チートがちと強すぎるが、異世界を満喫できればそれでいい

616號

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第1章

第三話 装備をそろえよう!

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 そういえばこの世界に来てからまだ水しか口にしていない。

 辺りを見回してみて、何か食べ物を販売しているところを探してみると、この通りにもいくつかあった。さっきは意識していなかったから気づかなかったけれど、店内でも食べられるスペースがあるのと持ち帰り販売も行っている。

 歩きながら食べようと思いパンに肉やチーズ、野菜を挟んで販売している店にした。

 店のおばちゃんに話しかけ、自分で好きな具材を指定して、パンに挟んでもらう。ビニール手袋がこの世界にあるはずもなく、素手での調理だが文句はいえない。

 同じ物を二つ注文して銅貨六枚を渡す。一つはアイテムボックスに入れて、状態をどれだけ保てるのかを実験しつつ、もう一つを歩きながらほおばる。うん、普通においしい。

 次に装備をそろえるために武器と防具の店に向かう。ギルド周辺は冒険者が集い人通りも多く、いろいろな店が集中していて便利だ。

 改めて自分の格好を見る。安っぽいローブに木の杖……。木の杖はアイテムボックスにしまった。

 さっき魔法を使うのに杖とか必要なかったし、何か意味はあるのだろうか?

 店に入ると他に客はおらず、若い女性店員から声をかけられた。

「いらっしゃいませ。どういったものをお探しですか?」

「装備を一式変更したい。すぐに装備を変更したいので、今ある在庫で頼む。剣士の装備だが、軽くて防御力の高い装備がいい、予算はまかせる」

 はっきりと自分の欲しいものを伝え、相場が分からないので、ここは店側に任せるしかないだろう。

「わかりましたー、良いものを見積りますのでお待ちください」と、言って店員は中に引っ込んだ。その間に壁に飾られてある武器を眺める。黒い鋼の剣に目がとまった。素材はわからないが、カウンターの後ろに飾られているこの店でも良い部類にはいるのだろう。金額は書かれていない。

『分析能力がほしいな…』

 ふと思った。材料や何が含まれているのか知りたいし、素材が分かれば相場も調べれば分かるし、偽物もつかまされることは少なくなるだろう。

 そんなことを考えている内に、店員が何やらボードを持ってそれを見せながら俺に説明する。

「いくつかセットをご用意できますが、まずは一番良い装備からいきましょうか。
……ブルードラゴンの鱗素材をふんだんに使ったジャケットに、こちらはブラックドラゴンの皮パンツ。足元は軽い、丈夫でおなじみレッグマッド社製のブーツです。ジャケットは弓や剣での攻撃をやわらげてくれます。完全に防ぎたい方にはプレートメイルなどをお勧めしていますが、いかがでしょう」

「値段は?」

「二百五十万モコになります」

「二百五十万モコ?」

「ええ、金貨二十五枚になります。うちの軽装備で一番いい装備になりますが……」

 ああ、モコは単位だったのか、今のところ装備に金をかけるのは選択としては間違いではないだろう。とにかく買っておくか。

「用意してくれ」

「二百五十万ですよ?お支払いは大丈夫ですか?」

 掌から金貨二十五枚を出してカウンターにじゃらじゃらと置くと、店員の顔もぱあっと明るくなった。

「わかりました。すぐにご用意しますので少々お待ちください。…店長!店長!どこですかー」

と、言いながらまた店の奥に走っていった。

 しばらくすると商品を抱え、店長と共に戻ってきた店員からまずはジャケットを受け取り袖を通す。

「少し大きいな」

「魔力を服に通してください。多少のサイズは合わせられるので……」

 ジャケットに魔力を通すイメージをすると、服がぴったりのサイズになった。この世界は服のサイズが自分で変更できるのか!と驚いていたらパンツ、ブーツについても同じだった。そして高いだけあって軽い!!着心地、穿き心地は最高だ!!!

「ありがとう、これにするよ。あと剣も探しているんだけど、お勧めはどれ?」

 店員はさっき俺が見ていたカウンターの後ろの壁に掛けられた黒剣を指さした。

「こちらの黒鋼の剣がよい業物でお勧めです。金額は五十万モコになります」

「じゃあ、それも」

 店長が壁から外して、鞘に納め、渡してくれた。重さは十キロ近くあるだろうか、そんなに重く感じないのは”強さ”ステータスのおかげかな。

 店長は帯刀スタイルを聞いてきたので、足回りに剣があっても邪魔なような気がしたので背負いたいことを伝えるとホルダーを用意してくれた。

 他にも普段着用の長袖シャツ、ズボンや下着も数枚購入した。早速、店の試着室で装備して、あとはアイテムボックスに放りこんだ。

 鏡を見るとさっきの魔法使いの姿よりは冒険者らしくなった。
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