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第40話
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「皆さん!おはようございます」
ゴールディアのクラスの担任シルヴィア・モートが、一人の男子生徒を伴って現れた。
「まあ!朝ミリタス様が伴われていらした方よ!」
「御親戚かしら」
─いや、そこは恋人とか婚約者かしらって言うところじゃない?─
まわりの令嬢たちの囁きに、ゴールディアは違う違うと言いそうになったが、その前にシルヴィアが声を上げた。
「皆さんの中にもご存知の方がいると思いますが、今日から復学することになったビュワード・スミール令息です」
ハッと息を飲む気配があちこちから窺える。
新しい学長や教師たちがしつこいほどその名を刷り込んだから、噂の彼か!と気づいた者もいれば、以前のビュワードを知っていて、あまりの違いに呆然とした者もいた。
「「嘘でしょうっ!あんなに素敵な方だったの!」」
その声が一人ならず漏れると、ビュワードは少し俯き、ゴールディアはにやりと笑んだ。
「静粛に!スミール令息はミリタス令嬢の隣りにお座りなさい」
シルヴィアは勿論ゴールディアとビュワードが婚約していることを知っている。
万一つまらない事を言ってビュワードに絡む者が現れることも考え、鉄壁の防御と言えるゴールディアを配置したのだ。
「どうしてミリタス様の隣りに?」
「朝もご一緒されていたわよ」
「そういえば今の学長がスミール様の後見人になられたのじゃなかった?ほら、例の事件で」
記憶力の良い生徒がいるようだ。
ゴールディアはクラスメイトたちがどんな反応をするのか気になったが、あまりのかびすましさにシルヴィアが手を叩いた。
「スミール令息、貴方の準備がよろしければ、授業を始めたいのですが、よろしいかしら?」
「はい、お心遣いありがとうございます、大丈夫です」
授業中もチラチラと女生徒がビュワードを盗み見ている。
勿論ゴールディアは気づいているが、ビュワードは冷静を保ちながら授業に集中していた。
そして休み時間に、令嬢たちがそろりそろりとビュワードを囲み始めたのだ。
「あの、スミール令息様お久しぶりにございます、私のこと覚えていらっしゃいますわよね?ニイマス伯爵家のリラですわ」
チラッとゴールディアを見ながら、ビュワードに近寄り挨拶してきたのは、以前ビュワードと同じクラスだったリラ・ニイマスだった。その腕に触れんばかりに距離を縮めていくが。
「・・・・・・・・・申し訳ありません、ちょっと思い出せなくて」
しばらく考えていたが。
正直に答えたビュワードと、顔を歪めたリラ・ニイマスのギャップの激しさに、ゴールディアは吹きそうになった。
「なっ!なんですの、失礼ですわ!クラスメイトを忘れるなんて」
お父様が心配していたのはこういうことなのかと、納得しながらリラの前に入り込み、ビュワードの腕に自分の手のひらを乗せたゴールディアは、高らかに言い放ってやった。
「ニイマス様のご令嬢、ちょっとよろしいかしら?」
ビュワードの腕に腕を絡ませたゴールディアを、リラたちは呆れたように、どこか憎々しげに見た。
「ビュワード様は私のコ・ン・ヤ・ク・シャでございますので、そんなにお近い距離は御遠慮くださるかしらぁ」
ゴールディアのクラスの担任シルヴィア・モートが、一人の男子生徒を伴って現れた。
「まあ!朝ミリタス様が伴われていらした方よ!」
「御親戚かしら」
─いや、そこは恋人とか婚約者かしらって言うところじゃない?─
まわりの令嬢たちの囁きに、ゴールディアは違う違うと言いそうになったが、その前にシルヴィアが声を上げた。
「皆さんの中にもご存知の方がいると思いますが、今日から復学することになったビュワード・スミール令息です」
ハッと息を飲む気配があちこちから窺える。
新しい学長や教師たちがしつこいほどその名を刷り込んだから、噂の彼か!と気づいた者もいれば、以前のビュワードを知っていて、あまりの違いに呆然とした者もいた。
「「嘘でしょうっ!あんなに素敵な方だったの!」」
その声が一人ならず漏れると、ビュワードは少し俯き、ゴールディアはにやりと笑んだ。
「静粛に!スミール令息はミリタス令嬢の隣りにお座りなさい」
シルヴィアは勿論ゴールディアとビュワードが婚約していることを知っている。
万一つまらない事を言ってビュワードに絡む者が現れることも考え、鉄壁の防御と言えるゴールディアを配置したのだ。
「どうしてミリタス様の隣りに?」
「朝もご一緒されていたわよ」
「そういえば今の学長がスミール様の後見人になられたのじゃなかった?ほら、例の事件で」
記憶力の良い生徒がいるようだ。
ゴールディアはクラスメイトたちがどんな反応をするのか気になったが、あまりのかびすましさにシルヴィアが手を叩いた。
「スミール令息、貴方の準備がよろしければ、授業を始めたいのですが、よろしいかしら?」
「はい、お心遣いありがとうございます、大丈夫です」
授業中もチラチラと女生徒がビュワードを盗み見ている。
勿論ゴールディアは気づいているが、ビュワードは冷静を保ちながら授業に集中していた。
そして休み時間に、令嬢たちがそろりそろりとビュワードを囲み始めたのだ。
「あの、スミール令息様お久しぶりにございます、私のこと覚えていらっしゃいますわよね?ニイマス伯爵家のリラですわ」
チラッとゴールディアを見ながら、ビュワードに近寄り挨拶してきたのは、以前ビュワードと同じクラスだったリラ・ニイマスだった。その腕に触れんばかりに距離を縮めていくが。
「・・・・・・・・・申し訳ありません、ちょっと思い出せなくて」
しばらく考えていたが。
正直に答えたビュワードと、顔を歪めたリラ・ニイマスのギャップの激しさに、ゴールディアは吹きそうになった。
「なっ!なんですの、失礼ですわ!クラスメイトを忘れるなんて」
お父様が心配していたのはこういうことなのかと、納得しながらリラの前に入り込み、ビュワードの腕に自分の手のひらを乗せたゴールディアは、高らかに言い放ってやった。
「ニイマス様のご令嬢、ちょっとよろしいかしら?」
ビュワードの腕に腕を絡ませたゴールディアを、リラたちは呆れたように、どこか憎々しげに見た。
「ビュワード様は私のコ・ン・ヤ・ク・シャでございますので、そんなにお近い距離は御遠慮くださるかしらぁ」
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