勘違い聖女とドS鬼畜王の攻防 

南 玲子

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義母 ボルニカ皇后との攻防

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ブレダ王国との戦争は3大守護精霊のお陰で完全勝利するだろうと予測されていたので、王国は戦争に備えて兵を集めていたのを中止して、代わりに国王陛下の結婚式をすることになった。

ということで私は第9代目ボッシュ王国のデューク国王陛下との結婚を1週間後に控えていた。

どーしてこうなったんだか見当も付かない!私の超・侍女への夢はどうなるというのだ!?隣に座るドSデューク王を睨みつける。

私は今、王城の西棟にあるデューク王のご生母、つまり皇后様のティールームで表向きは親交を深めるお茶会なのだが、実際は嫁いびりであるお茶会にデューク王と出席している。

全面ガラス張りのティールームは青色と金色で上品に装飾されていて、東京ヒラトンホテルのラウンジですら裸足で逃げ出すくらいに、格が違うのが庶民の私でも分かる。

なんていっても金ですよ!!ゴールド!!の使われている量が半端無い!あちこちにブロック程もあろう大きさの金の塊が、天使やら花やらの彫像に姿を変えて鎮座しているのだ。ケーキの上にのっている小さな金箔を、ゆっくり味わうように舐めていた超・庶民の私には驚きで暫くの間、口を閉じるのを忘れていたくらいだ。

そのような絢爛豪華・・・成金趣味・・・拝金主義・・・のお部屋の中の丸テーブルに座っているのは、いうまでもないドS鬼畜デューク王と私ユリカ、その皇后のボルニカ様、そのとりまきのおば様方他3名だった。勿論私のペットの、日本黒犬、日本虹鳥、日本黒鱗鷲、も私の傍で様子を見守っている。

あのドS・鬼畜・悪魔・腹黒王を産んだお母さんってどんな奴だと、興味津々でボルニカ様にお会いした私は言葉を失った。

ボルニカ様は・・・なんというか・・・勿論、眉目秀麗なデューク王の母親だけあって、顔は美人だった。だったのだが、いかんせんその体に付いた脂肪が半端なくその存在を主張していた。

簡潔に言うと、デブだった!!しかも服の趣味がいただけない。デブならデブを主張しない服というものがあるだろう。なのに何故黄色のオーガンジーの薄い生地に、フリルをこれでもかと使ってあるドレスをお召しになっているのか!

しかもそのフリルの量が超絶すごいのでフリルで顔が半分隠れている。こりゃフリルの化け物だよ!!しかもとりまきおば様方も、同じような体型で同じような服をお召しになっている。ブルーのフリルとグリーンのフリル、ピンクのフリルしか見えないんだけど、誰か止めてやれよ!!

その黄色のフリルが口を開いた。

「貴方が性を売る方の性女のユリカね」

うわぁ。これはわかってていっているのか?!

「はい。性を売らないほうの聖女のユリカです」

私はいつぞやの、ぶすくれドM嬢対決のときと同じ作戦を取る事にした。

「デュークにはどれほど高い値で売ったのかしら・・・うちの子は奥手でこの年になるまで恋人すらいたことがなかったのに性女を買っちゃうなんて、育て方を間違っていたのかしらね」

そこで大きく黄色のフリルが溜息をつく。するととりまきのフリル集団も同じように溜息をついた。いやお宅の坊ちゃん恋人いましたから。それも1ヶ月のうちに100人もいましたから。育て方を間違ったって所は大いに同意しますけどね・・・っていうかどうやって育てたらあんなドS・鬼畜・悪魔・腹黒王になるのかこっちが聞きたいわ!!

