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くすぐる執事⑦ ― 甘美なる崩壊 ―
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柔らかな灯のもと、綾乃の身体はベッドに沈み、
礼司の指先が首筋から肩甲骨のあたりを、
羽毛のように、撫でるとも言えぬほどの軽さで行き来していた。
「……んふ、ふふ……そこ……くすぐったい……でも……気持ちいいの……」
首筋をなぞる爪の腹。
肩の後ろを滑る指先。
そして背骨の脇を、ゆっくりと、ゆっくりとくすぐるブラシの先――
綾乃の呼吸は甘く、瞳はとろんと潤んでいた。
全身が解け、まどろむような快感に沈んでいく。
礼司はその様子を見下ろしながら、唇にふと笑みを浮かべた。
「このまま溶かしてしまうのも悪くない……だが――」
彼の指がふいに止まる。
「……綾乃様。今、油断しておられるのでは?」
「えっ……?」
次の瞬間だった。
ぐわしっと、彼の両手が綾乃の脇の下に滑り込み、
それまでの優しい撫でからは想像もできない強さで、
「こちょこちょこちょこちょこちょっ!」
「――きゃっひゃあああああああっ!? うっそっ、やだっ、待ってっっ! やっ、だっははははっ、だめぇえっ、やっ、笑っちゃうううっ!!」
綾乃の身体が激しくのたうち、
全身が弾かれたように笑いに崩れる。
先ほどまでの陶酔は一瞬で吹き飛び、
彼女は脇腹をくすぐられながら“笑いの奔流”に呑み込まれていた。
礼司の心は静かに燃えていた。
綾乃が「無防備に溶け切った瞬間」を見逃さなかった。
それが、彼にとって最高の“合図”。
「甘やかすだけでは……だめですよね、綾乃様。
あなたが本当に望んでいるのは、こうして――限界を越えて笑わされること……じゃないのですか?」
「うふふっ、ひゃははっ、やだぁっ、言わないでっ、ばかぁっっ!」
彼女の言葉はほとんど意味を成さない。
ただただ笑いながら、くすぐりに翻弄される。
礼司の指は、部位ごとに圧を変え、方向を変え、くすぐるリズムに変化をつける。
わき腹は円を描くように、
肋骨の隙間は細かくかき混ぜるように、
そして、再び脇の下へ戻ると――
「こちょこちょこちょっ、逃がしませんよ、綾乃様。
さっきあれだけうっとりしていたお返しです」
「きゃっ……ふふっ、んふふっ、まってぇ……! やだやだやだぁぁぁっ!!」
彼女の心は混乱しながらも、快感と笑いに支配され、抗えない悦びに堕ちていく。
「……ひとしきり笑わせたら、また優しくしてあげます。
でも――もう少しだけ、あなたの本当の声を聴かせてくださいね」
礼司の指先が首筋から肩甲骨のあたりを、
羽毛のように、撫でるとも言えぬほどの軽さで行き来していた。
「……んふ、ふふ……そこ……くすぐったい……でも……気持ちいいの……」
首筋をなぞる爪の腹。
肩の後ろを滑る指先。
そして背骨の脇を、ゆっくりと、ゆっくりとくすぐるブラシの先――
綾乃の呼吸は甘く、瞳はとろんと潤んでいた。
全身が解け、まどろむような快感に沈んでいく。
礼司はその様子を見下ろしながら、唇にふと笑みを浮かべた。
「このまま溶かしてしまうのも悪くない……だが――」
彼の指がふいに止まる。
「……綾乃様。今、油断しておられるのでは?」
「えっ……?」
次の瞬間だった。
ぐわしっと、彼の両手が綾乃の脇の下に滑り込み、
それまでの優しい撫でからは想像もできない強さで、
「こちょこちょこちょこちょこちょっ!」
「――きゃっひゃあああああああっ!? うっそっ、やだっ、待ってっっ! やっ、だっははははっ、だめぇえっ、やっ、笑っちゃうううっ!!」
綾乃の身体が激しくのたうち、
全身が弾かれたように笑いに崩れる。
先ほどまでの陶酔は一瞬で吹き飛び、
彼女は脇腹をくすぐられながら“笑いの奔流”に呑み込まれていた。
礼司の心は静かに燃えていた。
綾乃が「無防備に溶け切った瞬間」を見逃さなかった。
それが、彼にとって最高の“合図”。
「甘やかすだけでは……だめですよね、綾乃様。
あなたが本当に望んでいるのは、こうして――限界を越えて笑わされること……じゃないのですか?」
「うふふっ、ひゃははっ、やだぁっ、言わないでっ、ばかぁっっ!」
彼女の言葉はほとんど意味を成さない。
ただただ笑いながら、くすぐりに翻弄される。
礼司の指は、部位ごとに圧を変え、方向を変え、くすぐるリズムに変化をつける。
わき腹は円を描くように、
肋骨の隙間は細かくかき混ぜるように、
そして、再び脇の下へ戻ると――
「こちょこちょこちょっ、逃がしませんよ、綾乃様。
さっきあれだけうっとりしていたお返しです」
「きゃっ……ふふっ、んふふっ、まってぇ……! やだやだやだぁぁぁっ!!」
彼女の心は混乱しながらも、快感と笑いに支配され、抗えない悦びに堕ちていく。
「……ひとしきり笑わせたら、また優しくしてあげます。
でも――もう少しだけ、あなたの本当の声を聴かせてくださいね」
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