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第七章~ヒメゴト~
変貌
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沙月の顔がどんどん近づいてくる。
女の子特有の甘い匂いが鼻孔を通り脳を刺激する。
もう吐息が掛かる距離まで近づいてきている。
沙月のプルッとした唇が開き
「友也さん……付き合ってください」
熱を帯びたその言葉で我に返る。
雰囲気に流されちゃダメだ!
「沙月! やめろ!」
沙月の両肩を掴み突き放す。
しかし、突き放した事ではだけたブラウスから覗く程良い大きさの胸が露わになる。
「あん、友也さんのえっち……」
「わ、わざとじゃないんだ! 早くどけてくれ!」
沙月ははだけた胸を隠そうともせずに
「なら答えてください、私と付き合ってくれますか?」
潤んだ瞳に熱の籠った視線。
つい見惚れてしまいそうになるが
「ごめん、沙月とは付き合えない」
「どうしてもですか?」
「……ああ」
俺の返事を聞き、俯く。
めぐの時に感じた痛みをまた感じている。
だけど、この痛みから逃げる訳にはいかない。
しばらく俯いていた沙月はおもむろに空を見上げ「はぁ~っ」と息を吐いた後
「此処までして落ちないなんて初めてですよ」
と言いながら俺の上から降りる。
続けてブラウスのボタンを留めながら
「やっぱり友也さんは今までの男達とは違いますね」
と言う。
言っている意味が分からない。
「どういう事だ?」
俺の問に沙月は薄い笑みを浮かべながら
「私って、男を自分の虜にするのが快感だったんですよね。それで色々な手を使って男達を落としてきました。皆私をお姫様みたいに扱ってくれるんですよ」
それでバイトの先輩から聞いた噂が流れたのか。
「それじゃあ今まで俺を落とす為に色々やってきたって事か」
「まぁ、そうですね。でもそれは最初だけです」
「それはどういう意味だ?」
「今までは沢山の男を私の虜にする事が快感だったんです。だけど友也さんは違うんですよね。私自身が誰かの物になりたいと思ったんです。そう思えたのは友也さんが初めてです」
そこまで一気に言うと、一呼吸置いて
「だから私を友也さんの物にしてください」
これは今まで遊びで付き合ってきたけど、俺は遊びじゃなく本気になったという事か。
友華さんとは違った、これは沙月の初恋なのだろう。
だからこそ真剣に答えなくてはならない。
「ごめん、やっぱり沙月とは付き合えない。」
そう言って、沙月から貰ったネックレスを沙月に手渡す。
「やっぱり無理だったかー。そんなに新島さんと水瀬さんが良いんですか?」
「なっ!? どうしてその事しってるんだ?」
「実は柚希ちゃんから大まかな事は聞いてたんですよ」
なんてこった。
柚希の口はどれだけ軽いんだ。
「でも友也さんもそんな事で悩む必要無いのに」
「そんな事だと?」
「そうですよ。二人が好きなら二人と付き合えばいいじゃないですか」
「そんな事出来る訳ないだろ! 二人に対して不誠実過ぎる!」
「でも~、二人の気持ちを知りながらそれに答えないのも不誠実だと思いませんか~?」
それを言われると何も言い返せない。
楓と南に対しては完全に俺の我儘だ。
「聞いたんですけど、柚希ちゃんの計画ではハーレムっていうか、友也さんの事を好きな女子で囲いたいみたいなんですよね」
「アイツまだそんな事企んでたのか」
「だから私はその中の一番になろうと思うんです」
そう言って勢いよく俺に抱き付いてきた。
「一回振られた位じゃ諦めませんよ」
そう耳元で囁くと
「それに、このネックレスは私からの首輪の代わりです。勝手に外すなんて許しません」
「っ! いつの間に」
先ほど沙月に返したネックレスがいつの間にか付けられていた。
沙月は俺から離れ、満面の笑みで
