26 / 77
26
しおりを挟む
温かい。
小さいころ、お母さんに抱きしめてもらったみたいに温かくて優しいぬくもりに包まれているみたい。
心が温まる。
優しいきもちが沸き上がってくる。
うれしい。このままずっと包まれていたいな。
「あ、ユナ様。お目覚めになられましたね。良かったです。先ほどまで、なかなか目覚められないユナ様を心配されたエルスト様がいらっしゃってたんですが……。後でもう一度呼んでまいりますね」
エルストさんが……?
「少し、起き上がられますか? 背中のところにクッションを入れておきますので、もたれかかって大丈夫ですよ。はい、これを飲んでください。温かいミルクティーです」
湯気が出でいるミルクティーを受け取って、ベットの上で一口、口に含む。
「おいしい。温まる」
ミルリーさんがホッと、安心したように笑う。
(よく見ると、ミルリーさん、疲れた顔をしている。きっと、心配させちゃったんだろうな……)
「ゆっくり飲んでいてくださいね。今から呼んで参りますので」
ミルリーさんが出て行った部屋を、何気なしに見回してみると、ベットの近くには水を張った桶と濡れたタオルが置かれていた。あと、水差しとコップもセットで置かれている。
自分が今いるベットの上には、いつもの布団ともう一枚薄い毛布が掛けてある。
(きっとこれのおかげで温かかったんだな)
そういえば、まだ身体がだるくて、なんだか熱っぽい気がする。
もう一口ミルクティーを口に含み、両手でカップを包んで、こうなった経緯を思いだしてみる。
……。
ああ、そうだった。
儀式、失敗したんだな。
皆あんなに期待していたのに、ガッカリだっただろうな。
国王陛下や王子さんたちに申し訳ないな。
それに、皆の前でみっともなく泣いてしまった……。
ちょっと恥ずかしい……。
次に会うとき、どういう顔をすればいいんだろう。
コンコン、と扉をノックする音が聞こえて考えを中断する。
「はい、どうぞ」
!! エ、エルストさん。
「ああ、だいぶ顔色がよくなりましたね」
そのままベッドの側までやってきて、いきなり両手で頬を包まれた。
「……!?」
か、顔が近い!!
「体温も戻って来たようですね。一時は氷のように冷たかったから、女神ではなく、雪女かと思いましたよ」
び、びっくりしてカップを落としそうになりましたよ!
そんな体温の測り方ありますか!
心臓に悪いです!!
きっと顔は真っ赤になっているだろう。
それでも何も言えずに口をパクパクとしていると、
「カップ、危ないですね。中身が揺れていてこぼしそうですよ」
私の手からカップを取り、近くのテーブルにおいてくれた。
「先ほどから、一言もしゃべらないですが、大丈夫ですか? 入って来た時よりも顔が赤いようですし……」
もう一度測ってみましょうか? と聞こえて慌てて手を突っぱねた。
「も、もういいです! 大丈夫です! 治りました! 本当にご迷惑おかけしました!」
一気にしゃべったので、若干息切れがする。
「元気そうで安心いたしましたが、丸一日目を覚まさなかったんですよ? まだ病み上がりなのでゆっくり療養していてください」
ん? ……何?! 丸一日ですと?!!
私、そんなに寝ていたの!?
ごはん……。お腹減ったよ……。
「それと、迷惑をかけたのはこちらです。あなたに選択肢も与えず、無理を言いました。申し訳ありません」
……。
え、この人、どうしたの??
私に頭を下げてるよ……。
「や、やめてください! 頭上げてください!」
顔を上げて、私を申し訳なさそうな、少し泣きそうな顔でジッと見つめてくる。
この人のそんな表情は初めて見るし、むしろそんな表情が私に向けられるなんて思ってなかったので、少し驚いてしまった。
わ、私、まだ熱高いのかな??
どうしちゃったの、この人。
儀式の失敗って完全に私のせいでしょ??
それとも誰か別に女神をやれる人っているの?
