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74 サレンドラ一家の気持ち
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ソルベートの問いを受けて、リイサ自らサレンドラ一家の気持ちを確認することにした。
「なんと!なんと図々しい奴等なんだ!今すぐ挙兵してやる!」
「本当に許せませんわ!打倒王家!」
「父上、私が今宵城へ忍び込みましょう」
「待って待って待って、それダメよお父さまもお母さまもお兄さまも落ち着いて!」
思っていたとおりの反応だった。
わかりやすすぎる家族たちだが、物騒さがハンパなく、リイサは思わず苦笑する。
いくつかある公爵家の中でも、家格と財力は上位に位置し、軍事力が飛び抜けているサレンドラが武装蜂起したら、王家と言えどその末路は想像に難くない。
「わたくしソルベート様がいてくださるから幸せですし、もうどうでもよいのですわ。許すも何も、そもそも殿下のことを覚えておりませんしね。ですからお父さまお母さまとお兄さまが許しても良いと仰れば、私はあとはソルベート様にお任せしようと思っておりますの」
「なぜそこでソルベート殿が出てくるのだ?」
「だってソルベート様が仰ってくださったのですもの。「王家があの愚か者を許したいと言うなら、サレンドラ公爵家とノートリア侯爵家からの申し入れでガチガチの条件を飲み込ませてみせる!リイサのためにこの私が」って。そんな素敵な婚約者がおりますのに、思い出すこともないどうでも良い元婚約者に煩わされる方が迷惑ですわ」
リイサの言うこともそのとおりだと思えたが、家族はそれまでのリイサへの冷遇なども腹に据えかねていたため、そう簡単ではない。
「何でも精神的にかなりやられているそうですのよ。ガルシア殿下からソルベート様に内々に話があったそうで、許してあげてほしいらしいと。もちろんお父さまお母さま、お兄さまの気持も大切ですから、それではもう暫く様子を見ましょうか」
その言葉に重い口を開いたのはライザック。
「確かニーラス殿下は、北の塔の一部屋で誰に会うことも許されず使用人もつけず、本当にひとりきりだと聞いたぞ。それで病んでいるなら使用人はつけてもよいとか、北の塔の中なら他の部屋まで歩いても良いと、幽閉の条件を緩和してやればいいのではないか?サレンドラがニーラス殿下を許すことは今後もないが、慰謝料追加でそのくらいなら大目に見ても良いというのはどうだろうな」
リイサには異はない、ミラは躊躇いながらもそうねと小首を傾げたが、メルトニウスだけは頑なだった。
「父上、自業自得という言葉をご存知ないのですか?あれはソルベート殿が言うところの愚か者が引き起こしたことを自ら償っているに過ぎません。ましてまだ一年も経っていないというのに!」
その言葉にリイサは閃いた。
「お兄さま、では事件からちょうど一年後にサレンドラから小さな許しを贈るとお伝えするのはいかがでしょう?ニーラス殿下も希望が見えれば気持ちを保つこともできるかもしれませんわ。それとこれはできたらのお願いなのですが、ソルベート様と私の結婚式を早めるのは難しいでしょうか?」
両親と兄が、びゅんっ!とリイサを見た。
「ソルベート様と早く結婚したいとお話しておりまして」
「あのソルベート殿が早く結婚したいと申したのか?」
「ええ!そうなのですわ、私うれしくなってしまって」
幸せそうに笑うリイサを見つめる、婚約以来何度目かの衝撃を受けた家族であった。
「そうか、ソルベート殿は本当に本当に変わられたのだな」
今まで何度もそう口にしたが、心のどこかに引っかかりがあった。しかし今度という今度はライザックも腹に落ちた。
ソルベートはリイサにべた惚れだと。
「では一年ではなく、リイサとソルベート殿の結婚式が無事に済んだら、ニーラス殿下に小さな許しを贈るというのではどうだ?あと、使用人くらいはすぐに許可してもよいと書いてやろう」
この提案には、さすがにメルトニウスも否とは言わなかった。
ライザックが家族会議で決めたそれを書状に認め国王陛下に送ると、リイサとソルベート両人の希望を聞き入れ結婚式を早めるべく、ノートリア侯爵に相談を持ちかけた。
=============================
いつもご愛読頂きまして、ありがとうございます。
