Fate〜フェイト〜

紅姫

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水色の章

#3

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「…み」

耳元で声がする。
聞き覚えのある声ではあるが、それは黄緑のものでも緑のものでも青のものでもなく、ましてや黒のものでもない。

「…み!…て!!」

大きな声に耳を塞ぎたい衝動に駆られる。
が、体が重く海は動くことができない。
そして、海はまるで接着剤でくっつけたように張り付いた瞼を開けようとした。

「海!起きて!!」

眩しい光と共に人間の顔が目に飛び込んできて、海は一瞬『何故人間が?』と思ったが、『そういえば召喚されたんだ』と考えが至り、パチパチと何度か瞬きした。

「な、つき…?」

「やっと起きた。このまま寝てたら置いていくところだったよ」

「え?」

海はまたパチパチと瞬きした。



「学校?」

海がご飯を食べながら行儀悪く話す。
奈月はそれを咎めることはせず、ガサゴソとスクールバッグの中に物を詰めていく。

「うん、一緒に行くでしょ?」

「行って…いいのか?」

「その人型?とかにならなきゃオレ以外に見えないんだし、いいんじゃない?」

「そりゃまぁ…そうだけど…」

普通、自分が通っている所に悪魔を連れて行くのは躊躇うものじゃなかろうか…と海は奈月を横目で見ながら考えたが、口には出さなかった。

「それに、海はなんの目的かは分からないけど、外を見て回りたいんでしょ?」

「え?」

「契約の時に『案内を頼みたい』って言ってたじゃない」

「よく覚えてたな」

今までの契約者は悪魔の言ったことなどすぐに忘れるような奴ばかりだった為、海は素直にそう考え言葉を口に出した。

「覚えてるよ、約束だもの」

『こんな奴も人間に居るんだな』となんてこと無いように笑う奈月を見ながら海は思った。







「なぁ、何でそんな格好してるんだ?」

通学路を歩く奈月の近くを飛びながら海は聞いた。

「え?あぁ、コレは制服って言ってね。学校が指定する服なんだよ。これを着てる子はどこそこの学校の生徒だって分かるようにね」

「そんなもんがあるのか」

海は改めて奈月の服を見る。
堅苦しそうな紺色のジャケット。薄青色のワイシャツに暗い赤と濃紺のストライプ柄のネクタイ。グレー地に細い赤いチェックの入ったズボン。

周りを見れば、奈月と同じ服を着た子供やちょっと色や形の違う服を着た子供が歩いている。
皆、少し窮屈そうだ。

「面倒だな、その学校とやらに通うのも」

「ははは、そうかもね。でも今の時代、学校をちゃんと出とかないとまともに働けないからね」

「ふーん」

興味なさげに海は言った。
そして、思い出したように続ける。

「そういや、お前が言ってた特異体質とやらを持った友人もお前と同じ学校にいるのか?」

ピタリ、と奈月の足が止まる。
海も空中で止まり、奈月を見る。

「奈月?」

「…」

奈月は悲しげに、しかし口元に薄く笑みを浮かべて

「いや、学校には居ないよ」

と言った。
その笑みには、まるで質問を受け付けないような雰囲気があり、海は何も言えなくなった。

「あ、見えてきたよ。あれがオレが通う学校」

いつも通りの声音で、前方にある建物を指指す奈月に海は「あぁ…」と声をもらした。




少し錆の目立つ門の間を通り、海は学校を見上げた。
もともとは白かったであろう所々黒ずみのある壁で出来た3階建ての建物。
門と建物の間には広々とした地面が広がり、「何故こんなに距離があるんだ?」と奈月に聞けば「校庭だよ、外で体を動かすときとか使うんだ」とのこと。

