くすぐり愛 ― 偏執の紳士と聖女ティアナ

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「愛に支配される悦び」

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深夜。
ティアナはシーツの中で、まだ身体の余韻に震えていた。
笑いすぎて、息もできなくなるほどくすぐられたばかり。
けれど心の奥で、もっと深く、もっと強く「彼に委ねたい」と願っている自分に気づいていた。

──「もっと、私の奥まで見抜いて、触れて、支配して……」

その夜、ティアナのまなざしは、レオニスにそれを訴えていた。

彼はそれを見逃さなかった。

「ティアナ、君は……まだ、求めているな」
「……ええ、そう。くすぐられて……限界まで笑わされて、でもまだ……奥が熱いの」
「君の中にある“もうひとつの願い”を、今夜は暴こう。いいか?」

ティアナは、黙って頷いた。
けれどその頬は紅潮し、目元は震えていた。


◆ 信頼と降伏の空間。


レオニスは彼女を、より深い拘束へ導く。
今夜はリボンではなく、やわらかな革製のベルトと緋色のシルクスカーフ。
手足を緩やかに広げ、くすぐりやすく、愛撫しやすい体勢に整える。

「まるで供物のようだ……美しい」
「……あぁ、そんなふうに、見つめないで……でも、見て……」

首筋が熱い。視線だけで、身体がほどけそう。

そして、くすぐりが始まった。

爪先から。
指の腹が、かかとから親指へ、なぞるように往復する。

「っ、ふ、ん、くふふ……まだ……くる……」
「今夜は、君の“本当の崩れ方”を見せてほしい。笑いと快楽で混乱する、甘美な姿を」

ティアナの踵を支え、くすぐりながら指先で内くるぶしを撫でる。
ピクリと全身が跳ねる。

「そ、こ……レオニス、ずるい……」
「ここが、君の“次の扉”だと気づいたよ」

脇腹、下乳のライン、肋骨の影、鼠蹊部へ向かう腰骨のくぼみ。
くすぐりと愛撫が、あざやかに溶け合っていく。
ティアナはもう、笑い声と喘ぎの境界がわからない。

「く、ひゃぁっ……ふっ、んふ、んぁ……あっ、あっはは……ぁ……」

羞恥と快楽が、彼女の神経を支配していく。
そして——

彼は、指を彼女の太ももの内側へ這わせる。

「……ここは、くすぐったいかい?」
「そ、そこ……や、やだ、ふふ、やっ……! だめぇ……!」

だが“だめ”と言いながらも、ティアナの瞳は甘く潤み、レオニスを離さない。
彼女は、愛する人に征服される悦びを、ついに受け入れた。

「君の“限界”を、僕に見せてごらん」
「レオニス……私、あなたに壊されたいの……くすぐって、愛して、支配して……全部、あなたのものにして……」

その夜、ティアナは笑いと愛撫の果てに、全身で絶頂の波に飲み込まれていった。
笑いながら、震えながら、涙をこぼし、呟いた。

「これが、愛されるってことなのね……くすぐられて、壊されて、満たされて……」


◆ 夜明け。


ティアナはレオニスの胸に抱かれながら、微睡んでいた。
彼の手は、もうただ優しく髪を撫でるだけ。

「……ありがとう、レオニス。私、幸せ」

そして、彼女は小さく笑った。
甘くて、可憐で、すっかり支配されながら、誇り高く微笑むその姿に、レオニスは心を奪われたままだった。
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