「恋人は100人ほどいたようですよ、推定未来のお義母様。ですけど確かに確実に、育て方は大いに間違ったと思いますわ」

紅茶のカップを口に運びながら、おほほと笑う。私は売られたけんかは買うほうだ。利子付けて返すほうだ。暴利をむさぼって返すほうだ。ピンクのフリルが反論を開始した。

「ユリカさんは本当に稚拙で白痴で不器量でいらっしゃるのねぇ。そういえば聡明で貞節で美貌のエリョリーナ王女はデューク様といつもご一緒で仲睦まじいようすでしたわ」

「そうですね、醜悪で豊満で悪趣味でなくて本当に良かったです。デューク王はエリョリーナ王女のお傍にいる時は、いつも彼女のことを想って感動に浸っていたようですね。どこから斬ったらうまくバラバラにできるか思案する時間が、この上なく楽しみだったと語ってくださいました」

まあっ・・・・!とフリル集団が顔を怒ったように赤らめる。私の隣に座っているデューク王は平然とした顔で何も答えずお茶を飲んでいた。

いやこの顔は私には分かる。今、こいつはものすごくこの会話を楽しんでいる。その証拠に机の下の脚が笑いで震えている。このドS・鬼畜・悪魔・腹黒王め!!

「デュークはユリカさんのどこをお気に召したのかしらね。さっぱりわからないわ」とまた黄色のフリルが負けじと ほほほ と笑いながら言う。

「そうですね・・・超絶腹黒の上、人が苦悶する顔に快感を覚える立派な鬼畜の方なので、おそらく私が苦悶するさまがよっぽどお気に召したに違いありませんわ。世界苦悶大会で優勝するくらいの腕前ですの私」

私も負けじと手を口に当てて、ほほほ と高笑いをした。何度も言うが、私は適当なことをもっともらしく言うのは得意分野だ。

ブルーのフリルが怒って口を挟む。

「デューク王は立派な賢王なのですよ!そんな腹黒でも鬼畜でもありませんわ!!不敬罪に問われましてよ!!」

「そうですか?聞くところによると、敵国同士を情報操作のみで互いに戦わせて相打ちさせた後進軍して残った王一族を流刑にしたり、友好国の王子を陥れてわが国の奴隷にしたり、隣国の女王を誑かして情報を得た後で幽閉したり、これぞ正当なる腹黒で鬼畜の鏡といっても過言ではないのでしょうか」

黄色とグリーンとブルーとピンクのフリルが、揃ってまあっ と声を上げて同時に立ち上がった。あーあんたたち同時に立つから、そのお腹がテーブルを押してテーブルの上のものが全部ひっくり返っちゃったじゃない!!

そこにドS鬼畜王、デュークが口を開いた。
「母上。私は良い人を見つけたでしょう。そう思いませんか?こんなに私を楽しませ続けてくれる人はそうそういません。それに世界最強の義家族もできましたからね。母上にとっても親類という事になります」

そういって軽やかにその場に立ち、日本黒犬、日本虹鳥、日本黒鱗鷲のほうを見て言った。ピンクのフリルがそれを見て嘲笑の表情をうかべて言う。

「なんですのその獣達は。ただのチンケな犬と貧相な鳥と貧弱な鷲じゃないの。こんな獣が親類なんてありえませんわ」

その言葉に一瞬で切れた私は、フリル集団に向かって言い放った。

「このこたちは私の家族です!馬鹿にしないでください!貴方達こそ少しは鏡を見て出直していらっしゃたらいかがかしら。フリルの付いたカラフルボール4個にしか見えませんでしてよ。行くわよ。レオール、シューリ、ドイール!!」

私が怒って3匹と一緒に退室しようとしたら、デューク王が右腕を私の腰に絡ませて動きを止めた。

「今日は親交を深めるということで皆さん3匹の守護精獣たちと一緒に、王城の上を飛んでみるのはどうでしょうか?レオールは羽がないので無理ですが、シューリとドイールは問題ないはずですよ」

フリル集団が一体何事かと思案している隙に、デューク王は日本黒犬、日本虹鳥、日本黒鱗鷲に頼み込むような目で訴えた。今までの会話からフリル集団にいい気持ちを抱いていなかった彼らは、我が意を得たりとさっそく本体にもどり、未だ茫然自失しているフリル集団をポイポイと背中に乗せて大きく開かれていた窓から空中に飛び出した。

あっという間にフリル集団が目の前から消えて、代わりに遠方から悲鳴が聞こえてきた。デューク王がまた快感に酔って恍惚の表情で腹黒の笑みを浮かべている。

あれレオールまで行っちゃったの?羽がないのに、よっぽど腹に据えかねたのね。
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