Fate〜フェイト〜

紅姫

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水色の章

#2

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契約を結んだ海が、始めにしたことは部屋を見渡すことだった。

少々色あせた壁紙、布団がめくれた状態で放置されたベッドの上には脱がれたばかりと思われる服が投げ出されている。申し訳程度に設置された本棚には漫画とかいう絵で書かれた本が並び、入り切らない分が本の前に山となっている。勉強机の上にはデスクトップが置かれていて電源が切れていないのかピカピカと電源脇のライトが点滅している。
一般的に見て、どこにでもあるような正に学生らしい部屋である。が、海にとってその部屋は

「何もない部屋だな」

特に興味の惹かれるもののないつまらない部屋だった。

「そう?」

「少なくとも、俺はつまらない部屋だと思うね」

素直に海が言えば、奈月はアハハと頭を掻いた。

「まさかこんな感じに同居人が出来るとは思わなかったから…」

「そりゃそうだ」

「あ、そういえば…」

と奈月は海を見る。

「なんだ?」

「ここで暮らすなら布団とかご飯、準備しなきゃかな?悪魔って何を食べるの?」

海は呆れたように奈月を見た。

「奈月は悪魔について何も知らずに俺を呼んだのか?」

「…まぁ、あまり良くは知らないよね」

「そうか。いいか奈月」

と海は奈月に近づき、奈月の胸に向かって思いっきり手を伸ばした。
付き飛びされると思った奈月は思わず目をつむり身構えるが、予想していた衝撃はなかなかやって来ない。恐る恐る目を開けた奈月の視界に飛び込んで来たのは自分の胸を貫通する海の腕だった。

「うわぁ!?」

奈月が飛び退くと海は腕を引っ込めた。

「基本的に悪魔は人間界に接触できない。契約者以外の人にも一部の例外を除いて姿も見えない」

「一部の例外?」

「俺以外の悪魔と契約している人間とか…あとは天使と契約している人間には俺の姿は見える」

「へぇ」

「だから、基本的に俺はお前が扉を開けてくれなければ外へは出られないし、食事を出されたって基本的には食べれない。そもそも、悪魔は食事を必要としないしな」

「…その基本的にってのはどういう意味なの?」

言いたくないところを的確に突いてくるなぁと海は考えながら、口を開いた。

「こうやって…」

と海は背中の羽をしまった。

「俺達悪魔は羽をしまえる。俺達はこの姿を『人型』って呼んでるんだがな。人型になると全人間に姿が見えるようになる。人間に接触も可能になる。だけど、危害は加えられなくなる」

「…?」

理解できていない様子の奈月に、例えばな…と海は続けた。

「よく…いや今は言わないのか?昔は『怪現象』とかって呼ばれてたんだがな。昨日まで元気だった人間がいきなり死ぬとかさ、そういった現象は悪魔の影響なんだ。俺達は人間に姿が見えない触れない代わりに、触らなくても何らかの影響を人間に与えることができるんだ。手も触れずに人間を殺すなんて造作もないことなんだ」

青い顔をする奈月。

「もちろん、契約者が望まなければそんな事はしないがな」

あからさまにホッとした様子の奈月に海は肩を竦めた。

「でも、人型になると悪魔は人間界の物に触ることができるようになる。飲んだり、食べたりだって可能になる」

こんなふうにな、と再度海は奈月の胸に手を伸ばした。
服越しに、ヒンヤリとした柔らかな手の感触を奈月は感じた。

「ただし…」

と海は身を乗り出すようにして伸ばしている腕に力を込める。
そんなことしたら倒れる、と思ったがやはり衝撃はやって来ない。

「俺達は人型の状態では人間界の物に触ることができても、なんの力も持たなくなる。悪魔の力はもちろん使えないし、ちょっと背中を押したりも出来ない。…本当に不便な状態だよ」

とまた黒い羽を出した。

「つまり…人型であれば、普通に人間と同じご飯食べれるってこと?」

「まぁ、そうだな」

海が答えると、奈月は嬉しそうに笑った。

「そっか、ならちゃんと食べなきゃだめだよ」

「食べなきゃだめだよって…飯作るのはお前の母親だろ?なんて言って頼む気だ?」

「オレが作るんだから気にしなくて大丈夫だよ」

海は目を細めた。

「お前が?なんで?人間界の一般家庭で食事を作ったりするのは主に母親だと俺は聞いたが?」

「実質、独り暮らしみたいなものだから。オレ」

「独り暮らし?この家にか?ありえんだろ」

海は先程部屋の中を見たときのことを思い出しながら言う。
窓から外を見たとき、この部屋は地面よりかなり上にある。俗に言う一軒家の2階なのだ。
普通、そんな家にまだ成人を迎えていないであろう子供が独り暮らしするなどおかしいと海は知っていた。

