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⑫「おかげ横丁の朝食~「わらじや」の釜めし~」
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⑫「おかげ横丁の朝食~「わらじや」の釜めし~」
6月11日朝6時半、希は赤いポロシャツにデニム、白いスニーカーで京阪電車の門真市駅のロータリーで健を待っていた。時間どおりに、健の白い軽自動車が到着した。
「狭い車やけど我慢してな。荷物は後ろの席においてくれたらええし、おトイレは大丈夫か?まずは、伊勢神宮まで2時間半は走るからな。」
と言われ、「駅で済ませたから大丈夫。」と答え助手席に乗り込んだ。
車は近畿自動車道から西名阪自動車道に入り、その後、名阪国道、伊勢自動車道と進んでいった。日曜日の早朝と言うこともあり、渋滞もなく予定より早い8時40分に伊勢神宮の内宮の駐車場に到着した。
「希ちゃん、朝ごはん抜いてきたよな?」
と聞く健に恨めしい声で
「うん、もうお腹と背中がくっつきそうやで。でも、8時40分やったら、まだお店も空いてないやんなぁ…。くすん。」
と呟いた。
元気のない望みを引き連れて、健は何も言わず歩き出した。まだ空いていない店が並ぶおかげ横丁、赤福本店を抜け、少し先に暖簾が出ている店を発見した。
「あっ、健さん、そこのお店もうやってるんとちゃう?」
と希が健の腕を引くと、
「ビンゴ!この「わらじや」さんは、朝8時半からやってんねん!朝一に美味しいもん頼んだるわな!」
と店に入ると同時に、店員に注文をかけた。テーブルに着き希が尋ねた。
「健さん、伊勢うどんと伊勢釜めしって言ってたけど、普通のうどんや釜めしと何がちゃうの?」
質問の回答が来る前に、2杯のうどんが届いた。極太の麺に大量の刻み葱がのっている。
「釜めしができるまで少し時間がかかるから、先にうどん食べようや。大阪のうどんとの違いは、食べたらすぐわかるで。さあ、おあがり!」
と言われ、速攻で丼に箸をつけた。
「わー、普通のうどんの倍の太さに、黒いおつゆやけど全然辛くない!モチモチとした食感が大阪や讃岐うどんと全然ちゃうわ。これはこれでありやなー。」
「せやろ、たまり醤油ベースで色は濃いけど、かつおだしがしっかりと効いた丸い味やろ。まあ、天かす入れて味変するのもええけど、おいちゃんはこのままストレートやな。昨日、お好み食べたときにも言ったけど、全国に旨いうどんがたくさんあって、それぞれに特徴がある。伊勢うどんも立派な日本代表のうどんやと思うな!」
健が香川の「讃岐」、秋田の「稲庭」、富山の「氷見」、群馬の「水沢」、長崎の「五島」、愛知の「きしめん」の特徴を一通り解説をしたが、一番好きなのは、某大手ファミレスチェーンの「カレーうどん」だといい、希の笑いを取った。
笑っているうちに、釜めしが運ばれてきた。ワクワクしながら希はふたを開けると、湯気とともに甘い香りと見た目にゴージャスな具が目に飛び込んできた。
「きゃー、大きな海老にお醤油で炊いたホタテの貝柱に美味しそうな肉厚のシイタケ!もう最高やわ!お腹減らしてきてよかったー!」
希は大きな具がたくさん入った釜めしを「旨い旨い」と言いながら一気に平らげ、大きな声で言った。
「あー、これでビールがあったら最強やったなー!」
健が勘定を済ませると、伊勢神宮の内宮に向かって歩き出した。宇治橋鳥居の前で一礼すると、木の橋を渡って、神苑を抜け第一鳥居の前で再び一礼。五十鈴川御手洗場で手水を行い、瀧祭神に「これから正宮にお参りします。」と神様にあいさつし、ついにメインの「正宮」に着いた。日本一の神様である天照大神に「どうか、病気がひどくなりませんように。」と丁寧にお願いをして、御稲御倉、荒祭宮、風日祈宮と健について順にお参りし、神楽殿で「健康祈願」のお守りを買った。
