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四章 二体目ですよ
七十三話
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「なるほど、竜の棲み処に喚ばれたわけね」
一通り話し終わると、大屋敷先生はため息を吐き、額に手を当てた。なんだか難しい顔をしているな。
でも、いきなりこんな話を聞かせられてもすぐには信じられないだろうね。
「これで合点がいったわ」
しかし、俺の話は相応の説得力をもって受け入れられたようだ。
「小幡君、帰ってきてから【能力閲覧】は使ったのかしら?」
「いえ、まだ使ってないです」
起きてからすぐに大屋敷先生が来たから何かする時間も無かったからね。第一、【能力閲覧】でステータスを確認するのはレベルが上がって【育成】でステータスを割り振る時くらいだ。
普段はあえて見ようとは思った事がなかったな。
「そう。じゃあ、これを見て」
大屋敷先生に差し出された紙には、誰かのステータスが書いてあった。
レベル:20
ジョブ:上級テイマー
サブジョブ:竜裝騎士
サブジョブ:
HP:350
MP:600
筋力:275
魔力:420
体力:310
器用:200
敏捷:220
幸運:1
かなり強い人のステータスみたいだな。レベルからしたら、二年生なんだろうけど、ステータスを見たら違和感を覚える。
レベルが20の割には異常な程高いからね。ジョブが上級テイマーだから、【育成】を使っていたとしても高過ぎる。
よっぽど強いスキルを複数所持しているんだろうな。
サブジョブが竜裝騎士っていう見慣れないジョブだから、それ関連で強力なスキルを持っているんだろう。
「これは?」
ステータスの書かれた紙から目を離し、大屋敷先生に問いかける。これを見せられた意図が分からないからだ。
「本当に見てないのね。これは貴方のステータスよ」
「え!?俺の?」
もう一度見たけど、記憶の中のステータスとは余りにもかけ離れていた。俺のステータスはどれ一つをとっても三桁どころか二桁にも達していなかったはずだ。
いや、確かにSPを割り振れば二桁にはいくだろうけど、それでもこんな馬鹿げた数字にはならない。
第一、レベルだってまだ6だったはずだ。
「疑ってるようね。だったら、自分で確認してみなさい」
「はっ!?それもそうですね」
混乱していて【能力閲覧】の事をすっかり忘れていた。
改めて見てみると、紙に書かれているのと同じステータスだった。
「本当だ」
「でしょう?昨日まで昏睡状態が続いていたのも、急激なステータスの変化が原因だわ」
言われてみればこれだけの変化だ、身体がついていけなくても仕方ないだろうね。
「下手したら、二度と目が覚めない可能性もあったわよ。安易にエネミーと交渉するのは止めておきなさい」
「いや、交渉したわけじゃ………」
勝手に話を進められて、勝手にステータスを弄られただけなんだけどな。
そもそも、あそこで竜を助けなかったら帰れなかったかもしれなかったし。
「そうね。ああいった高位の存在は人の話なんて聞かないわね」
思い当たる事があるんだろう。大屋敷先生は深くため息を吐いた。
まあ、ダンジョン黎明期からずっとエネミーとやりあっているんだから、そりゃ色んな事があったんだろうな。
「なんにしろ、まだアナタの身体は無理矢理力をそそがれて不安定な状態なのよ。しばらくここで安静にしてなさい」
「ここで、ですか?部屋に戻ったらダメなんですか?」
「ダメね。魔力の無い場所に行ったらどうなるか保証はないわ。最悪、身体が弾け飛ぶわ」
「ひぇっ」
大屋敷先生は手を開いて爆発のジェスチャーをする。それが決して冗談じゃないことは目を見れば分かる。
ここはダンジョン内にある保健室らしく、魔力がある状態だ。さらに色んな術式の魔術で患者の体調を整えているらしい。
「とはいえ、長くても一週間よ。それまでは授業も出なくて良いわ」
つまり、合法的にサボれるって事か。人生、悪いことばかりじゃないんだなぁ。
「あ、ちゃんと課題を持ってきてあげるから安心しなさい。それに分からない事があれば教えてあげるから大丈夫よ」
うん、そんなに甘い話はないよね。
一通り話し終わると、大屋敷先生はため息を吐き、額に手を当てた。なんだか難しい顔をしているな。
でも、いきなりこんな話を聞かせられてもすぐには信じられないだろうね。
「これで合点がいったわ」
しかし、俺の話は相応の説得力をもって受け入れられたようだ。
「小幡君、帰ってきてから【能力閲覧】は使ったのかしら?」
「いえ、まだ使ってないです」
起きてからすぐに大屋敷先生が来たから何かする時間も無かったからね。第一、【能力閲覧】でステータスを確認するのはレベルが上がって【育成】でステータスを割り振る時くらいだ。
普段はあえて見ようとは思った事がなかったな。
「そう。じゃあ、これを見て」
大屋敷先生に差し出された紙には、誰かのステータスが書いてあった。
レベル:20
ジョブ:上級テイマー
サブジョブ:竜裝騎士
サブジョブ:
HP:350
MP:600
筋力:275
魔力:420
体力:310
器用:200
敏捷:220
幸運:1
かなり強い人のステータスみたいだな。レベルからしたら、二年生なんだろうけど、ステータスを見たら違和感を覚える。
レベルが20の割には異常な程高いからね。ジョブが上級テイマーだから、【育成】を使っていたとしても高過ぎる。
よっぽど強いスキルを複数所持しているんだろうな。
サブジョブが竜裝騎士っていう見慣れないジョブだから、それ関連で強力なスキルを持っているんだろう。
「これは?」
ステータスの書かれた紙から目を離し、大屋敷先生に問いかける。これを見せられた意図が分からないからだ。
「本当に見てないのね。これは貴方のステータスよ」
「え!?俺の?」
もう一度見たけど、記憶の中のステータスとは余りにもかけ離れていた。俺のステータスはどれ一つをとっても三桁どころか二桁にも達していなかったはずだ。
いや、確かにSPを割り振れば二桁にはいくだろうけど、それでもこんな馬鹿げた数字にはならない。
第一、レベルだってまだ6だったはずだ。
「疑ってるようね。だったら、自分で確認してみなさい」
「はっ!?それもそうですね」
混乱していて【能力閲覧】の事をすっかり忘れていた。
改めて見てみると、紙に書かれているのと同じステータスだった。
「本当だ」
「でしょう?昨日まで昏睡状態が続いていたのも、急激なステータスの変化が原因だわ」
言われてみればこれだけの変化だ、身体がついていけなくても仕方ないだろうね。
「下手したら、二度と目が覚めない可能性もあったわよ。安易にエネミーと交渉するのは止めておきなさい」
「いや、交渉したわけじゃ………」
勝手に話を進められて、勝手にステータスを弄られただけなんだけどな。
そもそも、あそこで竜を助けなかったら帰れなかったかもしれなかったし。
「そうね。ああいった高位の存在は人の話なんて聞かないわね」
思い当たる事があるんだろう。大屋敷先生は深くため息を吐いた。
まあ、ダンジョン黎明期からずっとエネミーとやりあっているんだから、そりゃ色んな事があったんだろうな。
「なんにしろ、まだアナタの身体は無理矢理力をそそがれて不安定な状態なのよ。しばらくここで安静にしてなさい」
「ここで、ですか?部屋に戻ったらダメなんですか?」
「ダメね。魔力の無い場所に行ったらどうなるか保証はないわ。最悪、身体が弾け飛ぶわ」
「ひぇっ」
大屋敷先生は手を開いて爆発のジェスチャーをする。それが決して冗談じゃないことは目を見れば分かる。
ここはダンジョン内にある保健室らしく、魔力がある状態だ。さらに色んな術式の魔術で患者の体調を整えているらしい。
「とはいえ、長くても一週間よ。それまでは授業も出なくて良いわ」
つまり、合法的にサボれるって事か。人生、悪いことばかりじゃないんだなぁ。
「あ、ちゃんと課題を持ってきてあげるから安心しなさい。それに分からない事があれば教えてあげるから大丈夫よ」
うん、そんなに甘い話はないよね。
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