「諦めませんからね、覚悟しといてください!」
と言って走っていってしまった。
残された俺は、ネックレスを触りながら
「はぁ、とんでもない子に好かれたな」
と、独り言ちて帰路に就いた。
その日の会議で柚希を問い詰めると
「色んな女の子に囲まれてる方がイケてるじゃん!」
と柚希は言い切った。
「あのな、そんな事が許されるのはマンガやアニメの中だけだって言わなかったか?」
「でも私の勘だとイケると思うんだよな~」
「勘で俺の学校生活を無茶苦茶にする気か?」
折角努力して此処までやってきたのに柚希の勘で壊されたんじゃ堪らない。
そう考えていると
「はぁ~、私がそんな事になるようなことさせる訳ないでしょ?」
「でも現に沙月に色々吹き込んでるだろ?」
「それは沙月ちゃんが私と同じような考えを持ってたからだよ」
「沙月が?」
「付き合えなくても傍に居たいって言ってたしね。多分新島先輩や水瀬先輩もそうなんじゃないかな?」
「沙月はともかく、楓と南は違うと思うぞ」
「その辺は私の勘だからね~」
「あっそ。だけど楓と南にはちゃんと答えは出すからな!」
こうして会議は終了した。
部屋に戻るとスマホの着信音が鳴った。
表示画面をみると
桐谷友華
と表示されていた。
俺は慌てて通話をタップする。
「もしもし」
「あ、もしもし友華です。夜分遅くにごめんなさい」
「大丈夫ですよ、どうしたんですか?」
「あの、急で申し訳ないのですが、明日会えませんか?」
「明日ですか?」
「あ! 宿題とか残ってたりしますか? でしたら別の日でも構いません」
「いえ、宿題はもう終わってるので問題ないです。いいですよ、明日会いましょう」
「ありがとうございます。そうしたら……」
友華さんとの通話を終え、考える。
友華さんの初恋にもケジメをつけないとな。
俺は二人を変える事はできたのだろうか?
そんな事を考えながら眠りに就いた。
女の子特有の甘い匂いが鼻孔を通り脳を刺激する。
もう吐息が掛かる距離まで近づいてきている。
沙月のプルッとした唇が開き
「友也さん……付き合ってください」
熱を帯びたその言葉で我に返る。
雰囲気に流されちゃダメだ!
「沙月! やめろ!」
沙月の両肩を掴み突き放す。
しかし、突き放した事ではだけたブラウスから覗く程良い大きさの胸が露わになる。
「あん、友也さんのえっち……」
「わ、わざとじゃないんだ! 早くどけてくれ!」
沙月ははだけた胸を隠そうともせずに
「なら答えてください、私と付き合ってくれますか?」
潤んだ瞳に熱の籠った視線。
つい見惚れてしまいそうになるが
「ごめん、沙月とは付き合えない」
「どうしてもですか?」
「……ああ」
俺の返事を聞き、俯く。
めぐの時に感じた痛みをまた感じている。
だけど、この痛みから逃げる訳にはいかない。
しばらく俯いていた沙月はおもむろに空を見上げ「はぁ~っ」と息を吐いた後
「此処までして落ちないなんて初めてですよ」
と言いながら俺の上から降りる。
続けてブラウスのボタンを留めながら
「やっぱり友也さんは今までの男達とは違いますね」
と言う。
言っている意味が分からない。
「どういう事だ?」
俺の問に沙月は薄い笑みを浮かべながら
「私って、男を自分の虜にするのが快感だったんですよね。それで色々な手を使って男達を落としてきました。皆私をお姫様みたいに扱ってくれるんですよ」
それでバイトの先輩から聞いた噂が流れたのか。
「それじゃあ今まで俺を落とす為に色々やってきたって事か」
「まぁ、そうですね。でもそれは最初だけです」
「それはどういう意味だ?」
「今までは沢山の男を私の虜にする事が快感だったんです。だけど友也さんは違うんですよね。私自身が誰かの物になりたいと思ったんです。そう思えたのは友也さんが初めてです」
そこまで一気に言うと、一呼吸置いて
「だから私を友也さんの物にしてください」