参集殿で一休みしていると、年配の宮司が近づいてきた。
「あれ?健さん、今日は人の姿でお参りですか?」
と声をかけられた瞬間、健は慌てて、宮司の腕を引き、希から引き離した。いくらか会話を交わすと、宮司は健に頭を下げて参集殿を出て行った。
(「今日は人の姿で」って?何言ってんのこの人?)と思い希は
「健さん、「今日は「人の姿」で」って言われてたけどどういうこと?」
と尋ねると、健は慌てる様子もなく
「いやぁ、毎年、その年の干支の着ぐるみでお参りしてたからよう目立ってるんや。今日は、着ぐるみ着てへんから、希ちゃんとデートやと勘違いされたわ。こんな年の差カップルなんかありえへんわなぁ。カラカラカラ。」
と説明して笑った。
その後、開店した赤福本店で「赤福氷」を食べると、おかげ犬みくじを買った。
「健さん、「凶」がでたらどうしよう…?」
と言うと健は笑顔で返事をした。
「お伊勢参り自体が「大吉」を意味するから大丈夫やで。安心してみてごらん。」
言われた通り、「大吉」だった。健康運も「良し」で安心した。
伊勢神宮を出ると近くにある猿田彦神社とその境内にある佐瑠女神社をお参りし、車は志摩方面へと走った。道中、健が古事記に出て来る神様の話と神社と寺の違いなどを分かりやすく説明してくれたので、希にもよくわかった。佐瑠女神社の祭神は古事記では天宇豆女命と記録が残されている天岩戸に天照大神が籠ったときに、面白おかしく「舞」を行い、皆を笑わせた、日本最初の「芸人の神様」と教えてくれた。「笑う門には福来たる」やでと優しく言ってくれる健の言葉がうれしかった。
他にも、たくさんの神様がいて、今回はもともとの予定の7寺社のほかに、希の為に追加したところがあると教えてくれた。
6月11日朝6時半、希は赤いポロシャツにデニム、白いスニーカーで京阪電車の門真市駅のロータリーで健を待っていた。時間どおりに、健の白い軽自動車が到着した。
「狭い車やけど我慢してな。荷物は後ろの席においてくれたらええし、おトイレは大丈夫か?まずは、伊勢神宮まで2時間半は走るからな。」
と言われ、「駅で済ませたから大丈夫。」と答え助手席に乗り込んだ。
車は近畿自動車道から西名阪自動車道に入り、その後、名阪国道、伊勢自動車道と進んでいった。日曜日の早朝と言うこともあり、渋滞もなく予定より早い8時40分に伊勢神宮の内宮の駐車場に到着した。
「希ちゃん、朝ごはん抜いてきたよな?」
と聞く健に恨めしい声で
「うん、もうお腹と背中がくっつきそうやで。でも、8時40分やったら、まだお店も空いてないやんなぁ…。くすん。」
と呟いた。
元気のない望みを引き連れて、健は何も言わず歩き出した。まだ空いていない店が並ぶおかげ横丁、赤福本店を抜け、少し先に暖簾が出ている店を発見した。
「あっ、健さん、そこのお店もうやってるんとちゃう?」
と希が健の腕を引くと、
「ビンゴ!この「わらじや」さんは、朝8時半からやってんねん!朝一に美味しいもん頼んだるわな!」
と店に入ると同時に、店員に注文をかけた。テーブルに着き希が尋ねた。
「健さん、伊勢うどんと伊勢釜めしって言ってたけど、普通のうどんや釜めしと何がちゃうの?」
質問の回答が来る前に、2杯のうどんが届いた。極太の麺に大量の刻み葱がのっている。
「釜めしができるまで少し時間がかかるから、先にうどん食べようや。大阪のうどんとの違いは、食べたらすぐわかるで。さあ、おあがり!」
と言われ、速攻で丼に箸をつけた。