そろそろ人も多くなってきたし奈月に話しかけるのは控えねば、と海は考え、その事を奈月に伝えようとした時、海はソレを感じ、足を止めた。

「!」

「どうしたの?」

「いや…なんでもない」

海は首を振り、奈月を追う。

「微弱だったし、勘違いかもしれない…」

奈月に聞こえないように海はつぶやく。
海は感じていた。
黒の器になり得る存在が近くにいる感覚を。
しかし、それは微弱で勘違いの域を出ないものだったが…。

海は奈月の近くに行き、共に学校の中へと入った。



「これが、学校か」

「うん、今向かってるのは教室って言って勉強をする為の部屋だよ。40人くらいの人が1つの部屋で勉強するんだ」

奈月と同じ服装をした男や少し形の違うが色合いの同じ服装をした女たちとすれ違いながら、奈月と海はボソボソと話す。
2階分階段を上り、廊下の端から2番目の扉の前で奈月は立ち止まる。海もそれにあわせて止まった。
『3-2』とプレートが掛かっている。

「ここがオレがいる教室」

「へー」

奈月が閉まっている扉を開けようとした時、後ろから聞こえてきた走る足音。それと共に海はまたソレを強く感じた。が、すぐに感覚が途絶える。

「?」

どうなっているんだ?と海は辺りをキョロキョロと見回した。


「なーつき!」

足音の主は、奈月の背後に近寄り肩に手をまわした。

「うわっ!…なんだ、奏音か。脅かすなよ」

「へへっ、ごめんごめん。おはよう奈月」

「おはよう、奏音」

奈月と奈月の友人と思われる男の会話を聞き流しながら、海は周りにそれらしい人物が居ないかと探るが、先程の感覚はもうやってこない。


「おい、お前ら」


海の少し後ろにスーツ姿の男が立つ。奈月達よりも幾分か年上に見える。

「冬海(ふゆき)ちゃん」

と奈月の友人がヘラヘラと笑いながら呼びかけた。隣の奈月はしまった、というような顔をしている。

「先生をちゃん付けするなと何度言えば分かるんだ?」

グリグリと奈月の友人の頭を手で抑える男。

「イタタタ!暴力反対!!」

「ご、ごめんなさい、藤村先生」

奈月は友人の隣で頭を下げた。

「友人に免じて許す、次は気をつけろよ、奏音」

「なんだよ…従兄弟なんだからいいじゃんか…」

「奏音!」

「だって…」

そんな会話をしている奈月と友人の会話を見て、男が少し寂しげな顔をしているのを海は見た。

「ほら、教室に入るぞ」

そう言った男は、




まるで海を避けるようにして奈月達に近づいた。





「!?」

海は思わず男から距離をとった。
男の目がチラリと海を見た気がした。

普通なら見えない海を避けることなどできない。しかし、この男は確かに避けたのだ。
つまり…

「俺が…見えてる?」

海は考える。
見えているとして、もしもそれが悪魔との契約で見えているのであれば、その悪魔が海の元へ来るはずだ。
上位悪魔であれば顔見知りだし、下級の悪魔であっても、上位悪魔である海を知らないということは絶対に無いからだ。
『警戒しなくていい』と1言言ってくるはずなのだ。
それがない、と言うことは…。コイツが契約を結んでいるのは天使…!

「まずい…」

天使と悪魔は敵対関係にある。
天使達は何かと悪魔を嫌っている節がある。奈月が悪魔と…しかも上位悪魔と契約を結んでいると分かったら…何をされるか分かったものじゃない。

「奈月!」

海は呼びかけて近づこうとする。
しかし、


「ほら、さっさと入れ」

男に背を押されるように奈月と友人は教室とやらに入り、その後に男も続く。
そして、教室に入ろうした海の目の前で、パンッと音を響かせて無情にも扉が閉められた。





あれ?と奈月が思ったのは席に着いてからだった。
奏音と先生と話していてすっかり目を離してしまったが海の姿が無い。
視線を彷徨わせれば、海の姿が廊下側の窓から見えた。つまり、海は廊下に居るのだ。

