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30話 駅に向かう
しおりを挟む夜が明け切れない暗い夜道を一人で歩く。
さっきまで、身体が火照って止まらなかったけど、今は寒い。
冬ほど寒くないが、薄手のコートは少し物足りなかった。
私は、コートの前のボタンを、よくかけてから…。
コートのポケットの中に、手を突っ込んで暖を取った…。
家には、もう少し厚手のダッフルコートがあるのだけれど…。
でも、今さら家に帰るわけにはいかない。
まさかと思うが、早起きの姉とばったり会う可能性もある。
そんな危険を犯してまでも、家に帰るわけにはいかなかった。
二階から脱出した際の、布団と縛られた紐もそのままだしなぁ…。
見つかったら、姉の小言では済まないだろう…。
はぁぁと、溜息をつく。
まぁ、もう家には戻らないと決めたわけだし、落ち込んでもしょうがない。
この陸橋を越えれば、駅が見えるはず。
越えるというか、陸橋を登っていると見えてきた。
うちの地元の駅は、都内の某有名駅を模した少し変わった駅だ。
昔某駅の煉瓦を、うちの地元で作ったらしい。
それで某駅を模した駅に作り変えたらしいのだ。
私はピンとこないので、ふーんという感想しか湧かなかった。
私の親の小さい頃は、普通の田舎の小さい駅だったそうだ。
たしかに作り変えた駅は、夜ライトアップされて綺麗だ。
でも、本家の都内某有名駅のほうが迫力が、段違いなんだなぁ…。
私は地元の駅を見るたびに、こそばゆい感覚を覚えた。
まぁ、私の駅の感想はさて置き…。
陸橋を越えながら思ったが、もしかしてこれは遠回りだったと思った。
陸橋は線路をまたがって作られていて駅を遠目に見ながら通っている。
コンビニ寄らずに、普通に駅に向かえばよかったか。
まぁ、早朝なのでトボトボ歩くには、ちょうどいいか。
陸橋を渡り終え、道路脇を歩く。
いつもは、駅前でバスに乗り、通学してるからこちら側はあまりこない。
こちら側は北口にあたり、昔は商店街が栄え、いろんなお店があったらしい。
今では、商店街が寂れ、人通りもあんまりないらしい。
まぁ、これも親に聞いた話だけど。
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