「わー、普通のうどんの倍の太さに、黒いおつゆやけど全然辛くない!モチモチとした食感が大阪や讃岐うどんと全然ちゃうわ。これはこれでありやなー。」
「せやろ、たまり醤油ベースで色は濃いけど、かつおだしがしっかりと効いた丸い味やろ。まあ、天かす入れて味変するのもええけど、おいちゃんはこのままストレートやな。昨日、お好み食べたときにも言ったけど、全国に旨いうどんがたくさんあって、それぞれに特徴がある。伊勢うどんも立派な日本代表のうどんやと思うな!」
健が香川の「讃岐」、秋田の「稲庭」、富山の「氷見」、群馬の「水沢」、長崎の「五島」、愛知の「きしめん」の特徴を一通り解説をしたが、一番好きなのは、某大手ファミレスチェーンの「カレーうどん」だといい、希の笑いを取った。
笑っているうちに、釜めしが運ばれてきた。ワクワクしながら希はふたを開けると、湯気とともに甘い香りと見た目にゴージャスな具が目に飛び込んできた。
「きゃー、大きな海老にお醤油で炊いたホタテの貝柱に美味しそうな肉厚のシイタケ!もう最高やわ!お腹減らしてきてよかったー!」
希は大きな具がたくさん入った釜めしを「旨い旨い」と言いながら一気に平らげ、大きな声で言った。
「あー、これでビールがあったら最強やったなー!」
健が勘定を済ませると、伊勢神宮の内宮に向かって歩き出した。宇治橋鳥居の前で一礼すると、木の橋を渡って、神苑を抜け第一鳥居の前で再び一礼。五十鈴川御手洗場で手水を行い、瀧祭神に「これから正宮にお参りします。」と神様にあいさつし、ついにメインの「正宮」に着いた。日本一の神様である天照大神に「どうか、病気がひどくなりませんように。」と丁寧にお願いをして、御稲御倉、荒祭宮、風日祈宮と健について順にお参りし、神楽殿で「健康祈願」のお守りを買った。
参集殿で一休みしていると、年配の宮司が近づいてきた。
「あれ?健さん、今日は人の姿でお参りですか?」
と声をかけられた瞬間、健は慌てて、宮司の腕を引き、希から引き離した。いくらか会話を交わすと、宮司は健に頭を下げて参集殿を出て行った。
(「今日は人の姿で」って?何言ってんのこの人?)と思い希は
「健さん、「今日は「人の姿」で」って言われてたけどどういうこと?」
と尋ねると、健は慌てる様子もなく
「いやぁ、毎年、その年の干支の着ぐるみでお参りしてたからよう目立ってるんや。今日は、着ぐるみ着てへんから、希ちゃんとデートやと勘違いされたわ。こんな年の差カップルなんかありえへんわなぁ。カラカラカラ。」
と説明して笑った。
その後、開店した赤福本店で「赤福氷」を食べると、おかげ犬みくじを買った。
「健さん、「凶」がでたらどうしよう…?」
と言うと健は笑顔で返事をした。
「お伊勢参り自体が「大吉」を意味するから大丈夫やで。安心してみてごらん。」
言われた通り、「大吉」だった。健康運も「良し」で安心した。
伊勢神宮を出ると近くにある猿田彦神社とその境内にある佐瑠女神社をお参りし、車は志摩方面へと走った。道中、健が古事記に出て来る神様の話と神社と寺の違いなどを分かりやすく説明してくれたので、希にもよくわかった。佐瑠女神社の祭神は古事記では天宇豆女命と記録が残されている天岩戸に天照大神が籠ったときに、面白おかしく「舞」を行い、皆を笑わせた、日本最初の「芸人の神様」と教えてくれた。「笑う門には福来たる」やでと優しく言ってくれる健の言葉がうれしかった。
他にも、たくさんの神様がいて、今回はもともとの予定の7寺社のほかに、希の為に追加したところがあると教えてくれた。
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