伝説の勇者が闇堕ちした日に、ポンコツは爆誕する

空木卯々

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第四話

下水道探索②

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◇◇◇◇◇


「う、…わぁ…なぁんか
何か…嫌な感じの下水道だなぁ」

ギルド職員の厚意で
ランタンを支給して貰い、
小さなランタンの、
心元ない光源を唯一の頼りに、
イルが先頭に立ち、
下水道の入り口と対面する。

入り口は、年月の影響で
朽ちかけ、鉄製の入り口は
錆が浮かび、今にも崩れてしまいそうな
頼りなさがある。

何より、イルが躊躇するのは…
入り口から漂う、カビ臭さと
湿気だ。

鼻を摘み、不快感をあらわすイルを
横に、リーンは口を開く。

「…なんでも、
昔は罪人の地下牢でもあったみたいだな…
そのままネズミに喰われて
亡くなる罪人も多かった…とか」

「いやぁ!や、やめてくれよう!
これから僕達入らなきゃいけないのに!」

当然、イルはそんな情報など
ありがた迷惑で…
リーンの話しを遮るように非難するが…

「割と頻繁に、笑い声やすすり泣く声とか…
この下水道から聞こえるんだと…
町の者が話してくれたぞ」

むしろ…
リーンはイルの反応を見て、
面白がっているのかもしれない。

「ちょ…ね、ねぇ僕達…
ただのネズミ駆除の依頼だよね?
幽霊退治の依頼じゃないよね⁈」

面白いように喰いつき
騒ぎまくるイル。
冒険者にあるまじき怯えようの
イルの…ランタンを持つ手が、
微かに震えている。

「そうだな。
幽霊退治は聖職者がいないと
対処が難しい、
冒険依頼レベルも高めの案件だろう」

「幽霊出たら…ど、どどうしよう?」

「逃げれば…依頼失敗になってしまうなぁ?」

怯えまくるイルとは対照的に
リーンは顔色ひとつ変えずに
淡々と言ってのける。
…実はイル、前世の頃から 
霊の類だけは苦手だった。
理由は"剣で切り倒せないから"らしいが…

そんな情け無い、
へっ放り腰の
イルを横目に見ながら、
ほんの少し愉快になるリーンだったが…

下水道で注意しなければならない事は
まだまだある…
病原菌を保有してる可能性のある汚水。
下水に蠢く虫類や、凶暴なネズミ…
吸血コウモリ等に攻撃されて
傷を負ってしまえば、深刻である。

解毒の薬は高価だし、
万一、感染症が体全体を回ってしまえば、
薬では効果が薄く…
高位聖者(僧侶や賢者)に術で
治癒をして貰うしかないが…

術料は薬の比でなく
更に高額だ。

そもそも…この町に聖者が駐在してるかさえ
定かではない。

だからこそ今の我々は、
最大限の注意を払い
依頼をこなさなければならない。

今までの"特殊依頼"より、
難易度が上がったと言えるだろう。
その意味でも…
我らはギルドに試されているのだ。

失敗すれば、即追放…

リーンは気持ちを引き締め
杖をしっかり身構え直し
イルに下水道潜入を促す。


◇◇◇◇◇


(第四話③へ続く)
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