これは今まで遊びで付き合ってきたけど、俺は遊びじゃなく本気になったという事か。
友華さんとは違った、これは沙月の初恋なのだろう。
だからこそ真剣に答えなくてはならない。
「ごめん、やっぱり沙月とは付き合えない。」
そう言って、沙月から貰ったネックレスを沙月に手渡す。
「やっぱり無理だったかー。そんなに新島さんと水瀬さんが良いんですか?」
「なっ!? どうしてその事しってるんだ?」
「実は柚希ちゃんから大まかな事は聞いてたんですよ」
なんてこった。
柚希の口はどれだけ軽いんだ。
「でも友也さんもそんな事で悩む必要無いのに」
「そんな事だと?」
「そうですよ。二人が好きなら二人と付き合えばいいじゃないですか」
「そんな事出来る訳ないだろ! 二人に対して不誠実過ぎる!」
「でも~、二人の気持ちを知りながらそれに答えないのも不誠実だと思いませんか~?」
それを言われると何も言い返せない。
楓と南に対しては完全に俺の我儘だ。
「聞いたんですけど、柚希ちゃんの計画ではハーレムっていうか、友也さんの事を好きな女子で囲いたいみたいなんですよね」
「アイツまだそんな事企んでたのか」
「だから私はその中の一番になろうと思うんです」
そう言って勢いよく俺に抱き付いてきた。
「一回振られた位じゃ諦めませんよ」
そう耳元で囁くと
「それに、このネックレスは私からの首輪の代わりです。勝手に外すなんて許しません」
「っ! いつの間に」
先ほど沙月に返したネックレスがいつの間にか付けられていた。
沙月は俺から離れ、満面の笑みで
「諦めませんからね、覚悟しといてください!」
と言って走っていってしまった。
残された俺は、ネックレスを触りながら
「はぁ、とんでもない子に好かれたな」
と、独り言ちて帰路に就いた。
その日の会議で柚希を問い詰めると
「色んな女の子に囲まれてる方がイケてるじゃん!」
と柚希は言い切った。
「あのな、そんな事が許されるのはマンガやアニメの中だけだって言わなかったか?」
「でも私の勘だとイケると思うんだよな~」
「勘で俺の学校生活を無茶苦茶にする気か?」
折角努力して此処までやってきたのに柚希の勘で壊されたんじゃ堪らない。
そう考えていると
「はぁ~、私がそんな事になるようなことさせる訳ないでしょ?」
「でも現に沙月に色々吹き込んでるだろ?」
「それは沙月ちゃんが私と同じような考えを持ってたからだよ」
「沙月が?」
「付き合えなくても傍に居たいって言ってたしね。多分新島先輩や水瀬先輩もそうなんじゃないかな?」
「沙月はともかく、楓と南は違うと思うぞ」
「その辺は私の勘だからね~」
「あっそ。だけど楓と南にはちゃんと答えは出すからな!」
こうして会議は終了した。
部屋に戻るとスマホの着信音が鳴った。
表示画面をみると
桐谷友華
と表示されていた。
俺は慌てて通話をタップする。
「もしもし」
「あ、もしもし友華です。夜分遅くにごめんなさい」
「大丈夫ですよ、どうしたんですか?」
「あの、急で申し訳ないのですが、明日会えませんか?」
「明日ですか?」
「あ! 宿題とか残ってたりしますか? でしたら別の日でも構いません」
「いえ、宿題はもう終わってるので問題ないです。いいですよ、明日会いましょう」
「ありがとうございます。そうしたら……」
友華さんとの通話を終え、考える。
友華さんの初恋にもケジメをつけないとな。
俺は二人を変える事はできたのだろうか?
そんな事を考えながら眠りに就いた。
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※この作品は『カクヨム』『小説家になろう』『アルファポリス』に掲載しております※
※ななよ廻る文庫(個人電子書籍出版)にて第1巻発売中!※
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