しまった、扉を閉めたのは藤村先生だったから…タイミングを逃して中に入れなかったんだ…。
どうしよう…。
別に他の人には見えないのだから大丈夫だと思いたいけど…。

チラリと藤村先生を奈月は見る。
藤村先生は話が長い。ホームルームが終わる時間を超して話していることなんてざらだ。それでも、1時限目の先生がやってくれば話をやめてくれるが…今日の1時限目は藤村先生担当の数学である。
チャイムが鳴って、そのまま廊下に出る間もなく授業に入ってしまうだろう。
45分の授業が終わるまで待っててもらう他ないか…。

奈月がまた視線を海に向けると、海も奈月を見ていた。
目が合うと海は口をゆっくり動かしはじめる。
何かを伝えようとしているらしいと分かった奈月はその口元の動きをじっと見つめる。
何度か繰り返してくれたおかげでやっと

『な、か、を、み、て、ま、わ、つ、て、る』

そう海が言っていることを奈月は知ることができた。

中を見てまわってる

分かった、と頷けば、海もまた頷く。
スッと飛び立つ海に軽く手を振れば、困った顔をしながらも海も軽く返してくれた。
それが嬉しく思った。

「立花、何してるんだ」

藤村先生に指摘され、奈月は背筋を伸ばす。

「何でもありません」

チラリと横目で廊下を見た時、海が一瞬止まって藤村先生を見ていた気がした。
そして、まるで視線を感じたように、藤村先生も視線を一度廊下に向けた気がした。





奈月と別れた海は廊下を飛び進んでいた。
一瞬だが確かに、強く感じた黒の器の存在。
この学校の中に居るのは間違いないはずだ。

それに…あの男と契約を結んでいるであろう天使が近くにいるかもしれない。
まぁ…普通、連れてこないと思うが…。

「本当は教室とやらに入りたいんだがなぁ」

と海は呟く。
さっきから通り過ぎた教室は全て扉が閉まっていて中に入る事はできない。
1階に降りてきてみたが状況は同じだった。

「ん?」

1箇所だけ扉が開いていた。
1階の端の部屋だ。他の部屋よりも少しだけ扉が広い。

中に入ってみると、なんとも言えない香りがした。

焦げ茶色の大きく長い棚のようなものが並び、その中には本が並んでいる。
棚と棚の間を飛び回る。
よく分からない本もあるが、時折、『魔族』とか『天使』『悪魔』などと書かれた本も混じっている。
多分、昔、悪魔や天使の召喚が多々行われていた時のことを書籍化したものだろう。

人間達の間ではどんな風に伝承されてきたのか、少し気になるな…。

周りを見るが人は居ない。授業とやらをやっているのだから当たり前だが。
少しくらいならいいか。
海は羽をしまった。
そして、目についた本に手を伸ばしたとき

「おやおや、」

しわがれた声がした。

「授業を受けずに図書室に来るなんて…変わり者が居るものだねぇ」

振り向けば白髪頭の老人がいて、海はビクリと肩を震わせた。




本当は図書室は飲食禁止だから内緒だぞ、と言いながら老人は海の目の前に湯気の立つカップを置いた。

海が連れて来られたのは、図書室の奥にある司書教諭が使う部屋。司書教諭の老人は『司書室』とそこを呼んでいた。その部屋の扉は蝶番がギイギイと音を立てている上に、立て付けが悪いのかどんなにはめ込もうとしても扉がはまりきらず半開きになっていた。