残すところ、あと2話となりました。
最後までどうぞよろしくお願い致します。
「なんと!なんと図々しい奴等なんだ!今すぐ挙兵してやる!」
「本当に許せませんわ!打倒王家!」
「父上、私が今宵城へ忍び込みましょう」
「待って待って待って、それダメよお父さまもお母さまもお兄さまも落ち着いて!」
思っていたとおりの反応だった。
わかりやすすぎる家族たちだが、物騒さがハンパなく、リイサは思わず苦笑する。
いくつかある公爵家の中でも、家格と財力は上位に位置し、軍事力が飛び抜けているサレンドラが武装蜂起したら、王家と言えどその末路は想像に難くない。
「わたくしソルベート様がいてくださるから幸せですし、もうどうでもよいのですわ。許すも何も、そもそも殿下のことを覚えておりませんしね。ですからお父さまお母さまとお兄さまが許しても良いと仰れば、私はあとはソルベート様にお任せしようと思っておりますの」
「なぜそこでソルベート殿が出てくるのだ?」
「だってソルベート様が仰ってくださったのですもの。「王家があの愚か者を許したいと言うなら、サレンドラ公爵家とノートリア侯爵家からの申し入れでガチガチの条件を飲み込ませてみせる!リイサのためにこの私が」って。そんな素敵な婚約者がおりますのに、思い出すこともないどうでも良い元婚約者に煩わされる方が迷惑ですわ」
リイサの言うこともそのとおりだと思えたが、家族はそれまでのリイサへの冷遇なども腹に据えかねていたため、そう簡単ではない。
「何でも精神的にかなりやられているそうですのよ。ガルシア殿下からソルベート様に内々に話があったそうで、許してあげてほしいらしいと。もちろんお父さまお母さま、お兄さまの気持も大切ですから、それではもう暫く様子を見ましょうか」
その言葉に重い口を開いたのはライザック。
「確かニーラス殿下は、北の塔の一部屋で誰に会うことも許されず使用人もつけず、本当にひとりきりだと聞いたぞ。それで病んでいるなら使用人はつけてもよいとか、北の塔の中なら他の部屋まで歩いても良いと、幽閉の条件を緩和してやればいいのではないか?サレンドラがニーラス殿下を許すことは今後もないが、慰謝料追加でそのくらいなら大目に見ても良いというのはどうだろうな」
リイサには異はない、ミラは躊躇いながらもそうねと小首を傾げたが、メルトニウスだけは頑なだった。
「父上、自業自得という言葉をご存知ないのですか?あれはソルベート殿が言うところの愚か者が引き起こしたことを自ら償っているに過ぎません。ましてまだ一年も経っていないというのに!」
その言葉にリイサは閃いた。
「お兄さま、では事件からちょうど一年後にサレンドラから小さな許しを贈るとお伝えするのはいかがでしょう?ニーラス殿下も希望が見えれば気持ちを保つこともできるかもしれませんわ。それとこれはできたらのお願いなのですが、ソルベート様と私の結婚式を早めるのは難しいでしょうか?」
両親と兄が、びゅんっ!とリイサを見た。
「ソルベート様と早く結婚したいとお話しておりまして」
「あのソルベート殿が早く結婚したいと申したのか?」
「ええ!そうなのですわ、私うれしくなってしまって」
幸せそうに笑うリイサを見つめる、婚約以来何度目かの衝撃を受けた家族であった。
「そうか、ソルベート殿は本当に本当に変わられたのだな」
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ソルベートはリイサにべた惚れだと。
「では一年ではなく、リイサとソルベート殿の結婚式が無事に済んだら、ニーラス殿下に小さな許しを贈るというのではどうだ?あと、使用人くらいはすぐに許可してもよいと書いてやろう」
この提案には、さすがにメルトニウスも否とは言わなかった。
ライザックが家族会議で決めたそれを書状に認め国王陛下に送ると、リイサとソルベート両人の希望を聞き入れ結婚式を早めるべく、ノートリア侯爵に相談を持ちかけた。
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いつもご愛読頂きまして、ありがとうございます。
残すところ、あと2話となりました。
最後までどうぞよろしくお願い致します。
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