたいなんだ」

 と、適当にごまかすと、それ以上は何も聞かれなかった。教会での復活ってそういうルールがあるんだな、覚えておこう。

 おっちゃん門番兵は仕事が暇なのか親身になって教えてくれる。

「モンスターなら街道を外れてしばらく行けば遭遇するだろう。忠告だが森の奥深くに行くとモンスターが群れでいるから、冒険者ランクの”壱”のお前は絶対に一人で行くなよ。死ぬだけだからな」
 
 礼を言って街を出る。

 背中の鞘から剣を抜き、軽く振ってみる。”強さ”スキルのおかげか十キロ以上はある黒鋼の剣も片手で楽に振り回せてしまう。

 垂直飛びをしてみると二メートル程の高さまでジャンプができ、結構な高さに驚く。”強さ”スキルって体全体に関することが強化されているように感じる。
 
 さて門番のおっちゃんの忠告を全く無視することになるが、森を目指し街道から離れて歩いていくと、野生の牛に出会った。挑発はしていないが縄張り意識が強いらしく、こちらに気づくとワンボックス車くらいある巨体が突っ込んできた。

 牛の直線的な動きは単純で、避けることは容易だ。怖いとは思わないが、剣を使って倒すイメージがまったくできなかったので、火の玉を出して再び突進してくる牛の顔面にぶつける。

 牛の頭が吹き飛び、その場で崩れ落ち、しばらくぴくぴくしていたが、すぐに動かなくなった。

 牛は食材クエストにもあったので、持って帰ってギルドで買い取ってもらおう。手を当てて『収納』と念じると、死体はスッと消えてアイテムボックスに入った。 よっしゃ、生活費確保。

 簡単すぎる、問題ナッシング!!この世界でもやっていけそうだよ。お母さん!

 何の苦労もなく倒せたことで俺のテンションは上がった。冒険者ってちょろいな。

 さらに森の近くまで来たところで、オーク三体が森の中から出てくるのが見えた。こちらにはまだ気づいていない。
 
 先手必勝。火の玉を三つ出して、遠方から俺の出せる最高速度でぶつけてみると、コントロールも正確で三体ともに命中した。

 二体は即死状態で、残りの一体は左腕を失い、膝を付いている。すでに戦意喪失し、震えながら腕をおさえている。

 ちょうどいいので治癒魔法の実験を行うことにした。オークに向けて治癒と念じると、左腕はもりもりと生えてきた。

 俺も驚いたがオークはもっと驚いたようだ。俺の姿を見るなり、森の中へ走って逃げていった。 まあ、焦ってレベルを上げる必要もないのでそのまま見送る。治癒魔法は再接着じゃなくて、生えてくるんだな。 

 視界の左下に倒した相手の所持品などがログで流れ込んできている。

 ◇ ◇ ◇
800モコが手に入りました
こん棒が手に入りました
オークベルトが手に入りました
……
◇ ◇ ◇

 こん棒やその他のこまごまとした物はいらないので、その辺に捨てた。勝手にアイテムボックスに入ってくることに関しては、死体漁りをしなくていい反面、不要な物まで入ってくるので『アイテムボックスのゴミ箱機能はほしいな~』と、思ってしまう。
 
 さらに森の中を奥に向かって進んでいくといろんな敵に出会う。全長十メートルの蛇、畳半畳ほどの蛾、馬くらいの大きさの野犬。元の世界とは違い、恐怖を感じるくらいに大きい。一体何を食べているのだろうか……。門番のおっちゃんが言っていたとおり、森の中は危険が一杯で、素材収集なんてある程度強くないと無理だなこれは……。

 出会う敵の動きは予測できないのも多く、全て火の玉をぶつけて倒す。そうこうしているうちにレベル一つが上がって脳内でレベルアップ音が鳴り、ログが流れる。

 ◇ ◇ ◇
Lv2 HP:110/MP:110 になった。ボーナスポイントが10増えた。
 ◇ ◇ ◇

 この増加幅は維持してほしいところだな。と、思いながらさらに進んでいくと、不気味でそれも大群を思わせる羽音が徐々に近づいてくることに気づいた。
 
 その羽音の主は、一匹の大きさが三十から五十センチはある蜂の大群だった。

 その中の一匹が高速でこちらに向かってくる。

 『やばい、気づかれたか……!?』そう思った瞬間、俺は手を前にかざし火魔法をぶち込み、木の陰に隠れた。冒険者ってちょろいなって思ったけど、調子に乗っていました、撤回します。
 
 やり過ごせるものならやり過ごしたいが、おそらく無理だ。攻撃をかわしながら、火の玉で攻撃するか?いや、蜂の数が分からないほど多いから、取り囲まれる可能性は高い。……自問自答を繰り返し、頭をフル回転させ、思いついたことは箱魔法だった。
 
 体積を小さくして、MP消費を抑えるために胡坐(あぐら)をかいた自分の周りにMPを30使って、箱魔法を展開させる。透明バリアの分厚い防弾ガラスのような物質は少しは攻撃を防いでくれそうだ。

 蜂はこちらに針を向けて飛んできて、十数匹が箱魔法に対して攻撃してくるが、ガンガンと激しい音はするものの壊れる気配はない。

 箱魔法で攻撃は防げたので攻撃に移る。

 蜂と同じ大きさの火の玉を生成し、箱魔法にぶつけると、障壁は壊れてしまうので注意しながら火の玉を浮遊させ、蜂を焼いていく。

 なんとも地味な光景だが、戦いに派手なことはいらない、着実に倒して生き残る。

 そして一分が経過してMPが満タンになったところで、箱魔法をさらに展開して二重にする。

 箱魔法が近いと火の玉を激しくコントロールできないので、効率が悪い。そこで少し離れた場所で火魔法を二メートルほどの棒状に変形し、回転させると蜂の注意はそちらに向いた。

 棒状の火魔法は、続けて使用していると威力が弱まる。しかしMPを注ぎ込むことで火力が上がる。この世界ではMPを充填することで、魔法の威力や存在が継続されるということがわかった。
 
 何度かMPを充填するうちに俺の周りには蜂の死骸で埋め尽くされる。

 すべて倒したのか、他は逃げたのかは分からないが、何とかこの危機を切り抜けることができた。ログ情報から、大毒蜂の針が大量に手に入ったのと、今回の戦闘でレベルも5まで上がったことを確認する。

 ◇ ◇ ◇ 
Lv5 HP:150/MP:150
強さ:150 守り:150 器用さ:200 賢さ:150 魔法耐性:100 魔法威力:250 ボーナス:50
  ◇ ◇ ◇

 炎魔法、治癒魔法、箱魔法と、俺の持つ全魔法を試すことができたので、今日の所はこの辺で切り上げて街に戻ることにした。
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