「生徒だと思ったが…制服を着てないところを見るに、勝手に学校に忍び込んできた不良児君かな?」

老人はクスクスと笑いながら言う。

「安心しなさい。通報なんてしないから」

「なぜ?」

「君が悪い子には見えないからさ。教諭歴は長いが金髪にカラーコンタクトを使ってる子を見て悪い子には見えない何て思うのは初めてだ」

「…」

海は老人の言葉を上手く理解できなかったが、とりあえず頷いておいた。通報なんてされたら大変なことになる。そう考えたからだ。

「君、名前は?」

「…海」

「海くんか。いい名前だな。わたしは和嶋。和嶋沖嗣(おきつぐ)。よろしく」

「よろしく…」

沖嗣と名乗った老人はまた可笑しそうに笑う。

「そんなに警戒しなくてもいいと言っとるだろ?」

警戒しなくてもいいと言われても、そう簡単に警戒を解くことは海にはできなかった。
その様子にやれやれと言うように肩を動かした沖嗣は、話題を変える。

「一体何を調べに来たんだい?」

「…」

「さっきは歴史書を手に取ろうとしていたね。召喚の儀式に興味でもあるのかい?」

「まぁ…そんな所だ」

沖嗣は、はぁと大きくため息をつく。

「いつの時代にも召喚の儀式に興味を抱いてしまう若者は居るものだねぇ」

若者、と言っても海は悪魔である為、沖嗣よりもかなり歳上である。
そのことを指摘するとかなり面倒なので海は黙って沖嗣の言葉を聞く。

「海くんは悪魔や天使の存在をどう思う。本当にいると思うかい?」

「そりゃいるだろ」

なんたって、自分自身が悪魔であると自覚している。と海は頭の中だけで言葉を続けた。

「ほう。今も存在を信じている若者がまだ残っているとはね。じゃあ、召喚の儀式に興味があるのは悪魔を呼び出したいからかい?」

「…そうだと言ったら?」

沖嗣は目をスッと細める。

「やめなさい、そんな事は。後々後悔することになる」

「…」

その様子で海は確信した。

「あんた、昔試したことがあるね?」

「!」

「そして、失敗した」

「…」

沖嗣は何も言わずにうつむいた。

海は最初に沖嗣に会ったときから、コイツには何かあると思っていた。
なぜなら、沖嗣から微力ながら魔力の漏れを感じ取ったからだ。
だからこそ、初めて沖嗣を目にしたときビクリと肩を震わせたのだ。

『魔力漏れ』を起こしている人間が現れるパターンは2つ。
1つは悪魔もしくは天使と契約した際に、人間が持つにふさわしくない力を望んだ場合。強い力を与えるとなるとその媒体が必要になってしまう。その媒体となり得るのが魔力である。その場合、どうしても魔力漏れはどうしても避けられない事態になる。

もう1つが沖嗣が該当する悪魔もしくは天使の召喚に失敗した場合である。
そもそも、どうやって人間界に悪魔や天使を呼び出すことができるか。それが関係してくる。
人間は自身の持つ魔力を魔法陣経由で放出することで魔界、もしくは天界と人間界に橋をかけるのだ。そして、悪魔や天使が人間界に降り立つことで橋は無くなり、放出した魔力も人間の中に戻るのだ。
失敗する原因は多々あるが、多少でも魔力を持つ者が召喚の儀式に失敗した場合、不完全な状態で魔力を放出した事になる。失敗しているのだから悪魔や天使は出てこない。当たり前だが魔力も人間の中に戻ることもない。そうして、不完全に放出された魔力は垂れ流しの状態になる。

「一体、何を失った?」

海が聞けば沖嗣の肩がビクリと震えた。

普通、魔力は人間の体内に留まっており外に出ることなんて無い。
しかし、それが外に出てしまい、その魔力に触れてしまえば…当たり前だが影響が出る。
自身に出ることもあるし、近くにいる他者に影響が出ることもある。