「オレん家さ、母子家庭で…母さんは仕事で世界中を飛び回っててね。今、アメリカにいるんだ。母さんと会うのなんて年に数回あるかないか。それも顔合わせてるのは数時間だけ。実質独り暮らしってわけ。もう何年もそうだから、料理も一人でできるようになっちゃったよ。難しいのは無理だけど」

「ふーん」

もしも、海に心があったなら…今の奈月の現状がとても…とても寂しいことだと分かってあげられたのかもしれないが、心の無い海にはそれを理解することはできなかった。その為、とても気のない返事を奈月に返していた。

「…」

それを不安に思った奈月は不安げな顔で海をジッと見る。

「何?」

「食べてくれる?」

「ん?」

「オレとご飯、食べてくれる?」

「…」

今度は海が奈月をジッと見る。片眉を上げて、何言ってんだ?と言いたげな海の顔に奈月はまた不安げな顔をする。

「作ってくれるんじゃねぇの?悪魔だからって、せっかく作ってくれたもん食わないなんて真似はしない」

その言葉に奈月は目を見開いて

「そっか…」

と、とてもとても嬉しそうにフフフと笑う。
それが何故なのか分からない海は、首をひねった。

「なんで笑う?」

「嬉しいからだよ」

「嬉しい?」

「うん、海の言葉が嬉しかったから」

奈月の言葉を海はまるで理解できない。

「嬉しいってなんだ?」

「え?わからないの?」

海が頷くと、奈月は顎に手を当てて考え込む。

「嬉しいっていうのは…うーん、そうだなぁ…」

奈月は目を閉じ胸に手を当てる。

「心があったかくなることだよ」

「あったかくなる?」

「うん、ここらへんがあったかくなるんだ」

「…ふーん」

目を開けた奈月は窓の外の夕焼け空を見て、慌てたように声を出す。

「もう、こんな時間か!ココで待ってて、ご飯の支度してくるから」

「…わかった」

部屋を出ていった奈月を見もせず、海はその場にジッとしていた。
海は自分の胸に手を当てる。
自分が生きていることを伝えるトクトクとした心臓が血液を運ぶ音を手のひらに感じる。が、そこに温度はない。

「…あったかくなんて無いじゃないか」

海は呟いた。


奈月を待つ間、海は部屋の中をただただフヨフヨと漂っていた。
ふと窓の外の景色に動きを止める海。
薄茜色に染まる空の下に見えるのは、奈月の家と同規模の家とボロっちいマンション。
そして、高く、高くそびえ立つ壁。

「なんだ?あれ?」

今まで海が人間界に来たことは何度かあったがあんな壁を見るのは初めてだった。
しかし、その海の興味もすぐに薄れた。
海をはじめてとする悪魔は人間のする事にもとより興味が薄いし、心の無い海は1つのことにずっと関心を抱くということが無いのだから、仕方がない。

視線を下に向ける海。
ちょうど子供が遊び場から帰る時間のためか、母親と手を繋いで歩く子供の姿や追いかけっ子をする兄弟、その間をすり抜けるように中、高校生くらいの人がイヤフォンで音楽を聞きながら歩いていく。

「この時代には居るのかねぇ…黒の器になれる人間が」

その様子を見ながら海は呟いた。

今まで海を初めとする高位の悪魔が人間界にやって来たことは何度かあったが、黒の器を見つけることは出来ていなかった。
もともと高位の悪魔を呼び出せる人間が少ないこともあるが、その人間の近くに黒の器となれる人間がいるかどうかは運任せである。

海はまたフヨフヨと部屋を漂う。
机の上に置かれた写真に海は目を止めた。
幼い子どもの頃の写真のようで、奈月と思われる黒髪の少年と誰だか分からない茶髪の少年が映っていた。
幼い頃から平凡な顔立ちの奈月に比べ、隣に立つ茶髪の少年は中々に華のある顔立ちをしていた。

「…」

しばし、それを眺めて海はまたフヨフヨと漂い始める。

海は考えていた。
もしも、奈月の近くに黒の器がいないとわかったならば、また前の時のように面倒なことをしなければならないのかと。

高位の悪魔達の目的は黒の器を見つけることであり、近くに黒の器がいないとわかったならば、海達にこの場にいる理由はなくなる。
しかし、契約している以上行動の制約を受けてしまう。
すると、悪魔はどうするか。


