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第四話
下水道探索③
しおりを挟む◇◇◇◇◇
下水道への入り口は
町の外れ、やや薄暗い
路地の角にある。
狭く陰湿な階段を少し下った
突き当たりだ。
途中まで、下水管理者の職員に
案内され、階段を下り…
改めて下水道入り口に向き合った2人。
入り口は錆びて汚れた鉄の扉に、
南京錠がかかっていた。
依頼人の下水管理者は
南京錠の鍵と、ネズミを捕獲する為の
捕獲器を用意していた。
鉄の扉の前に立つだけでも、
カビた臭いや、
下水特有のヘドロと腐臭の混ざった悪臭が
鼻を苛む。
「まぁ、何も無ければ簡単な仕事だ。
今日はまず…
下水道の各所に捕獲器を置いて回り、
後日それを回収する…
更に後日、
ネズミの個体数が減ってるかを
確認して依頼達成だ!」
「うう…何度もここ…
来なきゃいけないなんて
それだけで地獄だよ」
「文句言うな。
依頼を達成して、立派な冒険者に
なるのだろう?」
確かに、その通りである。
冒険者が不潔な場所だからと
忌避していては、
冒険にならないではないか、
イルは今世での、
御坊ちゃまモードが
未だ抜け切れてない事を
反省しつつ、腹に力を込める。
「う、…うん、
そう…だよな!
ここはダンジョンだと思えば、
気合いも入る…かも…」
「うむ。
まぁ…我らは一度も
下水道は潜った記憶はないが…
ダンジョンだと思えば赴きも変わる」
「はぁ…
こんないい男が下水道でネズミ狩りかぁ」
またも落ち込み始める
イルの背中をぐいぐい押し、
入り口へ促す。
「安心しろ、"今回"は"魔ネズミ"ではなく
ただのネズミ狩りだ」
「う…嫌な記憶思い出させないでよ」
「こんな町の下水道に魔ネズミは居らぬよ」
魔ネズミとは…
年老いたネズミが
魔素を吸収していった結果、
突然変異で凶暴化し、
筋力や能力が普通のネズミの
数倍も跳ね上がった化け物の事である。
魔素は…
魔界という別次元の空間境から
漏れ出て、この世界に影響をもたらす現象で…
基本的には、
人里遠い山中や地下深く…又は、
ダンジョンといわれる場所に
魔素が集中している。
人里…町中の人工的に作られた下水道に
魔素は存在せず、
ネズミがいたとて普通のネズミなのである。
未だ入り口付近で
躊躇しているイルを
杖で小突きながら促す。
「ほら、イル!さっさと扉を開けろ!」
「ギイィィ…」
軋みながら開く。
錆びた鉄扉を開けると、
更に悪臭は強くなる。
更に地下へ降りていく
急傾斜の階段には
得体の知れない、
苔だかカビだかが張り付き
心なしか、ぬめりを帯びている。
慎重に足元を確認して降りないと、
滑って落ちてしまうだろう。
下へ降るたびに、暗度は増していき
不潔で邪悪な魔物の口の中へ
入っていくような気分になった。
◇◇◇◇◇
(第四話④へ続く)
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