自己顕示欲の強い妹にプロデュースされる事になりました

白石マサル

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第七章~ヒメゴト~

初出勤

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 初めて合コンに行った事を柚希に伝えると、何故か凄い喜んだ。

「これからもドンドン行こう! お兄ちゃんはもっと女に慣れないとダメだからね」

 と言っていたが、正直合コンはもう行きたくない。
 あのノリには着いていけない。

 でも、沙月とアニメの話をしたのは楽しかったな。
 テンション上がってLINE交換しちゃったけど、きっと向こうもノリで交換したに違いない。

 合コンの最後に他の二人とも交換したけど、それが合コンのルール的な物なのかも。
 社交辞令みたいな物だな。


 今日はアルバイト初日だ。
 30分前には来てくれと言われていたので、余裕を持って40分前に到着する。
 昨日教えて貰った従業員専用出入り口から入り、事務所のドアをノックして中に入る。

「友也君じゃないか、早いな」

 と店長の間嶋真弓ましままゆみさんが言う。
 店長の事は真弓と呼んでくれと言われてたっけ。

「いつも10分前行動なんですよ」
「そうか、若いのに偉いじゃないか。とりあえず座って待っててくれ」

 と言って店長は事務所から出て行ってしまった。
 言われた通り適当な席に座る。

 事務所の中を見てみると、壁には色々な書類やホワイトボードがある。
 キョロキョロと事務所を観察していると、店長が戻ってきた。

「これが制服だ。更衣室はそこにあるから取りあえず着替えてくれ」

 と言われ、更衣室で制服に着替えようとしたが、どのロッカーを使っていいか分からない。
 事務所に戻り聞いてみる。

「すみません店長、ロッカーはどれを使えばいいですか?」
「名札を付けるのを忘れていた。空いてるロッカーを使ってくれ」
「分かりました」

 と言って更衣室に戻ろうとすると呼び止められ

「私の事は名前で呼ぶように」

 とだけ言われた。
 店長と呼ばれるのがキライなのだろうか。

 着替えを済ませ事務所に戻ると

「似合ってるじゃないか」

 と褒められた。
 
「この書類をよく読んでサインしてくれ。その後に仕事の説明をする」

 渡された書類に目を通す。
 雇用契約書や誓約書がある。

 誓約書には業務内容等をSNSに投稿しない事等が書かれていた。
 近年アルバイトがSNSに悪ふざけの画像や動画を投稿して炎上したりしてるからな。

 書類にサインをして店長に渡す。
 
「ウチはシフト制になってるから出られる曜日と時間を書いてくれ」

 と言ってシフト表と書かれた紙を渡された。
 そこには店長を始め、従業員らしき名前が書かれていた。

 こうみると結構従業員がいるように見えるな。
 他の人の様に書けばいいのだろうか?

 店長に書き方を聞こうとした時、ドアがノックされ誰かが入ってきた。
 入って来た人物を見て驚いた!

「おはようございま~す」
「やっと来たか。沙月、今日から新人が入るから面倒みてやってくれ」
「え~、私がですか~?」

 と言いながらその人物は俺を見る。
 バッチリ目が合った。
 だが

桐谷沙月きりやさつきです」

 つられて俺も

「はじめまして、佐藤友也です」

 と初対面を演じてしまった。
 沙月もはじめましてと言ったし、ここは合わせておこう。

 俺達の自己紹介が終わると、店長が沙月に

「友也君は2年生だがここでは沙月が先輩だからしっかりやれよ」

 と言うと、さっきまで面倒を見るのが嫌そうだった沙月が

「分かりました! としてキチンと教育しますね」

 と何故かやる気を出していた。
 そして店長は俺に向かって

「今日は初日だから全体の流れを覚えてくれればいい。分からない事があったら沙月に聞いてくれ」

 と言って事務所から出ていってしまった。
 沙月と二人きりになる。
 どう接するか迷っていると

「友也さんってストーカーだったりします?」
「そんな訳ないだろ」
「ですよね! 昨日の今日だったんでビックリしました」
「俺もビックリしたよ。はじめましてって言うから他人の空似かと思った」
「ごめんなさい! 合コンの事は知られたくなかったので……」
「確かに合コンで知り合いましたって言いづらいね」

 なるほど、そういう事だったのか。
 でもまさか沙月が一緒のバイトだったとは。

「バイトでは私が先輩なので何でも聞いてくださいね」

 と言って胸を張っている。
 なので早速

「シフト表の書き方教えてください」


 18時になり、今日のバイトが終わった。 
 今日は仕事の流れを覚えるだけだったので殆ど笑顔で立っているだけだった。
 お客さんが少ない時は沙月と話したりもしたが、こんなに長い間立ってるのは初めてなので足が痛い。

「おつかれさまです~」
「おつかれさまです。って言っても俺は何もしてないけどね」
「そんな事ないですよ~、お客さんから友也さんの事結構聞かれましたもん」
「え? 俺どこかミスってた?」
「そうじゃなくて、カッコイイとか色々言われてましたよ~」

 と言いながら脇腹をツンツンしてくる。
 そして

「折角なので一緒に帰りましょう!」
 
 
 こうして初めてのバイト初日が終わった。
 沙月には驚いたが、知ってる人が居るというのはとても心強かった。
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