沖嗣は顔を上げ、スッと目を細めた。
そこで海は気づく。
沖嗣の右目。左目の色と極々似ているが、若干色が薄く何より瞳孔に動きがない。
沖嗣の右目は義眼だった。


「海くんは…一体何者だい?」


力なく尋ねる沖嗣。
海は先程の沖嗣のようにスッと目を細め、

「なんだと思う?」

そう言いながら、背中から羽を出し、浮遊した。


「!?」


もう沖嗣の目には海は見えていない。
キョロキョロと辺りを見る沖嗣の姿を海は上から見ていた。

「どこに行ったんだ?海くん?海くん?」

自身を呼びウロウロとする沖嗣の姿。
海は、これ以上この場にいても意味がない、と考え司書室の扉に近づき、半開きの扉に身を滑り込ませる。
司書室を出る直前海がチラリと沖嗣を見ると、沖嗣は椅子に座り、先程まで海が座っていた椅子を呆然と見つめていた。





図書室を出て、またウロウロと校舎の中を浮遊する。図書室以外に開いている扉はなかった為、中には入れないが窓から教室の中を覗いたり、窓の外を見たりすると退屈な気はしなかった。

海が窓の外を見た時、またアレが見えた。
そびえ立つ壁である。

「何なんだろうな、あの壁」

海の呟きは誰にも聞こえることは無かった。

キーンコーンカーンコーン

と大きな鐘の音がなったのは海が呟いたすぐ後だった。
そういえば、今、何時だ?と海は近くの部屋を覗き込み時計を見る。
短い針が12と1の間にあった。
ブラブラ浮遊し、図書室で雑談していただけなのに思いの外、時間が経っていたようだ。

奈月はどうしただろう。

海は奈月が居るであろう教室に向かって飛んだ。



3-2とプレートに書かれた教室の扉は開け放たれていた。海が来たときから、ひっきりなしに人間が出入りしている。
一応海はチラリと中を覗き込む。あの男がいない事を確かめるためだ。見れば、制服とやらを着た生徒しか教室には居ない。
ふうっと息を吐き、教室の中に海は入った。
するとまた微弱に黒の器の存在を感じた。
本当に微弱。しかし、確かに…。この感覚は一体何なのだろう。海は首をひねった。
少し疑問に思うものの考えたところで答えなどでないと結論づけた海は朝、窓から見た奈月が座っていた席に近づく。

「あれ?」

しかし、そこには奈月の姿はなく代わりに奈月が朝、会話していた友人…奏音とかいう奴がムスッとした顔で四角い箱に入っているご飯を箸で突っついていた。

「奈月は?」

海は教室を見渡すが奈月の姿がない。
どこへ行った?まさか…天使のやつに連れて行かれた…!?

「奈月!」

焦った声を出す海。しかし、奈月からの返事はない。
混乱した海の頭はどんどん悪い方に悪い方に考えを進めてしまう。

「落ち着け、俺」

大きく息をつく海。

「俺の名前は…海…。大丈夫、まだ奈月は生きてる」

奈月が天使に殺された場合、強制的に悪魔との契約は取り消される。そうなれば、奈月が付けてくれた名前など海は忘れてしまうのだ。だが、今、海は確かに自身が『海』である事を自覚している。『大丈夫、奈月は無事だ』海はそう、頭で何度も繰り返した。ドクドクと脈打っていた心臓が段々と落ち着いてくる。

「奈月を探さないとな…」

しかし、手がかりがない。海は腕を組んで首をひねった。いずれ、奈月はココに戻ってくる気もするが黙って待ってるなど海にはできそうもなかった。何故か待っていようと考えると心臓がドクドクと脈打つのだ。


「あれ?奏音、一人飯?」

海が首をひねっていれば、奏音に近寄り声をかける男が一人。

「奈月は?いつも一緒に食べてるじゃん?」

「奈月の居場所はコッチが聞きたいくらいだよ。てか、今日なんか奈月の様子が変なんだよな…。授業終わった後の10分休憩の度に教室出ていっては授業が始まる直前に困った顔して戻ってきて…昼休みも始まると同時に教室飛び出してくし…何があったんだか…」

奈月もどうやら自分を探してくれているようだ。と奏音の言葉を聞いて海は考えた。
なら…そろそろ…。


『…海?どこ行ったの?』


聞こえた。
海は羽を羽ばたかせた。
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