契約者を殺すのだ。


そうすれば、契約はなくなる。
別に契約者にきちんと説明し、同意を得れれば契約の破棄も出来るが、強欲な人間が素直に契約破棄に対して頷くわけがない。と悪魔が考えている。
一応、契約者が死んでも契約を結び続け人間界に留まることも出来るのだが、そんな事する悪魔はいない。
大概、契約者を殺し、契約を無くし、魔界に帰る。
それが普通の行動だった。

高位の悪魔にとって、契約者を殺すことはとてもとても面倒なことだった。
なんたって、直接的に危害を与えられない上に、姿も見えるから何かしようとすればバレてしまう。
契約者に気づかれず、他人をけしかけ、殺させねばならないのだ。

「まぁ今は様子見だな」

海が呟いた時、階段を上がってくるスリッパの音がした。



「おまたせ、海。出来たよ」

奈月は笑みを浮かべながら海に言い、コッチおいでと扉の外へと来るように手招きした。
開けられた扉から出た海は奈月の後ろについて行く。

「ここがリビング、さあどうぞ」

戸を開けてくれる奈月の脇を通ってリビングに入る。
一軒家のリビングだけあってなかなかに広い。
大きい薄型テレビ。そのテレビの置かれた台の上には親の趣味なのか、はたまた誰かからのお土産なのか、細々としたマスコットが置かれていた。
ゆったりと腰掛けられそうなソファには、これは母親の趣味と思われる可愛らしいクッションが2、3個並んでいた。
ソファの奥にキッチンと、食事用のテーブルが見えた。
テーブルには二人分の食事が置かれている。

奈月がイスを引き、座るのを見て海も一度足を床近くまで下ろし、羽を引っ込める。
トントンと足がきちんと床に着くのを確認して、海は歩き、奈月の向かい側の席に座った。

「どうぞ、召し上がれ」

と笑う奈月。
確か、日本では…と海はしばし考えて

「…いただきます、だっけ?」

と言い、置かれた箸に手をつけた。


「悪魔って箸使えるんだね」

と感心したように奈月は言った。
海の箸使いはなかなかの物だった。

「誰かに習ったの?」

「昔、人間が使ってるのを見たことがあるってだけだ」

「そうなんだ」

話が広がる事無く、止まる。
海はそれを気にしないが、奈月は少々居心地が悪く感じる。
奈月がソワソワしているのを感じながらも、気にはせず、海はただ箸を動かし続けた。

「…ごちそうさま?」

食べ終わった食器の上に箸を置き、海は言った。
なぜに疑問形?と奈月が小さく笑う。

「…よ」

「ん?」

「美味かったよ」

奈月は目を見開いた。次の瞬間笑った。

「何、その反応」

思ったことを言っただけの海にとって奈月の反応はまるで馬鹿にされたようで、ちょっと不機嫌になる。いや、実際に声には不機嫌さが滲み出ていた。

「ごめん、嬉しくてつい」

「…」

また嬉しい…か。と海は思った。
その、『嬉しい』が分からない海は話題を変えようと口を開く。

「料理、親から習ったのか?」

「そうだね…習ったのもあるけど、殆どは…」

そこで奈月は口を閉ざした。

「言いたくないならいいよ」

と海は手をヒラヒラとさせる。

「ごめん…片付けるね」

奈月はごまかすように立ち上がった。


奈月が片付けをしている間、海はリビングやキッチンをウロウロしていた。
廊下へとつながる扉は閉じられているが、現在人型の海には関係ない。自分で開ければいいのだから。だが、なんとなく、本当になんとなく海は奈月の周りをウロウロしていた。

キッチンで皿を洗っている奈月の後ろを通り、棚などを見ていた際、海は炊飯器の隣に置かれた古いノートを見つけた。ページは開かれていて、海は軽く目を通した。そこには、子供っぽい字で細々とビッシリとイラストと共に料理のレシピが書かれていた。
ページをめくってもめくっても、同じ文字でビッシリとレシピが書かれている。
奈月の母親が書いたのか?と海は考えたが、ノートを閉じて表紙を目にして、それは違うと知った。