それならばぜひともその人にお願をしたい。
そうエルストさんに伝えたら、「女神は私以外にはいない」 と返って来た。
そうですか……。
小さいころ、お母さんに抱きしめてもらったみたいに温かくて優しいぬくもりに包まれているみたい。
心が温まる。
優しいきもちが沸き上がってくる。
うれしい。このままずっと包まれていたいな。
「あ、ユナ様。お目覚めになられましたね。良かったです。先ほどまで、なかなか目覚められないユナ様を心配されたエルスト様がいらっしゃってたんですが……。後でもう一度呼んでまいりますね」
エルストさんが……?
「少し、起き上がられますか? 背中のところにクッションを入れておきますので、もたれかかって大丈夫ですよ。はい、これを飲んでください。温かいミルクティーです」
湯気が出でいるミルクティーを受け取って、ベットの上で一口、口に含む。
「おいしい。温まる」
ミルリーさんがホッと、安心したように笑う。
(よく見ると、ミルリーさん、疲れた顔をしている。きっと、心配させちゃったんだろうな……)
「ゆっくり飲んでいてくださいね。今から呼んで参りますので」
ミルリーさんが出て行った部屋を、何気なしに見回してみると、ベットの近くには水を張った桶と濡れたタオルが置かれていた。あと、水差しとコップもセットで置かれている。
自分が今いるベットの上には、いつもの布団ともう一枚薄い毛布が掛けてある。
(きっとこれのおかげで温かかったんだな)
そういえば、まだ身体がだるくて、なんだか熱っぽい気がする。
もう一口ミルクティーを口に含み、両手でカップを包んで、こうなった経緯を思いだしてみる。
……。
ああ、そうだった。
儀式、失敗したんだな。
皆あんなに期待していたのに、ガッカリだっただろうな。
国王陛下や王子さんたちに申し訳ないな。
それに、皆の前でみっともなく泣いてしまった……。
ちょっと恥ずかしい……。
次に会うとき、どういう顔をすればいいんだろう。
コンコン、と扉をノックする音が聞こえて考えを中断する。
「はい、どうぞ」
!! エ、エルストさん。
「ああ、だいぶ顔色がよくなりましたね」
そのままベッドの側までやってきて、いきなり両手で頬を包まれた。
「……!?」
か、顔が近い!!
「体温も戻って来たようですね。一時は氷のように冷たかったから、女神ではなく、雪女かと思いましたよ」
び、びっくりしてカップを落としそうになりましたよ!
そんな体温の測り方ありますか!
心臓に悪いです!!
きっと顔は真っ赤になっているだろう。
それでも何も言えずに口をパクパクとしていると、
「カップ、危ないですね。中身が揺れていてこぼしそうですよ」
私の手からカップを取り、近くのテーブルにおいてくれた。
「先ほどから、一言もしゃべらないですが、大丈夫ですか? 入って来た時よりも顔が赤いようですし……」
もう一度測ってみましょうか? と聞こえて慌てて手を突っぱねた。
「も、もういいです! 大丈夫です! 治りました! 本当にご迷惑おかけしました!」
一気にしゃべったので、若干息切れがする。
「元気そうで安心いたしましたが、丸一日目を覚まさなかったんですよ? まだ病み上がりなのでゆっくり療養していてください」
ん? ……何?! 丸一日ですと?!!
私、そんなに寝ていたの!?
ごはん……。お腹減ったよ……。
「それと、迷惑をかけたのはこちらです。あなたに選択肢も与えず、無理を言いました。申し訳ありません」
……。
え、この人、どうしたの??
私に頭を下げてるよ……。
「や、やめてください! 頭上げてください!」
顔を上げて、私を申し訳なさそうな、少し泣きそうな顔でジッと見つめてくる。
この人のそんな表情は初めて見るし、むしろそんな表情が私に向けられるなんて思ってなかったので、少し驚いてしまった。
わ、私、まだ熱高いのかな??
どうしちゃったの、この人。
儀式の失敗って完全に私のせいでしょ??
それとも誰か別に女神をやれる人っているの?
それならばぜひともその人にお願をしたい。
そうエルストさんに伝えたら、「女神は私以外にはいない」 と返って来た。
そうですか……。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
27
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる