異世界転生して最強召還師になったけど現世に帰ってきた女子高生ですが何か？

115話 ガチガチ

喫茶店『天使の扉』で、ご主人様お嬢様をお待ちしている私。


緊張がピークを迎えようとしていた時、翼さんが私の手を握ってくれた…。


緊張がほぐれて、嬉しかった…。

と、その時、ドアのカウベルが鳴り、人が入ってきた…。


私はとっさに店員としての挨拶ができず、狼狽えてしまった…。


翼さんがうまく挨拶している…。

でも、どうやら客ではないようだった…。


髪が灰色というかアッシュのショートカットで、度の強い眼鏡をかけている。


顔はものすごい小顔で可愛らしかった。

フード付きのパーカーを着て、際どいホットパンツを穿いている…。


一見男の子に見えるけど、ボーイッシュな女の子らしかった…。

店長にも遅いぞと怒られてたので、この店の店員らしい…。


なんだすごい紛らわしいぞ…。ドキドキして損した…。

翼さんが、私のことを紹介してくれた。

私は思わず中二病挨拶をしてしまう…。


「今時、中二病っすか？古いっすよ…！」


摩耶と呼ばれている眼鏡っ子に衝撃的なことを言われた…。


中二病に古いも新しいもあるのか…。

私のアイデンティティが崩れそうになってしまった…。



そうこうしているうちに、本当にお嬢様（お客様）がお帰りになられた…。


「お、おか、おがえ…」


私はまだ挨拶もろくに出来ない…。


「おかえりなさいませ、お嬢様方…！」


翼さんは優雅な物腰で、挨拶している…。


さすが翼さんだなぁ…。

見惚れてしまう…。優雅で上品で美しい翼さん…。


「安心して…。この店は大体お嬢様方しかお帰りにならないわ…」


翼さんがすれ違い様に、私の耳元で囁いた…。


男性の客は、あまり来ないということだろうか…？


男性恐怖症な私は、ちょっと安心した…。


翼さんの甘い吐息で、またクラクラしてしまう私…。


お嬢様方は、ロングの髪をなびかせた美人なお嬢様とショートのお嬢様のお二人だった…。


翼さんは慣れた感じで、二人を席に案内している。


そして、メニューを翼さん自ら広げ、何やら説明しているようだった…。


男性恐怖症というか、なんだか自分が対人恐怖症じゃないかと思うほど、緊張してきた。


翼さんはこちらにやってきて…。

「ノアちゃん、お冷やをお嬢様方に渡してきて…」と言った。


私は店長の渡してきたトレーに乗ったお冷やとおしぼりをお嬢様方に持っていくことに…。


店長、なんでそんなに睨むんですか！？余計に緊張してきた…。


こ、こぼさないように…。こぼさないように…。


私はガチガチになって、トレーを持って歩き出すのだった…。