『レシピノート1』

と書かれた表紙の下の方に、ノートの中の文字と同じ字で

『ひめの はると』

と書かれていた。


「それ、友達がくれたんだ」

いつの間にやら、皿を洗い終えた奈月が隣に立っていて海は少しだけ驚いた。

「すごいだろ?これ全部一人で作ってたんだぜ?オレも何度か食べさせてもらってさ…めちゃくちゃ美味しかったんだよなぁ」

口を挟むべきではないと思った海は何も言わずに奈月に先を促した。

「友達…陽翔はさ、昔から料理好きで…よくお菓子とかも作ってくれててさ…。最後にあった時にこのノートくれたんだ」

最後に、と言ったときの奈月の表情を見て、海は「最後ってなんだ?」と言いかけた口を閉じた。

「部屋戻ろっか」

奈月の言葉に海は何も言わずに、頷き羽を出した。
その奈月の声は、少し震えているように海には思えた。



部屋に戻った海はまた一人、フヨフヨと部屋の中を漂っていた。
奈月は「海が使う布団取ってくるね」と部屋に来てすぐ出ていってしまった。

海は、先程の奈月の様子を思い出し、浮かびながら首をひねった。
奈月の様子を思い出すと、何故か…こう…頭の中がモヤモヤするのだ。
何か言ってやりたいのに、言葉が出ない感覚。それを海は感じていた。
いつもは素直に何でも口に出せるのに…と海は思う。


海には分からない。
それが、『心配』という気持ちである事を。
海には分からない。
それが、自身の『心』の反応だということに。


心の無い海に初めて『心』が呼びかけていることに…海は気づけなかった。


「お待たせー」

と入ってきた奈月に視線を向ける海。
元通りに戻った奈月を見て、海の中のモヤモヤは少しだけなくなった。
それが『ホッとした』という心であることを、やはり海は気づかない。

「これ布団ね。この前洗ったお客様用のだから、フカフカで眠りやすいと思うよ」

そう言いながら、ベッド近くの床に布団を敷いていく。

「あ、あとお風呂の準備もしないと!」

パタパタとまた扉を出ていく奈月を海はただ目で追った。

床に敷かれた布団に海は近づいた。
当たり前だが、悪魔に気を遣う人間なんてそういない。その為、呼び出した悪魔に「寝てる間守れ」と言う奴はいても、「ここで寝て」と寝床を準備する奴は海が関わってきた契約者の中で奈月が初めてである。

「…」

海は布団を上から眺める。
昔から何度も布団やらベッドやらで寝ている人間を見てきた。そして、何故わざわざ移動して布団やらベッドの上でしか寝ないのかと考えることがあった。
寝たいならその場で寝転んで寝りゃいいのに、と。

海は羽をしまう。そして、人間がするように布団の上に横になった。
ふんわりとした綿の感触。
サラリとした布の心地よい肌触り。
鼻孔をくすぐる柔軟剤の柔らかな香り。
そして、身体を包む温もり。
なるほど、これが布団か。
確かにこれは…なかなか…。いや…かなり…。




「海、お風呂いいけど先に…」

扉を開けた奈月の目に入ってきたのは布団の上に横になり、くーくーと寝息をたてる海の姿だった。

とても心地よさそうに寝ている海を見て、音を立てないように奈月は部屋に入り、着替えだけ持ってまた廊下へ出た。


風呂からあがった奈月は、また部屋に入る。
寝返りをうったのか、先ほどとは逆方向を向いている海に微笑む。

「こうして見ると人間にしか見えないなぁ」

そう呟きながら海に近づき、身体にかけ布団をかけてやる。
んー、と軽くうなり声を上げた海に、少し焦った奈月だったが、また寝息を立て始める海にホッとする。

電気を消し、奈月もベッドに横になった。
スマホを操作して、目覚しのタイマーをセットする。きちんとセットできたことを確認して、充電器にスマホをつなぐ。

フーと息を吐き、いつも通り横を向いて寝ようとした奈月の目には気持ちよさそうに眠る海が映る。
同じ部屋で誰かが寝てるなんて何年ぶりのことだろうか、と奈月は思う。
悪魔とはいえ、自分とは違う誰かが同じ部屋にいるという事に奈月はちょっとした安心感を抱いていた。

「おやすみ、海」

小さく呟いた奈月の声に、寝ている海が返事をすることはなかった。

自分も寝よう、と目を閉じた奈月は今にも寝ようとする頭の中で、そういえば…と思う。

まさか本当に悪魔が出てくるなんて考えていなかった奈月は、学校が午前で終わるのをいい事に寄った古本屋で悪魔を呼び出す方法の書かれた本を見つけそのままの勢いで召喚してしまったのだが、今日は水曜日である。
明日も明後日も学校があるのだ。
海をその間どうしよう…。
まぁ、オレ以外の殆どの人には見えないんだからどうにでもなるか…。



奈月は、襲ってくる眠気に身を任せた。
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