自己顕示欲の強い妹にプロデュースされる事になりました

白石マサル

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第七章~ヒメゴト~

面接

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 キャンプから帰ると、早速柚希から

〈ちゃんと話を聞かせてね〉

 というLINEが送られてきた。

 夜11時、いつもの様に柚希の部屋を訪れる。
 部屋に入り、適当に座った所で柚希が

「新島先輩と水瀬先輩どっちを選んだの?」

 と、いきなり本題に切り込んできた。

「いきなりだな、キャンプは楽しかった? とか聞かないのか?」
「そんなの全然興味ないもん! ほら! どっち選んだの?」

 あくまで俺の恋愛にしか興味ないようだ。

 俺は出来るだけ正確に話した。
 その時の俺の心情や、楓と水瀬のスタンスについても分かりやすく伝える。
 
 俺の話を聞いた柚希は

「恋愛に関してはヘタレは直ってないんだね。やってること最低だよ? 普通ならドン引き」

 と直球で言われてしまった。
 でも、こればっかりは反論できない。
 楓と南が寛容だから許された選択だしな。

「でも、そのおかげか二人もキープが出来たのはよかったかな」

 今なんて言った?
 キープ出来たのは良かったっていったのか?
 俺がどれだけ悩んで出した答えだと思ってるんだ!

「俺はキープなんて思ってないし、どっちも本気で好きなんだよ!」

 柚希は「はぁ」とため息を吐いた後

「お兄ちゃん、世間一般で今の状態はキープしてるって思われて当然だからね?」
「え? でも、本気で好きだし」
「でもどちらとも付き合わないんでしょ? それで二人はお兄ちゃんの事が好き。立派なキープだよ」

 なんてことだ。前に柚希がキープ作れと言って猛反対したのに自分からキープを作っていたとは。
 俺はなんて最低なんだ!

 でも、今すぐ二人には決められないし、どうすればいいんだろう。
 と悩んでいると、柚希からとんでもない言葉が飛び出した。

「いっそのことハーレム作っちゃおうよ! お兄ちゃんの事好きな女の子でいっぱいにしよう!」

 二度目の衝撃に心臓が一瞬跳ね上がった。
 そんな事考えたこともない。
 そんな異質なことを平然と言いのける妹が少し怖く感じた。

「何を言ってんだ? 漫画やアニメじゃあるまいしそんな事出来る訳ないだろ」
「でも現に今二人いるじゃん。この調子でもっと増やそうよ!」
「馬鹿いうな。俺は楓と南だから選べないんだ。他の女子ならキチンと断るさ」

 そうだよ。今回は楓と南で、同じ位好きだから選べないんだ。
 だから他の女子に言い寄られてもキッパリと断れる。

「でもお兄ちゃんチョロイからな~。それに恋愛経験値低いから説得力がないよ~」
「うるせ。俺はちゃんとどちらか選ぶ!」

 俺の反論も柚希は「はいはい」と言って受け流す。
 いつかギャフンッと言わせてやる!

 こうして今日の報告会議は終了した。


 キャンプから帰って来て二日後、俺は学校の最寄り駅にいた。
 何故かというと、近くのファミレスでバイトする為に面接があるからだ。

 人生初のアルバイトの面接にかなり緊張している。
 一体何を聞かれるのだろう? 

 ネットで色々調べたらアルバイトに志望した動機等聞かれるらしい。
 遊ぶ金欲しさなんだけど、ここは「社会経験がしたい」と答えておけばいいと書いてあった。

 ネットの情報を鵜呑みにするのは良く無いが、参考にさせてもらおう。
 そんな事を考えていたら店に到着してしまった。

 店に入り、カウンターの女性に話しかける。

「すみません、アルバイトの面接に来た佐藤なんですけど……」
「あ、はい。それではこちらで少々お待ちいただけますか? 責任者呼んできますので」

 他のお客さんの邪魔にならない様に、カウンターの端っこで待つ。
 程なくしてさっきの女性が上司らしい美人の女性を連れて戻ってきた。
 そして、上司とおぼしき女性が挨拶をしてくる。

「初めまして、店長の間嶋ましまです。本日は御足労ありがとうございます」

 といってお辞儀をする。
 流石店長ともなると言葉遣いや立ち振る舞いがキチンとしている。
 慌てて俺も自己紹介しようとすると

「ここでは他のきゃ……お客様の邪魔になってしまうのでお話は事務所でお聞きしますね」

 と言い、「着いてきてください」と言って事務所らしき場所に移動する。

 事務所に入り、適当に座る様に言われたが何処に座るのが正解なのだろう。
 事務所には長テーブルとパソコンが置いてある机があり、長テーブルの真ん中の椅子に座った。

 すると店長の間嶋さんは俺の対面にドカッと座り、手を差し出してきた。
 なんだこの手は? 握手だろうか?
 と考えていると

「履歴書、寄越せ」

 と言われ慌てて履歴書を渡す。
 店長は一通り履歴書を見た後、質問してくる。

「どうしてウチで働こうと思った?」
「学校から近く、社会経験になると思ったからです」

 ネットでみた回答をそのまま言うと、店長が睨む様にこちらを見つめ

「そんなテンプレートはどうでもいい。本当の所はどうなんだ?」

 と言ってきたので素直に

「遊ぶのにもお金が必要なので応募しました」
「最初からそう言えばいいんだよ」
「す、すみません」

 俺が平謝りしていると

「それじゃ採用な。友也にはホールをやって貰うからそのつもりで」

 え? 今採用って言った?

「えっと、自分で言うのも何ですが、こんなに直ぐに採用でいいんですか?」
「ああ、人手が足りないからな。それにイケメンは即採用だ」
「ありがとうございます?」
「イケメンだから採用はおかしいと思っただろ?」
「正直に言えばそうですね」
「ホールっていうのは言わば店の顔だ。顔で選んで何が悪い?」
「言われてみれば……」
「だから採用だ。いつから出勤出来る?」
「明日からでも大丈夫です!」
「なら明日の13時から出勤な。色々説明とかあるから30分前に来てくれ」
「分かりました」

 こうして面接が終わり「もう帰っていいぞ」と言われたので席を立つと

「言い忘れたが私の事は店長ではなく真弓まゆみと呼べ」
「それは堅苦しいからとかですか?」
「イケメンに名前で呼ばれたいだけだが?」

 なんなんだこの人は? 
 それに一番最初の印象と言葉遣いが全然違う。

「友也からは何か質問はあるか?」
「言葉遣いとか最初の印象と全然違うんですけど、やっぱり営業スマイルみたいな感じだったんですか?」
「人間誰しも表と裏がある。見た事をそのまま真に受けるな。年上からの忠告だ」

 そう言ってタバコを吸い出した。
 この人の場合、表裏以前の問題だと思う。
 俺は「分かりました」と言って、今度こそ事務所を出る。

 店から出てインパクトの強い人だったなーと考えていると、スマホが鳴った。
 画面を見ると水樹からの着信だったので通話をタップする。

「もしもし」
「お! やっと出た。これから時間あるか?」
「特に用はないけど」
「それじゃちょっと俺に付き合ってくれないか?」
「おう。買い物でもいくのか?」
「いや、メンバーが足りなくてな」
「メンバー?」
「これから合コンなんだよ」
「はぁ? まさかそれに俺が参加するのか?」
「頼むって。いつもの集合場所で待ってるぞ」

 と一方的に言われ、通話が切れてしまった。
 かけ直しても出ないので仕方なくターミナル駅に向かう。

 楓と南の事は話したのに俺を合コンに誘うなんて何考えてんだ。
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